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評価において大切なこと(その11)
今回は、これまでとは視点を変えて、360度評価(多面評価)について考えてみたいと思います。
360度評価は、主に管理職を対象として管理職としての能力や資質を評価することに用いられています。
ここでは、私(大竹)が前職時代に会社で制度を設計して実施したときの体験を事例として紹介させていただきます。
制度を作るにあたって、考えたのは以下の諸点でした。
1.何のために行うか
2.評価者を誰にするか
3.評価項目をどのように設定するか
4.評価者に対する説明や訓練をどうするか
5.評価の結果をどのように活用するか
一つひとつについて、詳しく振り返りたいと思います。
まず、実施の目的です。
これは、「管理者に自分自身の管理者としての行動が周囲からどのようにみられているかを確認してもらい、行動の修正や管理職としての成長につなげるため」としました。
評価者が多岐にわたり、評価の基準を揃えることは難しいため、給与やボーナスなどの処遇、昇進・昇格の判断に用いるのは危険であると考え、あくまでも本人の成長につなげることを主目的としました。
もちろん、昇進や異動を行うための判断材料の参考とはしましたが、あくまでも参考にとどめ、それを主目的とはしませんでした。
次に、評価者を誰にするか、という点です。
これについてはあまり悩む余地はありませんでした。
上司(1名)、部下(3名)、同僚(3名)、他部門の管理職(3名)、本人(1名)です。
上司と本人以外の9名を具体的に誰にするかは、上司に選定してもらうというプロセスを取りました。
3点目は、評価項目です。この点が最も苦労しました。検討に検討を重ねて決定しました。このときのケースでは、「能力」や「成果」ではなく、「行動」にフォーカスすることにしました。当時会社として管理職に期待していた行動をいくつかの要素に分析し、それをできているかどうかを5段階で評価することにしました。
4点目は評価者に対する説明・評価者訓練です。
評価を受ける管理職がたしか600名くらいだったので、本人を除く評価者は延べ6,000名となります。一人で複数の人に対する評価をする人も出てくるので、実際にはこの7割くらいだったと思いますが、それにしても、全員に直接説明することは不可能です。
なので、説明は文書で行うことにしました。評価を依頼するメールに、360度評価の狙いや注意事項を細かく分かりやすく記載し、適切に評価を行うように促しました。
最後に、評価結果の活用方法です。
目的のところでも書いたとおり、処遇の決定には活用せず、本人が自分自身が周りからどう見られているかを確認して行動を修正するための材料としてもらうように活用しました。
具体的には、評価の結果として、以下の事項をA3用紙1枚のレポートにして本人にフィードバックしました。
*自分自身の評価と他者からの評価をグラフにして見える化
*本人評価と他者評価の乖離が大きい項目の指摘と改善アドバイス
これに基づいて、上司と本人とで話し合い、その後のマネジメント行動につなげるようにしました。
以上が、私が実際に制度を作ったときの実例の概要ですが、これはあくまでも一例です。制度を導入する場合には、自社における課題や改善したいことを明確にしたうえで、それに繋がる制度を作るべきです。
評価において大切なこと、
その11は「360度評価は目的を明確にして実施する」です。
いかがでしたでしょうか?
次回は「評価制度の運用」について書いてみたいと思います。
株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
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