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[NPB]かつてのプロスペクトたち
今を時めくスター候補生の話はワクワクする。
プロスペクトランキングが重宝されるのもそのワクワクを味わいたいから。
ただ、プロスペクトがいれば元プロスペクトがいる。
今回は元プロスペクトを紹介する記事としたい。
プロスペクトからは外れ、いまいち秘められた力を発揮できていない選手達。ファンは諦めていないし、活躍して欲しいと願っている。
1・根尾 昂 (中日ドラゴンズ)
★基本データ
2000/4/19 177cm/84kg 右投左打 6年目
★2024年4月7日時点での通算成績
Baseball Referenceより(https://www.baseball-reference.com/register/player.fcgi?id=neo---000aki)
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★プロでの流れ
大阪桐蔭時代、甲子園を沸かせたスーパースター。出身は岐阜県で4球団競合の末地元の中日ドラゴンズに入団。
一年目(2019)からファームで108試合に出場。主にショートで起用され24個の失策を犯すもプロスペクトとしての歩みを始める。
二年目(2020)もファームで実戦を積むが、ショート起用とセカンド起用が37試合ずつと二年目にしてその起用にブレが見え始める。サードや外野での起用もあっての71試合で、身体能力が高いとはいえたらいまわし感が否めない。バッティングのアプローチ面は改善がみられるも、目立った数字は残せず。
三年目の2021年、本格的に一軍出場。全カテゴリー合計で、外野68試合ショート26試合の出場となり外野コンバートとなる。
この年は打撃も振るわず、苦しいシーズンとなった。
四年目の2022年は遂に投手転向。一軍で25試合に登板し一定の投球を見せた。ファームでは二刀流起用も(江越が打ち取られてた)。
そして投手本格稼働の五年目は二軍での実戦が続く。シーズン終盤に一軍登録され2試合に先発。好投を見せるも白星には恵まれず。
ただ、根尾石橋岡林と若手が躍動した楽しい試合もあった。
器用が災いして、首脳陣に振り回された五年間だった。
★元プロスペクトとして。
球団ファンのみならず、野球ファンが注目する選手。二刀流に挑戦して欲しいという声もあり、確かに打席内での振る舞いには魅力有り。
直球の質は改善傾向で、投手専念の根尾に期待しているのも事実。
フィジカルに限界がある点、制球力と変化球には未だ課題が残る点など心配な要素も多いが、競合ドラ1の実力を早く見たい。
2・森 敬斗 (横浜DeNAベイスターズ)
★基本データ
2002/1/28 177cm80kg 右投左打 5年目
★通算成績
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★プロでの流れ
佐々木朗希、石川昂弥、奥川恭伸など高校生が豊作だった2019ドラフトで、横浜が一本釣りした素材。内野の要としての期待を受けてプロスペクトは歩みを始めた。
ここまでのキャリアの中で2024年に新たにセカンドの守備に付いている以外はオールショート起用。期待の大きさがうかがえる。2023年までショートとして一軍二軍あわせて282試合。
守備率.956や簡易レンジファクター3.95は決して優れた数字とは言えないが、その肩の強さは我々を幾度も驚かせた。
横浜ベイスターズは森敬斗にオールインの姿勢だったが、入団から四年が経つも出てこれない森の状況を見て、内野手の補強を進めている。
件の森も近年は、2022年はオープン戦で肉離れ、シーズン途中に特例抹消、2023年は鼻骨骨折、有鈎骨骨折と試合に出たくても出られなかった。
元旦でのプロスペクトランキングに48位としながらも、元プロスペクトと紹介するのは些か横暴ではあるが、ファンの期待が度会や石上に向き出した今、存在感を見せられるかに注目したい。
★元プロスペクトとして。
ショート以外のオプションも付けつつ、一軍での出場機会を模索する立場となったドラフト1位。攻守共に確実性が課題だが、持って生まれた華のあるプレーは消さないようにしたい。難しい両立だが、トッププロスペクトだった逸材の逆襲を待ちたい。
3・オコエ 瑠偉(読売ジャイアンツ)
★基本データ
1997/7/21 185cm90kg 右投右打 9年目
★通算成績
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★プロでの流れ
