イタリア語 時制の一致 1
こんにちは Minori です。10月に入りまして,今年もいよいよ残すところ3ヶ月となりました。YouTubeで学ぶイタリア語。10月のテーマは時制の一致です。これもイタリア語学習者を大いに悩ませるテーマですよね。できるだけ多くの動画をご紹介していけたらと思っています。
今回取り上げる動画はこちらのチャンネルから。
Lucrezia のチャンネル Learn Italian with Lucrezia から。彼女のチャンネルは,登録者数がなんと 67.1万人でダントツです。外国語解説動画でこれほどの登録者数を獲得している方は,他にいないでしょう。あの有名な(私の中で)ニックさんのチャンネル ニック式英会話でさえ,55.7 万人ですから。理由はなんでしょうね。正直,内容が飛び抜けていいという感じはしないんです。他のイタリア人の解説動画だって,同じくらい分かりやすいですから。じゃあ,なんだろう …。🤔 可愛いからかなあ?長くやってるからかなあ?まあ,それはいいとして。Lucrezia の時制の一致についての動画は 3本立て。今回はその1本目をご紹介します。いわゆる《基礎編》ですかね。例によって,私が口を挟んでいるところは 👧 マークをつけました。それでは,早速行ってみましょう‼️
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私のチャンネルにようこそ。今回は,直接法の時制の一致について学びます。その前に,時制の一致とは何かを理解する必要があります。
時制の一致とは,時間軸上に連続する出来事があったとき,主節の動詞の動作と比較して,従属節の動詞の動作が,l'anterioritàなのか,la contemporaneitàなのか,la posterioritàなのかの関係性を,動詞の時制を用いて 示すものです。
つまり時制の一致とは、言語的な観点から、動詞の時制を使って、時間的に連続する出来事を,過去、現代、未来の時系列に沿って適切に語ることです。
詳しい解説に入る前に,次の概念を理解して頂く必要があります。主節の出来事に対して,従属節の出来事が次の3つのどの時間に当てはまるのか,ということです。
この3つの概念については,こちらの動画で説明しています。
この3つの概念を理解されていないと,今回のレッスンについていくのが,難しいです。是非,先にこちらの動画を御覧ください。
では,用語の復習を少ししましょう。主節と 従属節が何を意味するのかを説明します。なぜなら,この2つの言葉を今回のビデオでは多用するからです。
主節とは,それ単体(1文)でも,独立して意味が成り立つ文です。一方,従属節は,主節なしでは意味が成り立たない文です。
👧 つまり,従属節は,単体で使うことができないということです。
この文の従属節 che hai fatto la cosa giusta だけでは,意味がありません。che という接続詞で導入されたこの文は従属節となり,主節,この場合は So ですが,それと組み合わせることで初めて意味を持ちます。
私たちが作る文は,現在・過去・未来のいずれかの主節を持ち,その後に従属節が続きます。従属節の動詞の時制は,主節の動詞との時間関係によって決定されます。その動作がいつ起こるのかに依存しています。
従属節の動詞の時制は,主節の動詞の動作と比較したタイミングで決まります。つまり,主節の動詞の動作を基準にして,それよりも前(過去)に起こった動作なのか,それと同時に起こっている 動作なのか,それよりも後(未来)に起こる 動作なのかによって,従属節の時制が決まるということです。
1.主節の動詞の時制が《現在時制》
まず,主節の動詞の時制が《現在時制》の場合から始めましょう。ここで使う動詞は,dire, sapere, raccontare といった,従属節に接続法を要求しない動詞 です。
3つ目の文は,近過去ですが,appena があります。Fabio ha appena detto che … というと,形の上では過去形ですが,現在に非常に近い過去なので,現在の動作と考えます。
例えば,Ho appena saputo.も同様です。確かに,動詞の時制は近過去ですが,意味的には現在に非常に近いです。なぜなら「知った」のは,5秒前のことかも知れません。このような場合,私たちイタリア人は《現在の動作》と考えます。
a. ANTERIORITÀ
主節の時制が《現在時制》で,それと比較して従属節の動作が,anterioritàに起こった動作である場合,その関係を表現するのために従属節に用いる時制には,選択肢が《3つ》あります。
従属節の動詞の時制には,近過去, 半過去, 遠過去のいずれかを使うことができますが,これは,私たちが何を言いたいかによって決まります。
■ 従属節に《近過去》を使用する場合
Barbara が,è partitaのは,最近の出来事ですが,(主節の出来事と比較して) 過去の動作であるため,《近過去》を使用します。主節の動詞の時制が現在時制であり,それと比較して,従属節の出来事が《前・過去に起こった》ものであるなら,時間軸上で少し過去に遡る必要があります。そして,現在よりも少し過去の動作(最近の出来事)に使用する時制は《近過去》です。
■ 従属節に《半過去》を使用する場合
前述の例と同様,過去のことについて話しているのですが,ここでは私は,特定の理由で 半過去を使いました。では,これはどのような過去でしょうか?
