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イタリア語 時制の一致3

こんにちは Minori です。YouTubeで覚えるイタリア語。今月は《時制の一致》をテーマにお送りしております。

引き続き Learn Italian with Lucrezia のチャンネルからのご紹介です。今回は,その3回目でございます。基本的に,動画の解説を日本語に訳したものを,記事にしていますが,例によって,私が口を挟んだ部分には 👧 マークをつけました。それでは,早速行ってみよう‼️

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こんにちは,私のチャンネルへようこそ。引き続き時制の一致la concordanza dei tempiについてお話したいと思います。今回は,条件法il condizionaleと,接続法il congiuntivo間の時制の一致について解説します。

その前に,時制の一致とはどういうものかを,さっと復習しておきましょう。

時制の一致la concordanza dei tempiとは,時間軸上に連続する出来事があったとき,主節la frase principaleの動詞の動作と比較して,従属節la frase subordinataの動詞の動作が,l'anteriorità前・過去なのか,la contemporaneità同時なのか,la posteriorità後・未来なのかの関係性を,動詞の時制を用いて 示すものです。

👧 第3回目の今回は,主節の動詞に条件法を使った場合の時制の一致です。

第1回目の時制の一致:主節:直説法 従属節:直説法
第2回目の時制の一致:主節:直説法 従属節:接続法
第3回目の時制の一致:主節:条件法 従属節:接続法

👧 1回目と2回目の記事をまだ読んでいないという方は,この記事の前に,1回目と2回目の記事を読んでいただくことを,お勧めします。

さて,今回は,主節の動詞 条件法il condizionaleを使った文の時制の一致について考えます。条件法には,《現在》と《過去》の2つの時制があるので,主節の動詞には,条件法現在,条件法過去の2つの時制が用いられることになります。また,2回目に取り上げた動詞と同様,今回も主節の動詞は,《意見》《考え》《感情》《懸念》などを表す《従属節に接続法を要求する動詞》です。したがって,従属節の動詞は,必ず《接続法》を使うことになります。

今回,私は主節の動詞に piacere〜が人に気に入られると,volere〜がほしい,〜がしたいを選びました。

Mi piacerebbe che …
Vorrei che …

主節:条件法現在

Mi sarebbe piaciuto che …
Avrei voluto che ….

主節:条件法過去

a. ANTERIORITÀ

主節の動詞《条件法現在》または,《条件法過去》で,それと比較して従属節の出来事が,anteriorità前・過去に起こったものである場合,従属節の動詞 には《接続法大過去》を使います。

Vorrei che Barbara ieri avesse passato l'esame.
バルバラが,昨日試験に合格していたらいいなあ。

主節:条件法現在  従属節:接続法大過去

Mi sarebbe piaciuto che Barbara avesse passato l'esame la settimana prima.
バルバラが前の週の試験に合格してたらよかったのに。

主節:条件法過去  従属節:条件法大過去

👧 う〜ん。1つ目の例文はいいとして,2つ目の例文は,意味がよく分からないなあ。「バルバラが試験に合格してたらよかった」と,「私は《過去に》思った」❓️ちょっと,状況が想像できないんですけど。とにかく,どちらの文も バルバラは試験に合格できなかった んでしょ?それを,話し手が残念がってる って状況よね。
👱‍♂️ まず,vorrei che と,mi piacerebbe che は,同じね。そこ,まず抑えてね。どっち使ってもいいよ。
👧 はい,分かりました。
👱‍♂️で,1つ目の文。主節が《条件法現在》 Vorrei che …. のほう。は,まだ結果は分かってないよ,きっと。バルバラが試験を受けて,合否の発表があったのが《昨日》だから,従属節は avesse passato になってる。でも,話し手は,バルバラが合格したかどうかまだ分かんないけど,試験に合格してたらいいなあと,《今》思ってる。だから Vorrei che … そうだといいなあ と,条件法現在を主節に使っていると俺は解釈する。
👧 なるほど。で?2つ目の文は?Mi sarebbe piaciuto って《条件法過去》になってるけど
👱‍♂️
うん,2つ目の文章から判断すると,Barbara は,試験に合格できなかったと考えられる。で,話し手は,彼女が合格してたらよかったのになあ,合格してほしかったなあと思っている。
👧 でもさ,話し手は,《今も》残念がってるでしょ? Mi sarebbe piaciuto と,《条件法過去》使うと,過去のその時点だけ,残念がってるって意味にならないの?
👱‍♂️ 主節に《条件法過去》を使ったのは,話し手の《過去の出来事》に対しての《願望・希望》だから。《条件法過去》を使うことで,話し手が《過去の時点で実現していなかったことについての希望》《現在の感情》と結びつけて 「そうだったらよかったのに」と表現しているってこと。実際には,起こらなかった過去の状況を想定して,もしそれが起こってたら(バルバラが合格してたら),今の気持ちは変わっていたかも知れない,というニュアンスを含んでる。
👧 なるほど。よく分かりました。

