10月10日(木):70〜74歳の医療費窓口が負担3割に
先般に健康保険組合連合会(健保連)は2026年度に向けた医療制度改革の要望を公表しました。
概要としては高齢者の窓口負担や高額医療費補助の患者負担を引き上げることが中心になっています。
その背景として高齢者医療への拠出金が健保財政を圧迫しており、現役世代に負担が偏る仕組みの是正が必要になっているためです。
健保の状況では加盟する1380組合の収支状況が公表され、2023年度の経常収支は全体で1,367億円の赤字(前年度は1368億円の黒字)で、高齢者医療への拠出金の増加が響いており、赤字の組合数は726と全体の53%にのぼっています。
また2024年度の全健保組合の収支合計は1,700億円の赤字となる見通しで、賃上げによって保険料収入が増えるものの、高齢者拠出金や保険給付費の伸びを補うには至りません。
そうした状況も踏まえ、当事者である高齢者にも自己負担を求めていく形です。
具体的には健康寿命が延びて高齢者の就業率が高まっていることから、70〜74歳には所得に関係なく一律3割の窓口負担となる方向で、それとあわせて前期高齢者の制度開始年齢も現在より5歳引き上げ、70歳からとするようです。
加えて75歳以上の後期高齢者のうち、80歳未満の負担割合を現在の原則1割から2割に引き上げるほか、現役並みの所得のある後期高齢者に3割負担を求める仕組みでは、適用する所得基準を下げて対象者を増やす見通しになっています。
その他、医療費の自己負担を一定額に抑える「高額療養費制度」の見直しも提起されました。
賃金上昇をふまえ、所得水準の高い人の自己負担を引き上げる意向で、高額医療が発生した健保組合に健保連が財政支援する仕組みで、国からの補助を増やすよう求めるとしています。
超高齢社会で高齢者比率が高まり、高齢者医療費が増え続けていくなか、それを支える現役世代のボリュームが小さくなっている現状では、もはや構造的な限界に来ていたから、今回の是正案は必然であって避けがたいものだと思います。
わかっていたことではありますが、高齢者医療の自己負担が現役世代と同じになっていくということは、年齢を重ねた先でも心身ともに元気でいることが前提になりますね。
こうなると日常の健康習慣がものをいうようになってくるので、そこに目を向けていくのが大事だろうと思います。
明日も関連の話題を続ける予定です。