giocava は《過去の習慣》で,過去に頻繁に繰り返された動作を表しています。da piccolaという語があることから分かるように,これは現在のことではありません。つまり,この文は,ジョルジャの 子供の頃(過去)の習慣 について述べたものです。
■ 従属節に《遠過去》を使用する場合
次の例に進みます。こちらも《過去の出来事》について述べたものです。
ここで私が,遠過去を使ったのは,(彼の祖父母が出会ったのは)最近のことではなく,50年代(昔)のことだからです。昔のことなので,私はここでは,《遠過去》を選びました。
以上のように,主節の動詞の時制が《現在》で,それと比較して,従属節の出来事が anterioritàである場合,それぞれのルールに従って《近過去》《半過去》《遠過去》の3つの選択肢の中からどれかを選ぶことになります。
b. CONTEMPORANEITÀ
次に,主節の動詞の時制が《現在時制》で,それと比較して従属節の動作が,contemporaneitàである場合の表現の仕方を解説します。主節の動作と同時の動作を,従属節で表現するには,常に《現在時制》を使用する必要があります。
c. POSTERIORITÀ
一方,主節の動詞の時制が《現在》で,それと比較して従属節の動作・出来事がposterioritàである場合は,従属節の動詞の時制には直接法単純未来を使います。
つまり,Carlo mi regalerà un bel quadroのは,Fabio mi diceという動作よりも《後》に起こる動作ということになります。つまり,ragarareという動作は,direという動作のdopoに起こることを表現しています。
2.主節の動詞の時制が《過去時制》
次は,主節の動詞の時制に《過去時制》を使う場合を説明します。
a. ANTERIORITÀ
主節の動詞の時制が《過去時制》で,それと比較して従属節の動作が,anterioritàに起こった動作である場合,それを表現するのには,直説法大過去を使います。
このように,主節の動詞の時制が《過去時制》で,それと比較して,従属節の出来事が《前・過去》に起こったものであるなら,従属節の動詞の時制には 大過去を使います。
b. CONTEMPORANEITÀ
次に,主節の動詞の時制が《過去時制》で,それと比較して従属節の動作が,contemporaneitàである場合の表現の仕方を解説します。この場合,従属節の動詞の時制には,l'imperfettoか,l'imperfetto progressivoを使うことができます。
2つの文にある,quel giornoや,|in quel momento《その時,あの時》という語も,時間軸の理解の助けになります。
c. POSTERIORITÀ
次に,主節の動詞の時制が《過去時制》で,それと比較して従属節の動作が,posterioritàである場合の表現の仕方を見ていきましょう。つまり,従属節の動作が,主節の過去の動作よりもdopoに起こった場合です。
この表現は futuro passatoと呼ばれるものです。過去における未来を表現するには,条件法過去を使用します。
私はファビオと話をしていた《過去の瞬間》について,語っているのですが,その瞬間は,私たち(私とファビオ)にとって《現在》です。
その《過去の瞬間》に置いて,Fabio は,「カルロが私に電話する」ことを《直説法単純未来》で伝えていたでしょう。ですが,私たちはあくまでも《過去に起きたこと》を語らなければならないので,(たとえ過去のその時点では,未来のことだったとしても)《直説法単純未来》は使うことができません。《条件法過去》を使って表現しなければならないのです。これが,いわゆる有名な,そしてfamigerato,futuro nel passatoというものです。
3.主節の動詞の時制が《未来時制》
次は,主節の動詞の時制が《直説法単純未来》の場合を考えます。これはとてもシンプルですが,《未来》のことであることを正確に伝えるために,接続詞 quando が使われることも重要なポイントです。
a. ANTERIORITÀ
主節の動詞の時制が《直説法未来》で,それと比較して従属節の動作が,anterioritàに起こった動作である場合,それを表現するのには,先立未来を使います。
この従属節は,主節の《未来》の動作よりもprimaに起こることはil futuro anterioreで表現します。
Chiamerò Luisa quando sarà tornata a casa. というのは,まず先に Luisa が家に帰宅し,Luisa が家に戻った後で,私が彼女に電話する,という時系列です。
il futuro anterioreというのは,il futuro sempliceの《前》に行われる動作です。
b. CONTEMPORANEITÀ
主節の動詞の時制が《直説法未来》で,それと比較して,従属節の動作が,主節の動作とcontemporaneitàに起こっている場合です。この場合,従属節の動詞の時制はil futuro sempriceを使います。
c. POSTERIORITÀ
次に,主節の動詞の時制が《単純未来》で,それと比較して従属節の動作が,さらにposterioritàである場合です。つまり,従属節の動作が,主節の未来の動作よりもさらにdopoに起こる場合です。
この場合も,従属節の時制は単純未来となり,b の場合と同じです。
はい,今回の動画はここまでです。この後,主節が直説法で,従属節に接続法を用いる場合,そして,主節が条件法で,従属節に接続法を用いる場合 の時制の一致の解説をします。
