武器としてのUX
起業した背景・理由や挑戦しようとしていることについてはいろいろnoteを書いてきたのだけど、「水産業にバックグラウンドないのになんで?」みたいな話が多かった。だから、どうしても自分の弱みや機会点だと考えていることについて厚めに書いてきた。ということで、本noteでは自分たちの強みについても知ってもらえたらと思います!
「UXデザイン」が自分の武器
事業の勝ち筋を見定める最短ルートは、強みを磨きまくって尖らせていくことだと思っている。強みは人によって異なるけれど、僕の場合はそれがUXデザインだった。
僕が新卒で入社したのはbeBitというUXコンサルティングの会社。BtoBなので、マーケターやweb・アプリ周りの事業開発担当者じゃないと社名を聞いたことすらないという人の方が多いかもしれない。そこで2年半働いたのが僕のファーストキャリア。開発を進めてくれているエンジニアともこの会社に勤めていた時に出会った。
そこから大手の教育事業会社に転職した。ここでのキャリアの中心は、デジタルサービスの企画・運営で、その中心にはいつもUX的な価値観があった。具体的にはウェブサービスの企画開発、スマホアプリの立ち上げ・マーケティング・カスタマーサクセス(リーダー)・PMOなんかをやっていた。
UX?何それおいしいの?
「待て待て、UXってなんだよ!」というあなた。UXという言葉は水産業の現場仕事とは少し距離があるので、馴染みがない人が多いかもしれない。
水産業界でいうところの「プロダクトアウトからマーケットインへ」も広義には同じことを言っているので、水産業の方は「マーケットイン系の人」くらいの認識で考えていただけるとイメージが持ちやすいかもしれない。
UXは「User eXperience」の略語。「製品やサービスなどを利用することでユーザーが得るであろう体験」を指す言葉。この「体験」という言葉には身体的なものだけではなく、心理的な反応や態度なんかも含まれる。
UXデザインというのは、ものすごくざっくり言ってしまえば「使い手であるユーザの状況や心理を踏まえて、ユーザがやりたいことにちゃんと向き合って商品を設計しようよ」みたいなこと。こうだったら気持ちいいなという理想のUXを考え、そこにサービスを寄せていく。
UXデザインがもつべき領域は、サービスの使いやすさだけではない。ユーザにとってのうれしさ・喜び・達成感など主観的・感情的な側面もUXデザインの対象だ。
ユーザが達成しようとしていることに寄り添って、彼らの達成すべきゴールまで最短で導く。これがUXを考える人の仕事。より優れた顧客体験がサービスの継続・拡散にも効いてくる。そのためUXはプロダクトの成否を握る重要なファクターの一つにもなっている。
UXデザインなきプロダクトに潜む罠
UX的な発想がないと、どうしてもサービス開発の進め方や会話そのものがプロダクトアウトなものに寄ってくる。
「こういう機能があった方が便利なんじゃないか」
「競合のこの機能がいいから真似しよう」
「このライブラリを使えば、こんな機能が作れそう」
こんな会話だけで、次の開発内容が決まってしまうような会社やサービスが実は世の中にはあふれかえっている。
その結果こんな不幸なことが起こる。
作ってみたものの、誰も使わない
機能開発で逆に使いづらくなったとクレームがくる
使われても、期待した成果が得られない(継続されない)
どの会社も、どのサービスも使えるリソースには限りがある。ウォーターフォールで進めようが、アジャイルで進めようがそれは変わらない。使われない機能を開発してしまうと、その貴重なリソースを無駄遣いしてしまうことになる。
多機能 ≠ 優れたUX
「ユーザのため」と口先だけで言っていても、本質的に開発しているものがユーザの状況や課題(ニーズ)にフィットしていなかったら意味がない。
「機能を増やせばユーザも喜んでくれるはずだ」
これはサービス開発者によくある誤解のひとつだ。多機能すぎるプロダクトは学習コストが高くなり、オンボーディングが難しくなる。
例えばリモコン。機能を足し算して多機能にしていくとこうなる。
あくまでも個人の意見ではあるけど、僕はこのリモコンのUXははっきり言って最悪だと思う。最悪通りこして悪夢。
機能としては素晴らしいリモコンではある。キーボード入力もできるし、数字でも入力できるし、検索ボタンまである。音量やチャンネル切替もできる。録画だってボタン一発。Google TVも操作できる。世界中のあらゆるリモコンに対し、機能面では「競合優位」である。
でもこの量のボタンを使いこなせる人はこの地球上の一体どこにいるだろうか。ボタンは多すぎるし、どこに何があるかさっぱりわからない。一部のボタンの上にはありがたいことに「PgUP」やら「TV」やら補足説明らしきものまで書いてある。情報量が多すぎてとてもではないが、処理しきれない。ボタンの配置もすべての感覚が均一でUI上もまとまりがない。
おまけにこのリモコンはGoogle TVを操作することが主な価値(ユーザが解決したいこと)であるにも関わらず、その操作方法がよくわからない。公式サイトによれば、Google TVの再起動には「CTL + ALT + BACKSPACE/DELETE」を押す必要があるらしい。3秒以内に再起動方法が理解できなかったそこのあなた。大丈夫、それが普通です。
ちなみに今販売されているGoogle TVのリモコンがこちら。テレビ画面側でのUIの工夫、音声認識技術の活用など、多方面から「リモコン操作」のシーンのUXを考えてある。おかげで、リモコンからはボタンが思い切り引き算され、UXも圧倒的に改善されている。
続編あります!
このnote、実はもともと2.2万字ある超長編noteの一部。続編はこちらです!
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