「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論402」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第7号(2003.9.25発行)「デフレシフトで不振脱出ー顧客呼び戻す再生手法」2~※名称等は当時、一部文章省略
「デフレシフト」でクラブ再生
成功事例を挙げた方が分かりやすい。
恐らく「デフレシフト」を最初に敷き、赤字から脱出した事例は1999年の「アヴァンス光明池」(株式会社オージースポーツ経営)だろう。
当時、赤字を脱し切れていなかった同クラブは、真横に大手クラブ経営会社の巨艦店が出店することに危機感を抱き、悩み考え抜いた末、「デフレシフト」を敷いた。
価格体系をシンプルにしようと、それまでの高めで複雑な料金システムを改め、月会費5,500円(フィットネス会員)1本のみとした。
実行した策は価格整合以外にもあるが、一連の策が奏功し、大幅に会員数を伸ばし、1年後の黒字化に繋げた。
最近の事例では、昨年「再」開業した「ハイパーフィットネスクラブ新百合ヶ丘」(株式会社ハイパーフィットネス経営)や、戦略転換した「クラブウェスト」(株式会社東急スポーツオアシス経営)がある。
いずれも「デフレシフト」によりV字回復を成し遂げている。
前者の取り組みについては本誌通巻第4号特集記事に詳しいので、そちらを参照願いたい。
後者、即ち「クラブウェスト」については、主に料金システムをメインターゲットである外国人や若年層に合わせて安く、分かりやすいもの(現在の会員種別は「フルタイム会員」のみ。同会員の通常入会金は10,000円、月会費は6,500円)とし、時限的・集中的な販促を展開、人員体制を社員3名制とし、パート・アルバイトのスタッフと合わせて多能化すると同時に、やる気になる人事マネジメントを導入、クラブを経済的にも、環境的にも、「正常化」した上で、新規入会者に対して会員紹介を得られるような対応をすることによって好循環が得られるようにした。
戦略転換から既に1年が過ぎるが、その盛況ぶりからさらなるリニューアルの必要が出てくるほど顧客が戻ってきている。
~ここまで~
かつて在籍していたハイパーフィットネス社の戦略は当時の環境下では、とてもよく当たりました。
基本的な考え方として、ハード(施設面)をリニューアルし、ソフト(主にプログラム)を内製化しつつ量は増やす(または維持)、そして価格をシンプルかつ一般平均の半額程度に落とすといった内容です。
これにより外形的な総合価値を引き上げる中、低価格をてこに集中的に広告宣伝を行い、一気に集客するという戦略です。
経過年数が長いクラブであればあるほど、減価償却や利払いも進んでいる為、大幅に収支改善し、V字回復するというストーリーです。
ただ、この戦略の欠点として、ヒューマンウェア(顧客サポートやトレーナー力)については、効率化を図る方向性なので、未利用者・低利用者が大挙して退会されてしまったパンデミック下の運営環境では、奏功する可能性は残念ながら低いと言わざるを得ません。
むしろ、この逆張りでいく必要性があるとアバター近藤は考えております。
本日もお読みいただきありがとうございました。