
物語に偶然はない
2023年8月11日(金)朝の6:00になりました。
夜行バスで神戸に到着しました。
どうも、高倉大希です。
物語には、偶然が起こりません。
雨が降ったのなら、そこには雨が降る必然性があります。
葉が落ちたのなら、そこには葉が落ちる必然性があります。
物語には、偶然が起こりません。
必要な役割を担う人物のみが、物語に登場します。
必要な役割を担い終えた人物は、物語から退場します。
「チェーホフがこう言っている」とタマルもゆっくり立ち上がりながら言った。「物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない、と」「どういう意味?」タマルは青豆の正面に向き合うように立って言った。彼の方がほんの数センチだけ背が高かった。「物語の中に、必然性のない小道具は持ち出すなということだよ。もしそこに拳銃が出てくれば、それは話のどこかで発射される必要がある。無駄な装飾をそぎ落とした小説を書くことをチェーホフは好んだ」
物語には、順序がつきものです。
こぶたがつくる家は、最初が藁でなければなりません。
旅人の服を脱がせるのは、最初が北風でなければなりません。
物語には、順序がつきものです。
大きなかぶを引っ張るのは、最後がねずみでなければなりません。
吊り橋をわたるのは、最後がおおきいやぎのがらがらどんでなければなりません。
おかしいな、と首を捻りながら、もう一度、石を拾った。川の流れは、まるで何事も無かったかのように今し方の波紋を消し去ってしまっていた。
現実には、偶然が起こります。
洗濯物を干した日に限って、雨が降りはじめることもあります。
落ちてきた葉が、頭の上に乗ることもあります。
現実には、偶然が起こります。
思わぬ人と、思わぬところで出会います。
思わぬ人と、思わぬところで別れます。
わたしたちは不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」だ。つまり、不合理性はいつも同じように起こり、何度も繰り返される。
現実には、順序があてになりません。
歳下だからといって、自分よりもすごくないとは限りません。
歳上だからといって、自分よりもすごいとも限りません。
現実には、順序があてになりません。
全員がこの note を、毎日読んでくれているとは限りません。
全員がこの note を、はじめて読んでくれているとも限りません。
毎朝6時に更新します。読みましょう。 https://t.co/rAu7K1rUO8
— 高倉大希|インク (@firesign_ink) January 1, 2023
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