甲子園のスターとしてプロの門をたたいた逸材。
当初は5ツールプレイヤーの触れ込みもあった。楽天時代は怪我もあって波に乗り切れず、第一回現役ドラフトで巨人に移籍。以前からトレード候補に度々上げられる中で、予想通りの移籍とも言えた。
2017年は打率三割をマークし、走攻守全てで期待感があっただけに伸び悩みが痛い。プロ入りからずっと二軍成績は充分なものがあるが、打席内でのアプローチは粗く、計算できない選手というイメージ。
走力と守備力はプロ入り以来評価されてきたが、この点は年齢的にいつまで持つか不透明であり、どうにか打席で価値を生みたいところ。
関東一高時代のスターっぷりを忘れられないのは本人は勿論ファンも同様で、やはり考えれば苦しくなってしまうのだった。
★元プロスペクトとして。
2023シーズンは一定の出場機会をもらい、2024シーズンもそれなりに打席数を貰えそう。その中でアピールする必要がある。
2023シーズンはセンターでUZR2.9、UBR1.7と長所部分は安定していたのでやはり打撃。スライダー系の球種を苦手とする典型的なフリースインガーで、三振率も27.6%と高めに出た部分をどうにか改善したい。
4・平沢 大河(千葉ロッテマリーンズ)
★基本データ
1997/12/24 176cm80kg 右投左打 9年目
★通算成績
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2022年は首位打者と最高出塁率のタイトルを獲ったがそんなのどうでもいい
★プロでの流れ
仙台育英高校時代、甲子園の中段にぶち込んだ類まれなる打撃センスが魅力の選手。高校時代からショートを本職としており、トッププロスペクトの扱いを受けていた。
入団一年目の2016年からショートとして二軍81試合、一軍19試合に起用。2018年に外野コンバートされ、トッププロスペクトから外れるも、ミドルプロスペクトとしてその打撃で貢献して欲しいと期待を掛けられ続けている。
ここ2,3年は外野を主戦場とするが、それまでは内外野の守備位置についており、球団と本人がどうにか試合に出られる道を模索しようと努力してきた事がわかる。
実績は、長打走力共に、入団時の期待には届かないのだが、選球眼だけは優れており2023年は一軍で四球率14.7%を叩き出した。
★元プロスペクトとして。
怪我も決して少なくはない選手で、それが彼の大成を阻んでいる節はある。
外野手として貢献しようにもライバルは多く、平沢は優れたアプローチ面で地道にアピールしたい。
既に一軍で845打席消化しており、今まで示してきた能力でどこまで持つかのフェーズ。一試合でも一年でも長く活躍したい。
5・Richard Makoto Sunagawa-O'Brien
皆さんご存知、砂川リチャード。
★基本データ
1999/6/18 189cm118kg 右投右打 7年目
★通算成績
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★プロでの流れ
2017年育成ドラフト3巡目で入団。
2018年は三軍でプレーし、36試合に出場。打率.159、1本塁打12打点。
2019年は三軍で94試合に出場。打率.279、11本塁打54打点と結果を残し二軍にも昇格。以降は知られている通り、2020年から2023年まで4年連続でウエスタンリーグの本塁打王に輝いている。
2020,22,23シーズンの打点王でもあり、一軍での活躍を期待されている選手である。
守備位置は一塁と三塁で、ホットコーナーを任せられるだけの打撃は持っている。しかし一軍通算打率.157は我慢の出来る数字にあらず、その真価を見ることは未だ出来ていない。
★元プロスペクトとして。
年齢は今年25歳。プロスぺクトともいえるが、経験の数がそうは言わせないだろう。既に一軍で79試合、250打席に立っている。
セオリー通りの攻めで難なく攻略出来てしまうイメージも付き、相手バッテリーは怖がってくれない。一軍に上がると別人になってしまう例はリチャードに限らないのだが、そもそも一軍と二軍の差が大きい以上どうにかレベルアップしなければならない。
2021年は一軍でも打率は低くとも長打力で価値が生めていた。如何に出力高くプレー出来るか、一軍で試されている。
★( ..)φメモ
2024年4月9日の筑後での試合テレビで見たんだけど、最終回代打で起用されてたわ。
