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南の人はクラクション好き?

こんにちは Minori です。
字幕で覚えるイタリア語。
今回も,Natale a tutti i costi 
こちらのセリフを拝借して,
普段遣いのイタリア語表現を
学んでいきたいと思います。

実家を巣立っていった息子と娘。
2人の子供は実家を出て以来,
実家に寄り付かず,
ほとんど連絡もよこさない。

まあ,そんなもんでしょうと
普通なら思うところでしょうが,
子供たちを溺愛するアンナは
なかなかそう割り切れない。

娘 アレッサンドラの誕生日なら,
きっと2人は実家に戻るだろうと
確信していたが,それもアッサリと
すっぽかされ,怒りのあまり,
手間ひまかけて作ったケーキを
ゴミ袋に投げ捨ててしまう。

そんなところで前回は
終わったんでした。

ケーキの入ったゴミ袋を
家の外のゴミ箱に捨てようと
外に出たところに,
向かいに住んでいるロレダーナも
ちょうど家から出てきて,
家の前で鉢合わせする。

アンナとロレダーナ,
年の頃はほぼ同じ。

子供に相手にされないアンナに対して,
ロレダーナの娘 マヤ は夫と子供を連れ
頻繁に実家に戻って来る。

この日も娘が来るというので,
ロレダーナは彼女を迎えるために,
外に出てきたというわけ。

娘に慕われているロレダーナに、アンナは
日頃から密かな嫉妬心を抱いている。

子供たちに無下にされ,
腹の虫がおさまらないところに,
タイミング悪く,娘を出迎える
幸せいっぱいのロレダーナと
出くわしたもんだから,
アンナの心中は穏やかじゃない。

はい,今回はこの2人の会話を
取り上げます。
ロレダーナに八つ当たりする
アンナのセリフに注目です。
今回の登場人物はこの二人。

👩 Anna
👩‍🦱 Loredana

ケーキの入ったゴミ袋を
足でゴミ箱に押し込むアンナ。
子供たちに総スカンを食らい,
その怒りをゴミにぶつけてる。

そこに現れたのはロレダーナ。

👩‍🦱 Ciao.
      あら。

👩 Ciao.
      どうも。

👩‍🦱 Sto aspettando Maya.
   マヤを待ってるの。

👩 Ah, che brava.
      ステキね。

と言いつつ,顔がこわばるアンナ。

👩‍🦱 I tuoi ragazzi non vengono a pranzo?
      お子さんたちは?

子供たちは,お昼,食べに来ないの?
とロレダーナに言われ,今日,みんなで
集まる予定になっていたことを,
なんでお前は知ってるんだ?
一瞬、固まるアンナ。

👩 Eh?
      え?

👩‍🦱 Mi ricordavo che era il compleanno
   di Alessandra oggi.
   
アレッサンドラの誕生日でしょ

この文章,ド直訳すると
今日はアレッサンドラの誕生日
だったことを私は思い出しました。

となりますが,これで,日本語の
今日はアレッサンドラの誕生日でしょ

Oggi è il compleanno di Alessandora, vero?

と日本語ド直訳のイタリア語で
言っても通じると思いますが,
今日は〇〇の日だったのね,は,
Mi ricordavo che era 〇〇 oggi.
という表現のほうが,ナチュラル。
よく耳にしますから。

時制にも注目して下さい。
直接法半過去を使っています。

ロレダーナが,娘の誕生日を覚えてる?
私たちそんなに親しくもないのに?
嬉しいというより,すべて見透かされている
ような居心地の悪さを感じるアンナ。
動揺を隠しながら答える。

👩 Ah, sì. Che memoria! Complimenti.
   ええ,すごい記憶力ね!

この Complimenti! も,イマイチ
使い方がわからない単語の一つ。

あるときは,おめでとう!だし,
あるときは,すごいねえ!だし,
皮肉に使ったりもするし,
senza complimenti と言えば,
遠慮なしに という意味になるし。

今日はアレッサンドラの誕生日なのに,
子供たちがいる気配がしない。
感のいいロレダーナはすぐに気付き,
傷口に塩を塗るべく,上から目線でこう言い放つ。

Ah!!!!

👩‍🦱 E non viene a festeggiare? 
      (彼女)来ないの?
       Ah!!!!

誕生日なのに実家で一緒にお祝いしに
来ないの?あなたの娘。
それはそれは,お可哀そうに と大げさに,
Ah! あらまあ!と残念がるふりをする
ロレダーナ。

ここで言われっぱなしで大人しく
黙ってないのが,イタリア人。
アンナの反撃が始まります。

👩 No, perché dice che non vuole che
      io mi sbatta in cucina, mhm.
      Ci porta fuori da qualche parte.
      Ci fa una sorpresa.
     台所は大変だから,店でごちそうするって。
   サプライズよ。

最初の一文を見てみます。

No, perché dice che non vuole 
che io mi sbatta in cucina.

ベースの構文は,volere che + 接続法
「人に〜してほしい」

ここは,否定文ですから,
人に〜してほしくない となります。
細かく区切って,ド直訳で考えていきます。

No,
いえ(彼女は来ないわ)
perché dice che
だって彼女が〜って言うからさ
non vuole che
彼女は〜を望まない
io mi sbatta in cucina.
私が台所で頑張ることを

日本語を整理します。

いいえ(彼女は来ないわ)
だって,彼女は私に台所で頑張って
ほしくないって言うんだもの。

io mi sbatta は,sbattersi
接続法現在1人称単数形。

sbattersi ですが,辞書には
動転する,動揺する という意味しか
載っていなくて,これじゃあ意味が❓️です。
ここでヴァレさん登場です。

 👨 sbattersi には,結果を達成するために
        右往左往しながら努力する
 
       という意味もある。例えば .... 。

Da mesi si è sbattuto a destra e a sinistra per
trovare un lavoro, ma finalmente ha ricevuto
un'offerta interessante.