👧 とにかく,主節に《条件法》を使った場合。主節の動詞の動作・行為が行われた《時》と比較して,従属節の動作・行為が行われた《時》が,anteriorità前・過去であるなら,主節の動詞が《条件法現在》だろうが《条件法過去》だろうが,従属節の動詞には《接続法大過去》を用いる,ということのようです。

b. CONTEMPORANEITÀ

主節の動詞《条件法現在》または,《条件法過去》で,それと比較して,従属節の出来事が,contemporaneità同時に起っている場合,従属節の動詞 には《接続法半過去》を使います。

Vorrei che Barbara passasse l'esame.
バルバラに試験に合格してほしい。
→ バルバラが試験に合格すればいいなあ。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

おそらく,《今》,Barbara は,試験を受けているのでしょう。

Mi piacerebbe che Federica stesse meglio.
フェデリカに元気になってほしい。
→ フェデリカが元気になるといいなあ。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

今,元気のないフェデリカに,元気になってもらいたいと,話し手は《今》思っています。

Avrei voluto che Federica stesse meglio.
フェデリカが元気になってくれたらよかったのに。

主節:条件法過去  従属節:接続法半過去

つまり,その時,それはいつでもいいんです,とにかく,過去のある時です。その時,Federica は調子が悪かった。そして,話し手は,その時同時に「フェデリカが元気になってくれるといいなあ」と願っていた,ということです。

このように,contemporaneità同時性を表現するには,《接続法半過去》を使います。

c. POSTERIORITÀ

主節の動詞 が《条件法現在》または,《条件法過去》で,それと比較して,従属節の出来事が,posteriorità後・未来のことである場合,従属節の動詞 には,こちらも《接続法半過去》を使います。

Mi piacerebbe che Carlo mi telefonasse più spesso.
カルロが(これから)ちょくちょく私に電話してくれたらいいな。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

したがって,主節に《従属節に接続法を要求する動詞》の《条件法現在》または,《条件法過去》を使うと,従属節の動詞には《接続法大過去》か《接続法半過去》の 2択 だということです。

というのは,例えば,Vorrei che … と言った場合,Vorrei は,《現在時制》ですが,《現実の現在》としっかり結びついている《直説法現在》ではありません。これは,《願望・希望・欲望》に関連付けられたものであり,話は現実のそれとは切り離されています。この理由から,現実に密着した《直説法》を,従属節で使うことができないのです。《願望》を表す主節の場合,従属節でもその《願望》の文脈を保つ必要があるのです。

まとめ

次の文章を見てください。

Mi piacerebbe che Nina venisse alla festa.
Vorrei che Nina venisse alla festa.
ニーナがパーティに来てくれるといいなあ。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

今,パーティが行われていて,話し手はパーティに参加している。まだニーナが来ていないので,彼女も来れるといいなあと,話し手は思っている。どちらも《今》のことです。

👧 主節と従属節の《時》が同じ,contemporaneità同時です。

Mi piacerebbe che Nina venisse alla festa domani.
Vorrei che che Nina venisse alla festa domani.
ニーナが明日のパーティに来てくれるといいな。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

一方,alla festa domani 明日のパーティに とありますから,この文の venisse は,《明日》のことを指しています。つまり《未来》のことです。主節は現在で,従属節は未来のことを述べています。

👧 主節に対して,従属節は未来ことを述べていますので,posteriorità後・未来です。

Mi sarebbe piaciuto che tu fossi venuto alla mia festa.
Avrei voluto che tu fossi venuto alla mia festa.
君が私のパーティに来てくれたらよかったのに。

