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9月20日(水):「いろは歌」戦の心得編

この数日間は島津忠良(日新斎)の「いろは歌」に関連したことを記しており、本日もその続きをもう少しばかり。

「いろは歌」の日新学は薩摩藩における教育の基本となり、島津4兄弟はもとより戦国島津家の家臣団へ、さらには近世の鹿児島藩の家臣団である郷中教育でも重視・尊重されて、明治維新の志士たちを生んでいきます。

また現代でいえば薩摩出身の名経営者であった稲盛和夫さんも、自分が受けてきた教えの原点がこれだとご自身で語られている通り、今に至るまで脈々と受け継がれて多くの人材を輩出する基盤を担ってきました。

これまでは47首の中から生きるうえでの「考え方」に付随するもの、「日常の心得」、「将(リーダー)の心得」などをピックアップしてきたので、今回は「戦の心得」に触れたものを取り上げたいと思います。

「のがるまじ 所をかねて 思ひきれ 時に至りて 涼しかるべし」

※意訳
とても逃れることのできないと思うときは、思い切って決断することである。命を捨てる覚悟であたれ。この覚悟で生きることが、爽やかな清々しい気持ちにさせてくれる。

「無勢とて 敵を侮る ことなかれ 多勢をみても 恐るべからず」

※意訳
少人数だからといって敵をあなどるな。しかし大人数だからといって敵を恐れることもない。常に自分を見失うことなく事に当たれ。

「心こそ 軍(いくさ)する身の 命なれ そろふれば生き 揃はねば死す」

※意訳
将兵が一致団結すれば戦に勝つことができるが、そうでなければ負けるであろう。規模の大小に関わりなく皆で心をひとつにすること。

「回向には 我と人とを 隔つなよ 看経はよし してもせずとも」

※意訳
戦場では敵味方に分かれて戦っても、死んだ人を供養するときは敵味方を区別することなく、冥福を祈りなさい。慈悲の心が自他を救う。

「弓を得て 失ふことも 大将の 心ひとつの 手をばはなれず」

※意訳
大将の心ひとつで軍の士気が上がったり、反対に衰退したりするものである。よく部下の心をとらえて士気が衰えないようにするべきである。上に立つ者の采配ひとつで状況がかわる。

本日まで全5回にわたって「いろは歌」を紹介してきました。

いろは歌の良さは、これが作られた時に意図されていたように「口ずさみながら覚えられること」にあります。

自分の心に留まるもの、歌の響きとして気に入ったものを毎日口ずさむことから始めてみるのも良いかもしれません。

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