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イタリア語の関係代名詞 2 CUI

こんにちは Minori です。
YouTubeで学ぶイタリア語。今月のテーマは「関係代名詞」。
今回はその第2弾でございます。今回取り上げる動画は,前回に引き続き Raff さんのチャンネルから。

👧 動画は,こんな Raff さんのこんな問いかけから始まります。

Catania, a cui ho abitato, è una città bellissima. ❌️
私が住んでいたカターニャは美しい街だ。

なぜ,このように言えないのでしょう。また,このような文章を時折目にします。

👧 ちょ,ちょっと待って? Raff さん。その文章って,そもそも間違ってるの?

VATICAN NEWS より

まこの見出しのように,前置詞を伴わない関係代名詞 CUI を時々見かけるのは,なぜなのでしょう。

👧 なんですって?前置詞とセットにしないで,関係代名詞 CUI単独で 使うケースがある?いやいや,本当ですか?これは気になりますよね。それでは早速,Raff さんに解説していただきましょう。途中,私のコメントを入れますが,その部分には 👧 マークをつけています。
___________________________

Salirono a bordo della Folgore sulla cui scala li attendeva il Corsaro.

E. Salgari, Il Corsaro Nero

このような文章は,一体どのように作られるのでしょう。このビデオは、関係代名詞『cui』のもう高度な使い方に焦点を当てています。もしこれがあまりにも複雑に感じられる場合は、まず『cui』の基本的な使い方を説明したこちらのビデオを見ることをお勧めします。

次のような文章。例えば ….。

Questa è la persona di cui parlavo
この方が,私が話していた人です。
Ecco la signora a cui ho dato le chiavi.
こちらが,私が鍵を渡した女性です。

あなたが,このような文章にすでに馴染みがあり,理解ができるのであれば,今回のビデオは,次のステップに進むためにぴったりの内容になっています。


1.PER CUI / RAGION PER CUI

関係代名詞 CUI の3つのよりハイレベルな使い方に進む前に、前のビデオで触れなかった表現を1つおさらいしておきたいと思います。

PER CUI という表現で,QUINDI  だから,したがって,それで という意味です。この表現は特に複雑な点はありません。このように使います。

Quest'anno ho molte spese per cui non vado in vacanza.
今年は出費が多い。だから,ヴァカンスには行かない。

per cui = quindi 。つまり,quindi non vado in vacanza. だから,ヴァカンスに行かない ということです。似たような表現に,ragion per cui / ragione per cui それが理由で,motivo per cui その理由で があります。例えば,次のように使われます。

Io stessa sono una lettrice, ragion per cui ho subito deciso di tenere il libro.
私自身が読書家である。そんな理由で,私は直ちにその本を手元に置くことにしたのだ。

Corriere della Sera, 18 agosto 2024

per cui, ragion per cui, ragione per cui, motivo per cui, いずれも,単純に quindi だから,したがって という意味です。

2.場所の補語の CUI

それでは,(3つあるうちの)最初の用法をご紹介しましょう。冒頭に紹介したこの文章をもう一度見てください。

Catania, a cui ho abito, è una città bellissima. ❌️

なぜ,このように言うことができないのでしょう。一見すると,文法的に正しいように思えます。次の2つの例を取り上げて解説します。

Catania è una città bellissima. Ho dedicato una poesia a Catania.
 カターニャは美しい街だ。私はカターニャに詩を捧げた。

例 ①

Catania è una città bellissima. Ho abitato a Catania.
カターニャは美しい街だ。私はカターニャに住んでいた。

例 ②

この2つの例は,非常に似ていますが,例 ① の方は,cui を使って,次のように言うことができます。

Catania è una città bellissima. Ho dedicato una poesia a Catania

Catania, a cui ho dedicato una poesia, è una città bellissima. ⭕️
私が詩を捧げたカターニャは,美しい街だ。

例 ①

一方,例 ② の場合は,同じようにすることができません。

Catania è una città bellissima. Ho abitato a Catania.

Catania, a cui ho abitato, è una città bellissima. ❌️

その理由は,とても単純で,前置詞 a に導かれる場所の補語 に対して,関係代名詞 CUI を使うことはできないからです。場所の補語 Il complemento di luogo というのは,どこに?どこで? dove?の質問に対する答えの部分です。 

Dove ho abitato?
Ho abitato a Catania. 