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はい,大変お疲れ様でした。もう,いろいろ混乱してますよね。分かります,分かります。覚えたそばから,忘れますもの。みんなそうですよ。今回の動画で,解せないところが一箇所ありました。3の,主節の動詞の時制が《未来時制》の場合です。
Lucrezia の説明だと,上の文は anteriorità だから,従属節の時制には《先立未来》を使い,下の文は posteriorità だから,従属節の時制には《単純未来》を使うんだよ,ということになっています。
まあ,こう言葉で言われてもね,ピンと来ないのが実情ですわ。なので,図で確認したいと思います。
上の文は,anteriorità なんだから,主節と従属節の時系列の順序はこうなるはずです。
《従属節》 → 《主節》
で,下の文は,posteriorità なんだから,主節と従属節の時系列の順序は,こうなるってことでしょ,と私は理解していた。
《主節》 → 《従属節》
上の文についてはいいんです,その時系列で。
ちゃんと,《従属節》→《主節》の順になっています。ですが,2つ目の文を図解化するとどうなるかというと …。
お分かりいただけるでしょうか。本来は《主節》→《従属節》の時系列を示す posteriorità (従属節の動作が,主節の動作の後に起こる)なのに,《従属節》→《主節》の順になってるではありませんかっ‼️ ここで,あれあれ?と頭を抱えてしまったわけですね,私は。で,主節が《現在時制》の場合と,《過去時制》の場合の posteriorità の文も確認しました。
この文の,主節と従属節の時系列を考えると,こうですよね。《主節:ファビオが私に言う》→《従属節:(後で)カルロが私にプレゼントする》
はい,ちゃんと動作が起こる順番は《主節》→《従属節》になっています。次は主節が《過去時制》の場合の posteriorità です。
この文の,主節と従属節の時系列を考えると,やはりこうなります。《主節:ファビオが私に言った》→《従属節:(後で)カルロが私に電話する》
はい,これもちゃんと動作が行われた順序は,《主節》→《従属節》の順になっています。でも,主節が《未来時制》のこの文は?
単純に《主節》→《従属節》の順で,考えてしまうと,「電話してから,5分間の空きができる」という全く意味不明の解釈になってしまいます。当然ながら,「5分の空き時間ができたら,ルイーザに電話する」と解釈するのが普通ですよね。図で考えても一目瞭然。
なぜか,主節が《未来時制》のときだけ,posteriorità なのに《従属節》→《主節》という時系列になってるんですね。ど,ど,ど,どういうこと❓️😳 ヴァレちゃぁ〜ん‼️教えてぇ‼️
👱♂️ こんにちは Valentino でっす。お久しぶりです。
👧 これって,どういうこと❓️考えても考えても分かんないんだけど。
👱♂️ quando avrò 5 minuti liberi. は,《完了》してないでしょ‼️
👧 へ❓️
👱♂️ この文では,従属節 sarà tornata a casa 《ルイーザが帰宅する》という動作が《完了》したその後に,《私がルイーザに電話する》んでしょ。
👧 うん,そうだよ。
👱♂️ つまり,《直説法未来》で表された動作の前に《完了》している動作だから,従属節に使う時制は《先立未来》じゃないとだめ。《先立未来》というのは,未来のある時点よりも前に完了しているであろう行為や動作 を表す時制だから。
👧 quando がある従属節が先だと,分かりやすいね。時系列と同じ順番だから。うん,OK。これは納得。
👱♂️ じゃ,この文の従属節は❓️
👱♂️ これは,《5分間の空き時間の間》にルイーザに電話するってことでしょ?
👧 そうだよ。
👱♂️ じゃ,ルイーザに電話するときは,5分間の空き時間はまだ終わっていない,つまり《完了していない》ってことでしょ。だから,《単純時制》じゃないとダメ,って話。だから,この文の従属節の時制も《単純時制》じゃないとだめ。
👧 できた時間中に,買い物行くってことだもんね。
👱♂️ ここで仮に,従属節に《先立未来》を使ってしまうと …。
👱♂️ これだと,時間ができて,その時間ができたことが終わって,それから買い物に行くってことになってしまう。不自然だ。時間がなきゃ,買い物いけないもんね。
👧 はああ,なるほどぉ。主節が《直説法単純未来》の場合に限っては,時系列で考えるとダメなのかも知れないな。直説法単純未来で示されている動作の前に行われるであろう動作が,すでに《完了》したことなのか,まだ《未完了》なのかで考えないとダメなんだ,多分。でもこれはきっと,《時間があったら》 みたいな表現に限られる気がする。
というわけで,余計ごちゃごちゃにしてしまった感がありますが,それにもめげず,繰り返しやっていこうと思います。次回もどうぞおいでくださいませ。
🇮🇹 イタリア語オンラインレッスン 🇮🇹
Skypeでヴァレがイタリア語のオンラインレッスンをしています。妻である私が言うのもなんですが、ヴァレのレッスン、なかなか良いんですよ。日本の方々にイタリア語を教えて、もう30年だからでしょうか。文法マニアの私のちょっと鋭くてひねりのある質問にも、すぐに的確に答えられるのには驚かされます。やっぱりすごいなと、夫ながら思わず感心してしまいます。彼のレッスンを傍らで聞いていると、イタリア人のコミュ力はすごいなあとつくづく思います。あれは生まれつきのものなんでしょうかね?
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