カーブに手が出ず最後149㌔ズドンで見逃し三振や。二軍レベルの球速を引き付ける事は出来ても93マイル前後のボール難しいよなあ。二軍の帝王は結構ここで苦労するんだけど、そもそもファームに速球系の投手はおらんから練習する機会が少ないんよな。三振の後首振ってたけどなんだかなあ。
6・淺間 大基(日本ハムファイターズ)
★基本データ
1996/6/21 183cm88kg 右投左打 10年目
★通算成績
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★プロでの流れ
高卒一年目から一軍出場を果たした超有望株だった選手。打率.285と結果も出して、クライマックスシリーズでスタメン起用される。
そもそも高卒新人が二軍で打率.300、7本塁打11盗塁という成績を残すことですら素晴らしい中、一軍で結果を出して見せた。
ただ、2016年腰痛を発症したことからキャリアが狂う。これ以降度々腰痛を発症するのだが、淺間の場合は腰だけでなく、右肘や指など毎年のように怪我を負っている。2022年には右足に大怪我を負った。
来る2023年はキャンプ中に左足を骨折し、好調な時期を棒に振った。
キャリアの中では外野手だけでなく三塁手に挑戦するなど、チームのコアとなるべく育成が行われてきた。
天性の打撃センスに走力と肩の強さが備わっている5ツールプレイヤーを目指せた淺間に、夢を捨てきれないファンは多い。
★元プロスペクトとして。
2021年に初の規定打席に到達するも、あまりにも遅く、そして寂しい数字だった。日本ハムの外野陣は、万波中正と松本剛を筆頭に、五十幡、水谷といった活きのいい若手が居る他、江越や今川が余剰気味になるなど激戦区である。
そうだとしても何とかしなければいけない立場でもあり、まずは万全な状態になることだが、走攻守揃った姿を一軍で見たい。
Ex・Sheldon Neuse(阪神タイガース)
★基本データ
1994/12/10 183cm100kg 右投右打 2016年2巡目(全体58位)
★成績
2023年シーズン成績
133試合 .240(475-114) 9本 56点 0盗 .295/.328/.623
wRC+93 UZR-8.0 ARM-2.6 UBR-2.6
WAR-1.2
★プロでの流れ
2016年、WSHから2巡目指名を受けてプロ入り。
その後2017年にトレードでOAKへ移籍。
着実にステップアップし2018年にはAAAまで昇格。プロスぺクトランキングでは球団傘下内11位に付け、ホットコーナーを守れる選手としての評価を受ける。翌年2018年、AAAで27本のホームランを放つなど活躍するとメジャー昇格。25試合に出場した。
その後2021年はLAD、2022年は再びOAKに所属しMLB通算147試合に出場。
内外野の守備に付き特に内野では強肩を武器に、持ち前の守備力を発揮。LAD時代もうちょっと伸びてればアウトやったやんけみたいなやらかししてたらしいけど。MLB通算成績は147試合に出場し、9本塁打、OPS.558。
rWAR-0.7、fWAR-1.1でOPS+は60となかなかにしんどい数字だった。
2023年シーズン、Nishinomiyaを本拠地とするTigersに移籍。ハビー・ゲラが港町綺麗だなあと言ってくれる偉大な街で新たなキャリアをノイジーはスタートさせた。
しかし綺麗な街とは裏腹に、ノイジーの打球角度は低迷を極めた。
実はゴロ率42.2%は平均を下回るが、そういう問題ではない。
緩慢な動きからの鋭い送球で何人かアウトにしたが、本職じゃない守備位置で苦労をしUZRは驚異の-8.0。wRC+も93と攻守ともに精彩を欠いた。
優勝が決まった後の広島戦あたりから長打が出だし「なんやねんこいつ」と思っていたが、まさか日本一を引き寄せる打撃を見せるとは。
([リプレイ回数が最も多い部分]は私も何度も見ている。)
★元プロスペクトとして。
2023年は落ちる系の変化球と外角低めに頗る弱く、ISOも.088ということで若手の邪魔をしている印象しかなかった。
2024年はちょっとメジャーリーガーっぽい打席も増えているのだが、この調子を果たして維持できるのかどうか。サンプルは少ないが別人のような成績になっている。今のところ悪くはない。
まとめ〆
以上、元プロスペクトの現在地でした。
もう希望的観測は使えないほどに打席数を貰い、化ける可能性も低くなっていくわけですが、持って生まれたタレントはウソではありません。
紹介した選手だけでなく、一人でも多くの選手が輝けたら嬉しいです。
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