一方で,Ho dedicato una poesia a Catania.a Catania は,場所の補語ではありません(行為の対象対象です)。したがって,( 前置詞 a に導かれる部分が ) 例 ① (行為の対象)の場合は,関係代名詞 cui を使うことができます。

しかし,例 ② のように,場所の補語を示す場合は,a cui の代わりに dove を使います。したがって,次のように言うことになります。

Catania è una città bellissima. Ho abitato a Catania.

Catania, dove ho abitato, è una città bellissima ⭕️
Catania, a cui ho abitato, è una città bellissima. ❌️

3.前置詞 を伴わない関係代名詞 CUI

2つ目の用法です。では,関係代名詞 CUI が,前置詞を伴わないのはいつでしょうか? 前のビデオで, CUI は 間接目的語,つまり,前置詞によって導かれる補語に対して使うと説明しました。

Parlo di un libroIl libro di cui parlo …
Ho dato le chiavi a una signora → La signora a cui ho dato …
Lavora per una ditta → La ditta per cui lavora …
Vengo da un paese → il paese da cui vengo …
Esce con un ragazzo → il ragazzo con cui esce

このように,同じ前置詞を cui の前に置くと説明しました。これは全く問題ありません。しかし,cui の前に置く前置詞を省略することができる場合が1つあります。それは,前置詞が a の場合です。つまり,cui 単独でも,前置詞とセットの a cui のどちらを使ってもいいということです。意味に変化はありません。

Per il complemento di termine si oscilla tra cui ( che rispecchia fedelmente il dativo latino CUI "al quale") e a cui, forma dovuta al generico valore di obliquo - non solo dativele, dunque - assunto dal pronome in italiano, e che giustifica la presenza della preposizione a.

Luca Serianni, Grammatica italiana

理由は歴史的なもので、ラテン語に遡る必要があります。ラテン語では CUI は与格( 動詞の間接目的語を示す文法格 ) であり、すでに al quale 〜に という意味を含んでいます。その後、cui の使用が他の間接補語にも拡大して,(a 以外の) 他の前置詞に対しても使われるようになったとき、cui の前に前置詞 a を置く a cui も使われ始めました。現在では cuia cui の両方の形が存在し、どちらを使ってもかまいません。おそらく、前置詞なしの cui の方は,少し洗練された表現で、フォーマルな語調かもしれません。なぜか分かりませんが,私自身は前置詞を使って a cui と言いますし、学生たちにも前置詞を使うように勧めています。なぜなら、このようにした方が,システムがより論理的になると考えるからです。

つまり、私たちは cui の前に常に前置詞を使うと言えます。そして、私の考えでは、これがより論理的なシステムであり、覚えやすい。しかし、 cui が前置詞なしで使われているのを見ても、それは決して間違いではなく、a cui と同じ意味だということを知っておくことが大切です。

4.所有形容詞のような CUI

次に 3つ目の上級レベルの使い方です。次のような文章で見受けられます。

Tutti gli occhi si erano fissati sul Corsaro Nero, la cui figura spiccava stranamente sulla linea grigiastra dell'orizzonte.
皆の目が,Corsaro Nero (黒い海賊) に釘付けになり、その姿は,灰色がかった水平線に妙に際立っていた。

E. Salgari, Il Corsano Nero エミリオ・サルガーリ 黒い海賊より

Una meravigliosa palma, le cui foglie raggiungono l'incredibile lunghezza di 50 piedi.
その葉が,50フィートの驚くべき長さに達する素晴らしいヤシの木。

E.  Salgari, Il Corsano Nero エミリオ・サルガーリ 黒い海賊より

こちらの用法でも,cui の前に前置詞が使われていないことにお気づきでしょうか。ですが,こちらは 3の用法とは異なる使い方です。ここで注目して頂きたいのは,cui の前に定冠詞 があることです。

このような文は,どのように作るのでしょう。次の2つの文を使って解説します。

Gianni ha risolto il problema.
ジャンニは問題を解決した。
Il padre di Gianni è un famoso matematico.
ジャンニの父は有名な数学者だ。

2つ目の文の di Giannicui に置き換えることができます。この場合の cui は,di Gianni ということですが,注意点としては,前置詞なし ,前置詞は伴わない ということ,そして,定冠詞と名詞の間cui を置くことです。

Il padre di Gianni ……
               ↓ 
Il cui padre ……...
cui = di Gianni

il padre di Gianni は,il cui padre となります。そして,この語句を,Gianni のすぐ後,つまり説明を追加する名詞の直後に置く必要があります。

Gianni, il cui padre è un famoso matematico, ha risolto il problema.
ジャンニ,その父が有名な数学者であるが,問題を解決した。

