SBテクノロジーCMOが語る「成果が出る図解」とは?
こんにちは。日本を図解先進国にするMetagram代表取締役の髙野です。
日本の経済を牽引するようなビジネスリーダーたちには「図解が大好き」という共通点があります。
一体、図解のどのような特性がビジネスの成功に欠かせないのか、図解にはどのような魅力があるのか、一流のビジネスリーダーにインタビューしました。
今回お話をお伺いしたのは、これまで数々の事業を立ち上げては成功させてきた百戦錬磨のご経歴を持つ、SBテクノロジー株式会社 執行役員 本部長 兼 CMOの上原郁磨(44)さん。
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圧倒的な成果の生み出し方
――まずは上原さんのこれまでのご経歴やご活躍について教えてください。
振り返ると、いろいろやってきましたね。ただ、入社して最初の6年間くらいは目立つキャリアを上げていませんでした。でも、営業の部署に戻ってからは一発目の案件で社長賞を獲りました。そのあと、もう1回社長賞を獲るんですけど、ほかにも米マイクロソフト社からもグローバルパートナーアワードを表彰されたり、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)のビジネスコンテストでも特別賞をいただいたりしてます。
社長賞を獲得した事業は今では150億円の規模を超えるまで成長させています。他にも農地管理プラットフォーム『agmiru(アグミル)』や家畜の遠隔診療サービス『animaIook(アニマルック』をスタートさせたり、尖ったサービスを展開しています。役員になり営業とマーケティングの全体を見るようになってからは獲得案件数を150%増やし、さらに営業の受注率(勝率)は約80%(1,000万円以上の案件)を誇ります。
――僕が人生を10周しても追いつけない実績です!圧倒的な成果を残すコツを教えてください。
少し前までは、「自分の成功体験を言語化できない」という課題を感じていたんです。それで、2017年に慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM)で学び直すことにしたんです。あと、同時にソフトバンクアカデミアにも在籍することにしました。どうせ学ぶなら2つ同時のほうが、片方でわからないことを聞けるじゃないですか?実際、デュアルで回すほうが効率もいいし、成果も出ましたね。
この学び直しのおかげで、自分の経験が全部つながって説明できるようになりました。建材メーカーで働いていた経験が、米ユニコーン企業の日本進出の支援につながったり、リスク分散するシステム構築の経験が、農家さん向けのプラットフォームシステムの開発につながったりしています。一見、関係ないようなサービス同士でも、自分の中ではしっかりピボットしてるんですよ。
お風呂でも図解するくらい習慣化している
――上原さんのご活躍と図解はどのような関係にあるのでしょうか。
図解は、自分の頭に情報をインプットするときに使うこともあれば、情報をアウトプットして誰かに伝えるときの両方に使っています。とにかく思いついた瞬間にアイデアをメモしておきたいので、メモ帳とペンのセットはいつも持ち歩いています。お風呂に入るときにもメモ帳は欠かせませんね。あと、ちょっと変わってるかもしれませんが「情報にインデックスをつける」という感覚で情報を集めています。例えば、本を一冊読むということはせずに、必要な部分だけ抜き出して、アイデアを図解したりします。
ちょうど今、自分の営業方法を言語化しようとして図を描いて整理しています。図解することで、頭の中を人に見てもらうことができるようになりますよね。やっぱり目で見ないと気が付かないことがたくさんあるので、図を描くという習慣が身についています。
あとは、私はサッカーが好きなんですけど、「写真で覚える」という変な癖があるんです。というのも、サッカーって相手の動作を見て、「重心が右にあるから左から抜こう」とか考えるんですけど、それと同じで自分のインスピレーションを写真や図で記憶してから判断してます。だから情報は、文章よりも図で描いたほうが圧倒的に記憶力が上がります。
