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マクロレンズの世界

マクロレンズが写し出す世界に魅了されたのは、たしか2015年ごろだった気がします。当時使っていたコンデジ  PENTAX MX-1 が、レンズ先端から 1cm の距離にある被写体を写せることを知った時期です。
肉眼では見えない、あるいは見ることが困難なその世界は、私にとってとても興味深く、とても魅力的な世界でした。

その後、時の流れとともに使用するカメラもかわり、いくつものマクロレンズがなぜかしら私のもとにつどうようになってきました。なぜかしらなんて言いましたが、もちろん、買わなければ集まってきません。ええ、ええ、わかってます。マクロレンズ沼です。

2023年2月現在、私の手元には4本のマクロレンズがあります。

マクロレンズが切りとる未知なる世界  それは、私にとって神秘と発見の極彩色で塗られたとても素晴らしい世界なのです。

マクロレンズの性能

では「マクロレンズ」とは何か。
過去の記事でも少し触れていますが、ここでもういちどオサライしておきましょう。

マクロレンズとは、ひと言でいえば「小さな被写体を大きく写せるレンズ」のことです。もちろん、表記された焦点距離をもった通常のレンズとしても使えます。

被写体の、センサーサイズと同寸の範囲を画面いっぱいの大きさで切りとることができる性能を「等倍マクロ」と言います。フルサイズセンサーをもつカメラだと、36mm x 24mm の範囲に相当します。

フルサイズのセンサーをもつカメラに取りつけた場合に、着色した範囲(36mm x 24mm の範囲)を画面いっぱいに写せるレンズがマクロレンズです。

この「等倍マクロ」による撮影ができるレンズのことを、総称してマクロレンズと呼んでいます。ただし、ニコンだけは以下の理由により「マイクロレンズ」と呼称しています。

※ マクロレンズは本来、原寸大以上の倍率が得られる顕微鏡のような拡大光学系のレンズを指します。このためニコンは定義の厳密性をより重要視し、各社が「マクロレンズ」と呼ぶ縮小光学系で等倍撮影ができるレンズを「マイクロレンズ」と呼んでいます。

ニコンのWebサイトより引用

ここで、マクロレンズの性能の一端を知るために、実際に等倍マクロで撮影した写真を見ていきましょう。

Canon EOS R6 + Canon EF100mm F2.8L MACRO IS USM
1/200 F8 ISO-800

幅36mm の範囲が、ちゃんと画面いっぱいに撮影されています。

では「2倍マクロ」(センサーサイズの、縦横それぞれ半分の長さの範囲を画面いっぱいに写せる機能)が撮影できるレンズだとどうなるでしょうか。

Leica M typ240 + LAOWA 100mm F2.8 2x Ultra Macro APO
1/180 F8 ISO-800

当然ながら、幅18mm の範囲が画面いっぱいに撮影されることになります。

さて、マイクロフォーサーズ規格のセンサーをもつカメラを使った場合は、センサーサイズが 17.3mm x 13mm しかありませんので、マクロレンズで被写体を切りとると、フルサイズセンサーの倍の大きさに被写体が拡大されることになります。なので、「35mm換算2倍マクロ」などと表現されることもあります。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/200 F8 ISO-800

幅 17.3mm の範囲が画面いっぱいに写しだされていることがわかります。フルサイズ機で2倍マクロのレンズを使った場合とほぼ同じ画角ですね。

先日(2023年2月24日)発売された OMDS の M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm Macro F3.5 IS PRO も2倍マクロの性能をもっていますから、写しだされる範囲は次のとおりです。

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm Macro F3.5 IS PRO
1/200 F8 ISO-800

幅 8.6mm の範囲が切りとられます。35mm換算すると「4倍マクロ」になります。このレンズに2倍のテレコンバーターである「MC-20」をくっつけると、

OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm Macro F3.5 IS PRO + MC-20
1/200 F10 ISO-1250

こうなります。35mm換算で「8倍マクロ」、なんならもはや顕微鏡です。笑

APS-C サイズのセンサーをもつカメラを使った場合には、センサーのサイズが 23.4mm×16.7mm ですから結果は見なくてもわかりますが、のけ者にすると消化不良をおこしそうなのでいちおう試してみます。

FUJIFILM X-E3 + Canon EF100mm F2.8L MACRO IS USM
1/200 F8 ISO-800

はい、ちゃんと幅 23.4mm の範囲を切りとることができました。35mm換算すると「1.5倍マクロ」ということになります。

広角レンズでは中心部がふくらむようにゆがむ樽型収差が発生しやすく、逆に望遠レンズでは中心部が収縮するように歪む糸巻き型収差が発生しやすくなるため、ほとんどのマクロレンズは標準~中望遠域のレンズになっています。
広角で等倍マクロ以上の性能をもつレンズは、私の知るかぎり LAOWA の 24mm F14 2X MACRO PROBE くらいでしょうか。ハチドリのくちばしのようにおそろしく細長いレンズです。笑

ちなみに、縦横ともにセンサーサイズの倍(面積では4倍)の範囲を切りとれるレンズを「ハーフマクロレンズ」と言います。こちらはマクロレンズと違って広角系のレンズにも数多く存在しています。

マクロレンズの世界

それが生きているモノであればモタモタしてるうちに逃げてしまうため、実際の被写体を等倍マクロで切りとることはあまりありませんが、マクロレンズを使うようになってからは、ふだん見えなかった景色が見えてくるようになりました。そこにある花や虫が見つかるようになりました。
むろん、それらはマクロレンズを使うようになったからそこに存在が許されたわけではなく、以前からずっと私の身近そばにはありました。ただただ私がそれを見てこなかっただけです。見えているのに観ようとしなかっただけです。

無意識のうちに無視ムシしてきただけです。
昆虫ムシだけに……。

すみません、ごめんなさい、赦してください。
言ってみたかっただけです。出来心です。

マクロレンズを使うと見える景色が拡がります。
冒頭でも言いましたが、それは魅力あふれたとても素晴らしい景色です。

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II +  M.ZUIKO DIGITAL ED 35mm F3.5 Macro
1/50 F3.5 ISO-500
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/250 F2.8 ISO-250
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/200 F5.6 ISO-400
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/80 F8 ISO-640
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/60 F8 ISO-400
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/200 F4.5 ISO-400
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/250 F4.5 ISO-400
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/100 F8 ISO-800
OM SYSTEM OM-1 + M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
1/250 F2.8 ISO-250


みなさんも、マクロレンズの世界を覗いてみませんか?

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