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失われた感謝を求めて


2024年10月9日(水)朝の6:00になりました。

本当のありがとうは、ありがとうじゃ足りないんだ。

どうも、高倉大希です。




読むかどうかを決めるのは、読み手であって書き手ではありません。

だからこそ、読むと決めてくれたあなたにはとても感謝しています。


これがもし、読んで当たり前でしょうと思っていたとしたら。

当然、感謝の気持ちを抱くことなどないわけです。


相手の判断に対する敬意があってこそ、感謝の気持ちが生まれます。

この境目を見誤った瞬間に、わたしたちは簡単に傲慢になってしまいます。


確かに私は臨床心理学の専門家であるし、人の心ということを相手にして生きてきた人間である。しかし、実のところは、一般の予想とは反対に、私は人の心などわかるはずがかいと思っているのである。

河合隼雄(1998)「こころの処方箋」新潮社


手元に、ペットボトルに入ったお茶があります。

綺麗にラベリングされていて、製造所も記載されています。


このお茶だって、本当はどこかの誰かがつくっています。

多くの人々の努力があったからこそ、こうして手元に届いています。


しかし、このお茶に対して感謝の意気持ちを抱くことはありません。

過程にいるはずの人々が、意識からすっぽりと抜け落ちてしまっているからです。


だって「社会はみんなでつくっていくものなんだよ」「人のせいにしないで自分で考え、行動しようね」「おかしいと思ったらちゃんと声にしようね」「対立は必ず起きるから、それをどう解決するかを学ぼうね」って子どものときから教えなかったら、成長し続ける社会なんて絶対に実現しないですよ。

苫野一徳、工藤勇一(2022)「子どもたちに民主主義を教えよう」あさま社


そんな人々の判断がなければ、手元にお茶はありません。

お茶をつくるかどうかを決めるのは、消費者ではなく生産者です。


ところが、お茶が手元に届くことが当たり前の時代になりました。

買うかどうかを決めているのは、生産者ではなく消費者です。


それにより、生産者への感謝の気持ちが失われることとなりました。

これは感情の問題ではなく、構造の問題です。


企業活動からリスクをなくそうとしても無駄である。現在の資源を未来の期待に投入することには、必然的にリスクが伴う。まさに経済的な進歩とは、リスクを負う能力の増大であるの定義できる。

P.F.ドラッカー(2001)「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」ダイヤモンド社


だから「感謝しなさい」という言葉には、妙な気持ちのわるさを感じます。

構造の問題を、感情だけで解決しようとしているからです。


理解しなければならないのは、過程にいる人々の存在です。

自分ひとりでできることなんて、そう多くはありません。


今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

明日も、読みましょう。






サポートしたあなたには幸せが訪れます。