パニック症 日々の工夫
初めてパニック症の症状を経験してから16年になるんですね…早いものです。
パニック症にも波があり、頻発する時と、ほとんど発症しない時があります。
発症当初はうつ病とのセットだったため、日々の工夫で少しずつ回数や症状の重症化を軽減できるようになりました。
ただ…この2年。
複雑性PTSDと更年期障害により、パニック症が再燃し始め、新たなステージでの工夫を模索しているところです。
今回は、発症当時から少しだけ落ち着いてきた頃に取り組んでいた「日々の工夫」をお伝えします。
1.現状を把握する
パニック症には必ず付いて回る
「予期不安」「広場恐怖」
この2点を自分なりに把握して
どのような場面で出やすいのか
どのような対応ができるか
事前に準備、心がける訓練をしておくことが
最初の一歩。
ちなみに簡単にザックリ用語説明。
予期不安
パニック発作が出るかもしれない!…と不安を抱くこと
《私の場合》胸がギュッと苦しくなり、ザワザワしてくる。私はよく周囲の人に「今日はリーチがかかっています」と伝える。麻雀用語だが、あと1つの牌で「あがり(ロン)」という意味。それくらい1つでもきっかけがあると発症するギリギリの状態。
広場恐怖
パニック発作が出ても逃げられない!と思い込むこと
「広場」ということばが誤解させるが、広い場所が怖いのではなく、特定の空間に恐怖を覚えることを広場恐怖という。
《私の場合》スーパー、人混み、電車等の公共交通機関、エレベーター、映画館、美容室、ライブハウス、密閉された空間、お風呂場…etc.
※いずれも大パニック発作を起こしたことがある場所
この自己把握が、最も重要なのだが、実は最も難しい。
パニック症を発症した頃は何処に落とし穴があるか未知数。足を踏み入れては発作を起こすことの繰り返しで、予期不安が増す一方だった。
「今日は少しだけチャレンジできそう」
そう思える日を見つけ、外に一歩出ることから始めた。
2.チャレンジしよう!だけでOK
最初は何度もチャレンジしては発作が出ることの繰り返しで、うつ病の落ち込みにも拍車がかかった。
私の場合はとにかく「設定目標が高すぎる」ことがネックだった。
初めから「完遂しなければ全て台無し!」と考えていたからだ。
そんな傲慢で欲深い自分を宥めるまでに時間がかかったが、ようやく辿り着いたのが
「チャレンジしようと思えただけでOK!」
という「行動」以前の「心」の目標設定を下げることだった。
このことで、1つのステップをクリアする達成感を得られるようになり、発作が出ることが減り、出たとしても重症化しにくくなった。些細なことだが、「よし!やった!」と達成感を抱くことが、いかに大切かを身をもって知ることができた。
次のステップに進む原動力になってくれる。
3.具体的な工夫
現在も地道に続けている工夫だが、ステップを分けて一例を上げる。
《主に外出する場合》
体調把握
身支度を整えてみる
玄関まで行ってみる
玄関の外に出てみる
車に乗ってみる(移動は自家用車なので)
目的地まで向かってみる
目的地で車を停めてみる
車から降りてみる
目的地(お店等)に入ってみる
目的を済ます行動をとってみる
帰宅
あえて「~みる」としたことに意味がある。
「~してみたけれどできなかった」
でも
チャレンジしようとしただけでOK!
とするためのステップへの心構え。
そして「行動面」でのステップも達成感を得るための工夫をしている。
《OKの基準》
完遂できなくてもよし!
途中で引き返してもよし!
チャレンジしようとしただけでよし!
《OKと感じるための工夫》
体調に合わせて滞在時間を決める
目標(例えば買い物)が達成できなくても
目的地に行こうとしたこと、行けたことを評価するため、5分でも滞在できればOKとする。これは、今でも「できなかった」という無力感に陥らないことに役立っている。
4.仮説→検証→反省…工夫の改良
発症から16年経った今でも、日々の変化に合わせてこれまでの工夫を改良し検証し続けている。
少しでも生きやすくするための工夫…。
パニック症についての治療法は様々あり、どれも取り組んでみる価値がある。
しかし、その治療法だけで症状が治ることは稀ではないかと思う。
人によって、症状も、程度も、辛さも…
全て違うからだ。
だからこそ、自分に合った方法を見付けて取り組んでみることが大切なのではないか…と日々、工夫を重ねている。
パニック症との長い付き合い
今回の工夫は、あくまでも私自身の経験から生まれたものです。
もちろん、主治医とも何度も話し合い、投薬治療も行いながらの取り組みです。
主治医に
「買い物…行こうとしただけですごい!」
と評価して頂いているのも挫けない力になっています。
現在も新たな
複雑性PTSDによるフラッシュバックと
更年期障害によるホットフラッシュによって
誘発されるパニック発作と奮闘中です。
日々の工夫が自分の明日を
少しでも生きやすくしてくれると信じて…