父が有名な数学者であるジャンニが,問題を解決した。

cui の位置について,注意してください。もう一度申し上げますが,cui は,定冠詞と名詞の間に置かれます。この点については,強調して申し上げたいと思います。イタリア語以外の言語では,語順が異なる場合があるからです。

先ほど挙げた例文に戻ります。先程の,エミリオ・サルガーリ著Corsaro Nero 黒い海賊 からとった文章です。

Tutti gli occhi si erano fissati sul Corsaro Nero, la cui figura spiccava stranamente sulla linea grigiastra dell'orizzonte.
la cui figura = la figura del Corsaro Nero 黒い海賊の姿

Una meravigliosa palma, le cui foglie raggiungono l'incredibile lunghezza di 50 piedi.
le cui foglie = le foglie della palma ヤシの木の葉

la cui figura は,la figura del Corsaro Nero で,le cui foglie は,le foglie della palma だということがご理解いただけるでしょうか。

もうひとつ覚えておきたいことは,定冠詞は変わることがある ということです。Gianni ha risolto il problema. の文をもう一度使います。

Gianni ha risolto il problema.
Il padre di Gianni è un famoso matematico.
  ↓
Lo zio di Gianni è un famoso matematico.

先程は il padre だったところを,lo zio おじさん に置き換えてみましょう。z で始まる語 zio につく定冠詞は,lo です。しかし di Giannicui に置き換えると,文は次のようになります。

Gianni, il cui zio è un famoso matematico ….

定冠詞 lo は,z で始まる語の前につける形です。lo zio。ですが,il cui zio の語順になると,定冠詞は cui 前に置くことになりますので,lo は使う必要がなくなり,il を使うことになります。

定冠冠詞は変わることがある,と申し上げたのはそういうことです。もちろん,定冠詞は女性形だったり,複数形であったりすることもあります。それは,次に続く単語によって決定されます。さらに,定冠詞の前に,前置詞が必要な複雑な場合もあります。次の2つの文を見てみましょう。

Salirono a bordo della Folgore.
彼らはいかずち号に乗り込んだ。
Sulla scala della Folgore li attendeva il Corsaro Nero.
いかずち号のはしごの上で,黒い海賊が彼らを待ち受けていた。

2つ目の文の della Folgore の代わりに cui を使います。ちなみに,Folgore いかずち号 というのは,黒い海賊の船です。cui は,常に同じ位置に置かれます。つまり,定冠詞と名詞の間です。ですからここは,lascala の間に置くということになります。ただし,この場合,定冠詞 la は,前置詞 su との結合形 sulla になっているため,定冠詞は la のままで,sulla cui scala となります。

👧 ここの説明は,個人的に疑問です。ごめんね,Raff

Salirono a bordo della Folgore, sulla cui scala li attendeva il Corsaro Nero.
彼らがいかずち号に乗り込むと,そのはしごの上で,黒い海賊が彼らを待ち受けていた。

👧 Salirono a bordo della Folgore. 彼らはいかずち号に乗り込んだ。すると,その船のはしごの上には,彼らを待ち受ける黒い海賊がいたって話ですよね。その船 la barca 。だから,女性です。なので,その船のはしごの上 は,イタリア語では sulla sua scala 彼女のはしごの上 と表現します。で,この所有形容詞 suacui に変えるので,sulla cui sucala になるよってだけの話。冠詞前置詞 sulla だから,ここの定冠詞は la になるんだっていう,Raff さんの説明には,ちょっと納得がいきませんでした。

Raff さんの動画に戻ります。

このように,定冠詞 + cui + 名詞 の 定冠詞に,前置詞との結合形(冠詞前置詞)を用いる場合があります。

la casa nella cui cantina hanno trovato un tesoro
ワイン貯蔵庫がある家で,彼らは宝物を見つけた

私のアドバイスですが,複雑でねじれた文章は避けることを,常に心がけてください。おそらく,同じ内容を伝えるのに,もっと単純に言う方法があるでしょうから。ですが,イアリア語を,読んだり書いたりするために,このような cui を使った構文を理解することは,確かに重要です。
__________________________

はい,本日はここまでです。4つ目の cui の用法,難しいですよね。会話ではあまり聞かないような気がしますが,文章では,よく見かけます。要は,所有形容詞ってことですよね。例えば …。

Il regista è molto famoso.
その監督はとても有名だ。
Il suo film ha vinto l'Oscar.
彼の映画はオスカーを受賞した。

