9月6日(水):産業の高度化と「コト市場」での付加価値の創出
昨日は日経産業新聞のコラム「労働市場の未来予測」から労働供給制約社会の到来に触れました。
そこでも記したように構造的な労働人材不足のなかでは機械化や自動化、それによる無人化は不可避で、さらに昨今の賃金上昇がそこに拍車をかけていくことになります。
この点は私たちフィットネス業界も不可避であって、無人化が進む中で「人」としてのフィットネストレーナーに求められることは労働生産性の向上、付加価値の創出です。
産業が高度化していけばそこに属する人に求められることが高度化していくのは必然で、これはビジネスだけに限った話ではなく、例えばスポーツでもデジタル化が進んだり戦術が高度化すれば、そのなかで個々の選手に求められる要件も従来と比較して高度化していくのと同じです。
現代のサッカーであればディフェンスの選手は守るだけでなく攻撃時の組み立てが要求されるし、オフェンスの選手もまたチームの守備戦術の一端を担うのがもはや前提になっています。
先般に盛り上がったバスケの日本代表を見てもそうで、ポジションの違いはあれども試合終盤までのハードワークができることがベースで、クイックネスや3Pシュートを高確率で決めるなどプラスαの一芸がなければあの場に立つこともままなりません。
話をフィットネス業界に戻すと私たちは「コト」を提供するサービス業なので、付加価値の生み方もその特性にもとづいて考えていくことが必要です。
ひとつの観点でいえばサービスの特性がそれに当たるでしょう。
一般的にサービスの特性に挙げられるのは「同時性(不可分性)」、「無形性」、「異質性(個別性・変動性)」、「消滅性(非貯蓄性)」です。
これらの特性を創意工夫によって裏返すことができないか、と考えてみることです。
生産と消費が同時に起こる「同時性(不可分性)」であれば、何らかのアプローチによって「再現性を高めることができないか」を思案してみる、といった具合です。
次はモノと違って手に取ることができないサービスの「無形性」のもとで、どうにかして「有形性を確保できないか」との観点です。
そしてサービスの提供者・受け手の「人」によって違いが生じる「異質性(個別性)」であれば、「同質性を担保するには」との取り組みのほか、もう一歩踏み込んで「個別最適化の実現」を目指すこともひとつでしょう。
最後に、その場でしかサービスを享受できない「消滅性(非貯蓄性)」に対しては、「保存性を高めることができないか」との観点のほか、逆に消滅性を突き詰めて「場の魅力を高めるには」との考え方もできると思います。
これらは一例ですが、産業が高度化するなかでそこに属する個々にも付加価値の創出が求められるなか、フィットネストレーナーもそのために何ができるかを考えることが前提になるので、先のような点を頭の片隅に持っておくことが大切です。