主節:条件法過去  従属節:接続法大過去

主節 Mi sarebbe piaciuto che … / Avrei voluto che … も,従属節 tu fossi venuto も,《過去》についてのものです。また,次のように言うこともできます。

Vorrei che Nina fosse venuta alla festa di ieri.
ニーナが昨日のパーティに来てくれたらよかったのに。

主節:条件法現在   従属節:接続法大過去

👧 ここはもう少し解説が欲しかったなあというところ。おかげで,もやもやが残ってしまいました。次の2つの文章についてです。

Vorrei che Nina fosse venuta alla festa di ieri.
ニーナが昨日のパーティに来てくれたらよかったのに。Avrei voluto che tu fossi venuto alla mia festa.
君が私のパーティに来てくれたらよかったのに。

👧 上の文も下の文も,従属節はどちらも《接続法大過去》で同じ。ということは,主節よりも《過去のこと》について語っている文章だというところは,両者で共通しています。ですが,主節が異なります。上の文の主節は,Vorrei che .. で,《条件法現在》ですが,下の文の主節は,Avrei voluto che …《条件法過去》です。私がここで❓️と思ったのは,どちらの文も日本語にすると,〜たらよかったのに としか訳しようがないということです。つまり,Vorrei che も,Avrei voluto che も 日本語にすると 〜たらよかったのに なんですよね。しかも,ここ,どうも納得がいかない。だって,どちらの文も《過去の出来事》について,残念がってる んでしょ。じゃあ,Vorrei cheAvrei voluto che ,それから Mi piacerebbe cheMi sarebbe piaciuto che は,どう使い分けたらいいの❓️
👱‍♂️ 《過去の時点で実現していなかったこと》に対して,「こうだったらよかったのに」というなら,《条件法過去》を使うのが一般的。条件法過去を使うことで,過去に実際には起こらなかったことに対しての《感情》が表現できる。でも,あえてここに《条件法現在》を使うなら,《その感情が今も残っている》と話し手が捉えている,ということ。
👧 そうなんだぁ~。条件法と接続法っていうのは,直説法と違って,感覚的な捉え方をしないといけないのかもしれないなあ。動画はもう少しつづきます。

他の例をみていきます。

A Daria piacerebbe che tu invitassi anche Bianca!
ダリアは君がビアンカも招待してほしいと思っている。

主節:条件法現在  従属節:接続法半過去

A Daria piacerebbe che ,ダリアは《今》そう望んでいます。何を?tu invitassi anche Bianca. 君がビアンカも招待することを。「君がビアンカを招待する」のは《今》かもしれないし《これから》かもしれません。

Quanto vorrei che i miei genitori mi avessero regalato un cellulare nuovo per Natale! Questo che ho non funziona più tanto bene …
両親がクリスマスに新しい携帯をプレゼントしてくれていたらどんなに嬉しいか。今持ってるのは,うまく動かないんだもの …。

Quanto vorrei che は,《今の気持ち》。mi avessero regalato un cellulare nuovo は,《過去起こってほしかったこと》。

Non possiamo iniziare a mangiare se Giorgio non arriva … Quanto vorrei che fosse già arrivato! Ho fame!
ジョルジョが来ないと,食事が始められないよ。どんなに彼にもう来ていてほしいと思うことか。お腹が空いた!

Quanto vorrei は,《今の気持ち》。fosse già arrivato は,《すでに起こってほしかった》こと。

👧 ぴったりな日本語訳がどうも見つかりません。状況はこうです。話し手はお腹が空いているので,すぐにでも食べ始めたいけど,ジョルジョがまだ来ていないから,食事を始められない。今この時点で,すでに彼が家に来ていれば,食事が始められたのになあと思っている,という状況ですね。こういう状況で,私達なら,どういうセリフが出てくるんでしょうねえ。いくら考えても思いつきません 😩
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はい,今回も長かったですね。お付き合いありがとうございました。最後までお付き合いくださる方は,どのくらいいるんでしょう 😅 書いている本人も,訳がわからなくなってくるくらいですから。3回にわたって Lucrezia の解説動画をお届けしました。時間の許す限り,他のイタリア人の解説動画も,お届けしたいと思っています。それぞれ解説の仕方も異なりますし,提示する例文も異なりますので,比較しながら,理解を深めていければいいなと考えているところです。それでは,またお会いしましょう。

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