数ヶ月間、彼は仕事を見つけるために右往左往
してきたが、ついに興味深いオファーを受けとった。

Non vuole che io sbatta in cucina.
彼女(アレッサンドラ)は私が
台所で右往左往しながら頑張ることを
望んでいない。

なので ... 。

Ci porta fuori da qualche parte.
(彼女は)私たちをどこかに連れ出す。
Ci fa una sorpresa.
(彼女は)私たちを驚かせます。

↓ そこからのぉ...。

台所仕事は大変だから,
店でごちそうしてくれるって。

なるほど,これならしっくりくる。
一方,それを聞いたロレダーナ。
どうせ,でまかせでしょうと
心の底では思っているが,そこは。

Ah, Bello.

👩‍🦱 Ah. Bello.
  ステキね。

と,白々しく返す。
アンナも攻撃を緩めない。

👩 Perché sai, sempre venire qui a mangiare
      diventa una menata, son proprio due palle.

      いつも家に集まるのは大変でしょ。

sempre venire qui a mangiare
食べにいつもここに来ること

ここまでが主語ですね。それが .... 。
diventa una menata ....
つまり,una menata になる,と。

menata 。女性名詞で,振ること,揺り動かすこと
棒でひどく殴ること と辞書にありますが,
これじゃ,まったく意味が通じないので,
セリフの menata は,3つ目の意味で
使われてると思われます。

《俗》叱責,非難,しつこい要求

が,それでも今ひとつしっくりしない。
そこでネットでしらべると...。

Lamentela; rimprovero ripetuto 
troppo spesso; richiesta insistita.
 
不平;あまりにも頻繁に繰り返される
非難しつこい要求

Cosa futile, fatto lungo e monotono 
che viene a noia.

無駄なこと,長く単調で嫌になる,
うっとうしくなるもの

とありました。つまり,アンナは
いつもいつも家に来られると,
うんざりしてくるよね,と言っている。
そして付け加えたのが,これ。

son proprio due palle

son = sono ですが,ド直訳すると....

sono proprio due palle
それはマジで2つのボールだ

はあ❓️となりますが,
当然ここはド直訳は無理。

pallepalla の複数形で,球,ボール
という意味ですが,複数形 palle は俗語で,
睾丸,迷惑 という意味で使われます。

人や出来事にうんざりしたときの,
 Che palle !  ケッ パァ-レ

due palle は,退屈なもの,
つまらないことを指します。

Perché sai, sempre venire qui a mangiare
diventa una menata, son proprio due palle.

いつもここに食事に来られると,
うんざりするよね,マジ退屈。

と,心にもないことを口走るアンナ。
それを聞いたロレダーナ,少しムッとして

👩‍🦱 A noi piace.
   あたしたちは好きなの

私たちはみんな好きで集まってるの,
あんたんとことは違うのよ,とでも言いたそうだ。

すると,遠くの方で,派手なクラクションの
音が聞こえてきた。
ロレダーナの娘,マヤが到着したのだ。

到着を知らせる派手なクラクションに
アンナはこんな仕草をみせる。

Eh! Eh! Eh!

右の手のひらを顔の高さまで上げ,
手の甲は外側,手のひらは顔に向け,
え〜え〜え〜 と言いながらくるくる回す。

このジェスチャーは,大げさなこと,
バカなこと,できっこないことなどを
言った相手を小馬鹿にするもの。

んなことあるかい! とか,
何言っちゃってんだか、みたいな感じかな。

アンナのセリフですが,字幕はやんわりとした
感じですが,元のイタリア語はそうじゃない。
かなりひどいことを言っている。

Ma voi di giù 
あなたたち下の方の人たちは ...
つまり,南の人は。
imparate a suonare il clacson 
クラクションを鳴らすことを覚えるの?
prima che a camminare?
歩き方を学ぶより先に

日本語を整理すると ... 。

あんたたち南の人たちって,
歩き方を学ぶ前にクラクションを
鳴らすことを覚えるの?

強烈なアンナの嫌味炸裂。

👩‍🦱 .... 。

映画を見進めていくと,このアンナ
子供たちに敬遠されるのも,まあ無理ないよね
ってくらい,かなり嫌味なやつだってのが
分かってくる。

マヤが子供を連れて,向こうから
歩いてくるのが見える。

👩‍🦱 Ciao, tesoro!
      おかえり!

と,飛び上がって,大喜びで手を振り、
娘を迎えるロレダーナ。
すると,アンナはすかさず

👩 Uh! Maya è di nuovo incinta!
     (マヤは)また妊娠したのね!

ただ太っただけだと分かってて、
アンナはわざとこう言っている。
さすがにこれには,ロレダーナもムッとして

No!

👩‍🦱 No!
   いいえ!

と不快な表情を見せる。
そんなのはものともせず,
アンナはわざとらしくさらに続ける。

👩  Ah, no?
      え?違うの?
      Ah, sembrava .....
      そう見えたんだけど....。

Ciao. それじゃあね。


そして,不敵な笑みをロレダーナに向ける。

はい,本日はここまでです。
毎度思うことですが,これは映画のセリフとはいえ,
イタリア語のテキストで普段見聞きする文章と
違いすぎることに,驚かされます。
使っている単語や表現も辞書にのってないか,
かなり下の方に書いてあるやつだったり。
読み解くのにいつも難儀しますが,
頑張って続けていこうと思います。
お付き合いいただけたら幸いです。m(_ _)m

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