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9月7日(木):産業の高度化と「コト」市場での付加価値の創出②

このところは日経産業新聞のコラム「労働市場の未来予測」から労働供給制約社会の到来に触れつつ、機械化や無人化によって産業が高度化するなかでは、そこに属する人に求められる要件も高度化している旨に触れています。

この点は私たちフィットネス業界も不可避であって、無人化が進む中で「人」としてのフィットネストレーナーに求められることは労働生産性の向上、付加価値の創出です。

昨日は私たちのような「コト」を提供するサービス業での付加価値の生み方に言及し、サービスの特性である「同時性(不可分性)」、「無形性」、「異質性(個別性・変動性)」、「消滅性(非貯蓄性)」を創意工夫によって裏返すことができないか、との考え方を示しました。

本日はこれに続く話をもう少しばかり。

昨日はサービスの特性を切り口にしましたが、今回はマーケティングの7Pで考えたいと思います。

特にフォーカスをするのはマーケティングの4Pである「Product(製品)」、「Price(価格)」、「Place(販路)」、「Promotion(広告・販促)」を除いた、残りの3つのPについてです。

具体的には「People(担当者)」、「Process(提供手順)」、「Physical Evidence(知覚可能な物的環境・品質)」になります。

「People(担当者)」は非常に分かりやすいと思いますが、その人にしかない固有のパーソナリティにもとづく人的な魅力、属人的なスキル、そこから生まれた人的な関係性を、これまで以上に高めることができないか、との観点です。

次はProcess(提供手順)」ですが、こちらはサービスの観点でいえば「結果と過程の等価的価値」として表現できます。

「モノ」であれば交換価値として受け取った製品からベネフィットが得られれば満足でそのプロセスが問われることは稀である一方、「コト」であるサービスの場合はベネフィットを手にするだけではなく、サービスの始めから終わりまでを共にする必要があります。

具体例として美容院では仮に自分が望む髪型になった(結果)としても、そこに至るまでに待ち時間が長い、カットしている間の美容師との会話が不快、洗髪の際には顔が濡れるなど(過程)があれば、このお店に対するサービスの満足感は上がりません。

このようにサービスではニーズを満たす結果だけではなく、そこに至るまでの一連のプロセスも含めて会員にとっての評価の対象で、満足度を決定づけるとの理解が必要になります。

それゆえベネフィットの提供はもちろんのこと、サービスの始めから終わりまでの一連のプロセスについて、もっと良くすることはできないだろうかと見直し、サービスを再設計していくことはひとつです。

そのほか「Physical Evidence(知覚可能な物的環境・品質)」は昨日に触れたサービスの特性である「無形性」の裏返しの「有形性の確保」とつながってきます。

サービスは事前にベネフィットを見ることも、手に取ることもできないからこそ、明確なビフォー・アフターの提供や、過去のケースの例示をして成果の見える化や保証、安心感の醸成は大切です。

そうした要素を今まで以上に高めるための創意工夫とはどんなものかとの考え方です。

冒頭で触れたようにフィットネストレーナーも付加価値を生むことが前提になっていくので、「コト市場で付加価値を創出する」ための観点をもち、それを考えていくことが大事になってきます。

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