この2つの文章を一つにして,次の日本語の内容を表す文にしたいとします。

(彼の)映画がオスカーを受賞したその監督は,とても有名だ。

2つ目の文章の,il suo filmsuocui に変えればいいだけの話なんですよ,要は。つまり il suo film → il cui film 。で,il cui film を,ha vinto l'Oscar という説明を追加したい 名詞の直後 に置けばいい。それだけ。

Il regista, il cui film ha vinto l'Oscar, è molto famoso.
その映画監督,彼の映画がオスカーを受賞した,はとても有名だ。

こう考えると,ものすごい簡単ですよね。もう一つ練習してみましょう。

Marco è francese.
マルコはフランス人だ。
Il suo cane è un barboncino.
彼の犬はプードルだ。

① il suo cane → il cui cane
il cui cane を,情報を追加したい名詞 Marco の直後に置く。

Marco, il cui cane è un barboncino, è francese.
マルコ,彼の犬はプードルだ,はフランス人だ。

プードルを飼っているマルコはフランス人だ。

とはいえ,今紹介した2つの例は,どちらも最初から所有形容詞が使っていましたから,分かりやすかった。

il suo film → il cui film
il suo cane → il cui cane

ですが,この場合はちょっと一捻りが必要です。

Gianni ha risolto il problema.
Il padre di Gianni è un famoso matematico. 

慣れるまでは,この工程が必要かもです。

il padre di Ganni 

il suo padre

il cui padre

Gianni, il cui padre è un famoso matematico, ha risolto il problema.

ここで動画の解説を思い出していただきたい。Raff さんが,動画の中で言っていた,定冠詞は変わる可能性があるよって話z で始まる語 zio につける定冠詞は lo なんだけど,だからって,lo cui zio とはならないよ。il cui zio だよ。定冠詞が lo から il のように,変わることもありますよと説明していた部分。そこは,分かりにくかった。つまり,こういうことでしょ。

先程の,il padre di Gianni → il suo padre → il cui padre の,この工程があってからの il cui padre だっていうのが理解できると,ここで絶対に 定冠詞 lo は,出てこない。

Gianni ha risolto il problema.
Lo zio di Gianni è un famoso matematico. 

lo zio di Gianni

il suo zio

il cui zio

Gianni, il cui zio è un famoso matematico, ha risolto il problema.

この cui は,suo なんだから,定冠詞は il に決まってる。(ちなみに,所有形容詞を使う場合は,単数親族名詞には定冠詞つけませんけどね。⭕️ suo zio  ❌️ il suo zio

で,この定冠詞の選択ね,日本の参考書ではこう言っている。

定冠詞は,所有の対象となる名詞の性・数に合わせる。

高橋洋子著:イタリア語文法 これが知りたかった!

定冠詞は cui の後に続く名詞の性と数に一致させる。

京藤好男著:中級へのイタリア語文法

定冠詞の性・数は,cui の後ろの名詞に合わせます。

張あさ子著:日記を書いて身につけるイタリア語

どの本も一様に,cui の後ろの名詞の性・数で,定冠詞が決定するとなっています。それはそうで,決して間違っていないんだけど,イマイチ,なんとなく理解できなかったんです。でも,この cui って,もともと所有形容詞だったってことが,今回はっきり分かって,ようやくこの 所有形形容詞的に使う関係代名詞の cui の用法 が,理解できました。

Gianni ha risolto il problema.
Lo zio di Gianni è un famoso matematico. 

Lo zio di Gianni

Il suo zio

il cui zio

Gianni, il cui zio è un famoso matematico, ha risolto il problema.
ジャンニ,その叔父が有名な数学者である,が問題を解決した。

Gianni ha risolto il problema.
La zia di Gianni è una famosa matematica.

la zia di Gianni

la sua zia

la cui zia

Gianni, la cui zia è una famosa matematica, ha risolto il problema.
ジャンニ,その叔母が有名な数学者である,が問題を解決した。

それから,a cuia の省略について,坂本鉄男著の現代イタリア語文法に,こんな記述がありました。

a cui の a は,ラテン語文法の影響で,古典ばかりでなく現代文でも省略されることがある。
Verrà alla due quell'amica cui (= a cui) ho telefonato poco fa.
少し前に渡しが電話したあの女友達は,2時に来るでしょう。
Non mi risponde ancora quella casa editrice cui (= a cui ) ho scritto.
私が手紙を出したあの出版社はまだ返事をよこさない。

坂本鉄男著:現代イタリア語文法

はい,お疲れ様でした。うん,面白い‼️イタリア人が説明するイタリア語は,やっぱり一味違います。新たな気づきがありますよね。

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