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消えいろリトマス試験紙

先日、Twitterにてトンボ鉛筆が販売している消えいろPiTにpH指示薬が含まれていることが話題になりました。これでなかなか面白いものができるのではないかと思いましたので、ちょっと変わった商品レビューをしてみます。

商品紹介

消えいろPiTとは、トンボ鉛筆から販売されているスティックのりの1つです。のりに青い色がついているため、ぬった場所に色がつくことから、ぬりもれやムラがありません。しばらくすると、のりの青色は消えますん。消えいろPiTののりはアルカリ性に保たれており、のりに含まれるpH指示薬が、アルカリ性ののりに反応して青色になっています。この青色は、空気中の二酸化炭素と紙に含まれている酸性成分と反応して中和化するため、色が消えます。

紙にぬって10分ほどでほとんど色は消えました。接着力は通常通りでした。

消して、つける

上記ののりの色が消える説明は、トンボ鉛筆のWebサイト内の商品紹介でもなされていますが、私はこれを使えば面白いことができるのではないかと考えました。空気中や紙の酸と反応して中和して色がなくなるということなので、「酸性の水溶液をかけたら一気に色が落ちて。アルカリ性の水溶液をかけたらもどるのでは?」と思いました。そこで、酸性の溶液としてクエン酸入りの洗剤、アルカリ性の水溶液として重曹をお湯で溶かしたものを用意しました。そして、洗剤をのりがぬってある所にかけてみたところ、瞬く間に色が消えました。その後、重曹の水溶液をかけてみましたが、元通りとはいきませんでした。
もとの青色には戻りませんでしたが、これはクエン酸の洗剤がけっこう強めの酸性出会った可能性があります。そのため、重曹の水溶液をかけても、少し酸性が弱くなったか、少しだけアルカリ性よりの中性になっただけかと考えられます。のりの色をもとに戻すのは、もう少し強いアルカリ性水溶液を使うか、自然に色がなくなったところに重曹をぬるなどの工夫が必要かもしれません。

今回の検証に利用した洗剤です。
左がクエン酸配合の洗剤をぬっているところ、左は色がなくなったところに重曹の水溶液をぬったところです。少しだけ青色になっていることがわかります。よね?

実験の幅が広がる

不完全でありますが、こののりを使うことで、家にある水溶液のpH(酸性かアルカリ性か)がわかります。pHがわかるということは、目に見えない水溶液の性質がわかるわけですから、家でできる実験の幅が広がります。のりの色が消えるしくみは、“中和”という反応ですが、この反応は高校化学の知識で説明すると“酸と塩基が反応したとき,酸から塩基へ水素イオンが移り,互いの性質が打ち消されること”です。ここまで、塩基やイオンの話を避けてきたので、具体例を挙げて説明すると塩酸(酸性)と水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性)を同じ濃度で同じ量混ぜると、食塩水(中性)になるというものがあります。この中和反応をうまく使うと成分分析が可能になります。

北の国の思い出

私は北海道大学水産学部を卒業しましたが、学部生の時の思い出は、海水の成分分析をひたすら行っていたことです。海水中には、生物が生きるために必要な酸素植物が育つために必要なリンなどが含まれています。これらが、どれだけ海水中に含まれているのか調べるのですが、その方法が中和反応を利用したものでした。まずは、検査する海水にpH指示薬を入れます。その後、調べたい成分と逆の性質の溶液、もし二酸化炭素の量を調べるのであればアルカリ性の水溶液、を少しずつ加えてきます。すると、海水中の二酸化炭素が全て加えたアルカリ性の物質と反応すると、中性になるのでpH指示薬の色が変わります。海水中の二酸化炭素の濃度は分かりませんが、加えたアルカリ性の水溶液の濃度は分かります。例えば、海水100gに5%のxxx水溶液を200g加えたら、二酸化炭素がなくなったということから、二酸化炭素濃度がわかるということです。
海水中にはいろんな物質が溶け込んでいるので、消えいろPiTを使って成分分析をすることはできませんが、自宅にある洗剤や調味料の濃度の推定はできるかもしれません。自由研究のネタとしていかがでしょうか?

中和反応で成分分析をする理屈を簡単にしめすとこんな感じです。


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