私の子どももサッカー大好きなんですが、「一流のドリブラーになる」方法を図を描いて教えました。子どもが相手でも、目標や練習方法を言葉だけで伝えるのではなくて、図で可視化して伝えたほうが効果が高いと実感します。
――図解を営業に役立てようとしたらどうしたらよいですか。
商談するときには必ずヒアリングしながら図を描いています。よく使う図解のフレームはツリー図とプロセス図ですね。特に営業にはストーリーが必要です。ストーリーを組み立てるためにはツリー図とプロセス図を描くのが一番簡単で早い。さらに、ストーリーを図解すると、どこが最も力を入れるべきトリガーなのかが目に見えて構造化されていきます。ポイントは情報の整理が不完全な状態でもいいから図を描き始めることですね。
自覚あるんですけど、僕は理解力が低いんですよ。周りが頷いていても自分だけよくわからないってことがたくさんある。そういうときは相手にも図を描いてもらってわかるまで質問を続けます。図を描かなくても理解できる人は天才かもしれないですね。僕は図を描かないと理解できないから(笑)。視覚効果は理解力にも影響を与えていると思います。
チームで図解を共通言語化させる
――なぜ図解ができる人は成果も出るのかわかってきました。上原さんのチームはメンバーも図解を活用しているのでしょうか。
自分が図を使うときは、「理解するための図解」と「伝えるための図解」がちょうど5:5くらいの割合になっています。なので、チームメンバーとも自然と図解が共通言語になっていきますよね。例えば、レビューをするときは必ずホワイトボードがある部屋で実施します。言葉ってものすごく曖昧なんですよ。メンバーにも図を描いてもらいますし、自分でも図を描いて1つずつ認識を合わせていきます。
あと、戦略を策定するときも図を描いて考えるし、図を描いて伝えています。文章で伝えると、どうしても相手の理解力に頼ってしまう部分が出てくるんです。そうすると、伝言ゲームみたいに、人を介在する回数が増えていくごとに認識にズレが発生します。だから図を描いて情報を補足する。図を描くことによって、共通認識を醸成していくようなイメージですね。
――数えきれないほどの図を描いてきた上原さん。「良い図」に共通する特徴は何だと思いますか。
これは「メッセージがはっきりしている図」に限りますね。たまにゴチャゴチャした○○マップみたいな図がありますけよね。構造化ができていないというか、結局何が言いたいのかわからないような図のことです。
だからチームメンバーに図を描いてもらったときは、必ず図に込めたメッセージを聞いています。すると、要らない情報が含まれていることにも気付けるようになります。優秀な部下ほど、センサーが多いというか、情報の感度が高いんですよ。その代わり情報をたくさん拾ってしまいます。なのでメッセージを揃えて、図を描いて整理して、無駄な情報を処理していくプロセスが必要なのだと思いますね。
図解とは「コスモ」である
――最後に、上原さんにとっての「図解」とは?
私にとっての図解とは「コスモ」ですね。今、自分が置かれている状況や環境を構造化して可視化できる。特にループ図のイメージって宇宙っぽいでしょ?正の循環構造を可視化するってことは、どこに注力すれば効果的なのかが一瞬でわかるようになる。ある意味、図解するっていうのはマニュアルにもなっていて、誰でも再現性があるものとして残すことができる。図の性質や規模によっては子や子孫に残していくべきものになるかもしれない。
――貴重なお話をありがとうございます。
Metagramでは、図解を習慣化している方々へのインタビューを継続して参ります。「なぜ、優れたリーダーは図解するのか」を多視点から構造化して可視化することで、図解によって次世代リーダーを育成する活動を強化していきます。
株式会社Metagramとは
Metagramは「日本を図解先進国」にするために代表取締役:髙野雄一が立ち上げました。図解には「あらゆるモノゴトを多視点から構造化して可視化する」チカラがあります。『ダイアグラム思考』を用いることで、個人の思考を深めるだけでなく、 人々のコミュニケーションを認識のズレなく円滑にすることができます。図解が強みとなることで、国や地域、業種や業界、年齢や役職を問わずに、 誰もが図解でコミュニケーションできるリーダーの育成を目指します。
代表取締役:髙野 雄一