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【厚生労働省】フードテックをめぐる状況(令和7年1月)について

【厚生労働省】フードテックをめぐる状況(令和7年1月)について(本文2,659文字)
 
 
厚生労働省は、令和7年1月18日に「フードテックをめぐる状況」を発表しています。これのエッセンスをご案内いたします。
 
 
<フードテックとは>
報告の概要の前に、「フードテック」についてあらためておさらいします。
フードテック(FoodTech)とは、「Food(食)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語です。これは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの最先端テクノロジーを駆使して、食に関する問題を解決し、食の可能性を大きく広げる技術を指します。
フードテックの導入は、食に関するさまざまな社会課題の解決に寄与することが期待されます。具体的には、以下のような効果が期待されます;
① 食糧生産の効率化・・・ 農業における生産性向上や、持続可能な食料生産の実現
② 流通の最適化・・・ 食品の流通過程における効率化と無駄の削減
③ 外食産業の革新・・・ 飲食店での業務効率化や、消費者の利便性向上
このようなフードテックは、例えば外食産業、農業、食品開発、そしてその流通まで、食品業界の分野で導入・活用されています;
① 外食産業・・・ 調理ロボットや自動発注システムなどを活用し、業務の効率化とサービスの向上を図る
② 農業・・・ スマート農業技術を用いて、生産性の向上と環境負荷の低減を実現
③ 食品開発・・・ プラントベース食品や培養肉など、新しい食品の開発
④ 流通・・・ AIを活用した需要予測や在庫管理システムにより、食品の無駄を削減
このように、フードテックは食にまつわる問題を解決し、食の未来をより豊かにするための重要な技術として、その発展が期待されています。
 
 
<概要>
1. 世界的な社会課題とフードテックの状況
2050年には世界の食料需要が2010年比で1.7倍になる見通しである。特に畜産物は1.8倍、穀物は1.7倍の増加が予測されている。
・ 米国・・・ Impossible Foods社やBeyond Meat社が植物性タンパク質食品を販売している。Eat Just社やUPSIDE Foods社は細胞性食品の製造販売を開始している。Oishii Farm社は植物工場でのイチゴの量産化を実現し、米国のレストランやホールフーズで販売している。
・ シンガポール・・・ Eat Just社が細胞性食品の販売承認を取得している。
・ フランス・・・ Ynsect社が昆虫を生産販売している。
・ 欧州・米国・・・ Quorn社が微生物タンパク質を販売している。
 
2. 日本発のフードテック
・ TechMagic株式会社・・・ AIロボットを開発し、外食産業の人手不足を解消している。
・ DAIZ株式会社・・・ 大豆の発芽技術を活用し、次世代植物肉原料を開発している。
・ インテグリカルチャー株式会社・・・ 独自の細胞培養システムを構築し、コストダウンを実現している。
・ プラチナバイオ株式会社・・・ ゲノム編集技術を用いてアレルギー低減卵を研究開発している。
・ 株式会社プランテックス・・・ 高精度に制御できる人工光型植物工場を開発している。
 
3. フードテックの主な分野
・ 植物性食品・・・ DAIZ株式会社や株式会社ZENB JAPANなどが代替肉やグルテンフリーの製品を開発している。株式会社TWOは野菜半熟化製法を用いてプラントベースエッグを開発している。
・ 昆虫食・飼料・・・ 株式会社エコロギーや株式会社ムスカが昆虫を活用した食品や飼料を開発している。Morus株式会社はカイコをパウダー化し、食品やヘルスケア製品に活用している。
・ 細胞性食品・・・ インテグリカルチャー株式会社や培養肉未来創造コンソーシアムが細胞性食品を研究開発している。株式会社Kinishは植物分子農業技術を用いてイネから牛乳たんぱく質を生成している。
・ アップサイクル食品・・・ ASTRA FOOD PLAN株式会社や株式会社グリーンエースが規格外農産物を活用している。株式会社ファーメンステーションは未利用バイオマスを酵素で分解し、機能性が期待される食品素材を開発している。
・ 鮮度保持技術・・・ デイブレイク株式会社やZEROCO株式会社が高品質な凍結システムを開発している。
 
4. フードテック官民協議会における取組
4-1. フードテック推進ビジョンの概要
・ 目指す姿・・・ 日本発のフードテックビジネスを育成し、食料・環境問題の解決に貢献することを目指している。
・ 課題と必要な取組・・・ 
・ プレーヤーの育成・・・ オープンイノベーションの促進、スタートアップの育成が必要である。
・ マーケットの創出・・・ 戦略的なルール作り、消費者理解の確立が求められている。
4-2. 作業部会のテーマ
・ SPACE FOOD・・・ 宇宙食に係るフードテックの研究開発を行っている。
・ 細胞農業・・・ 細胞性食品の産業化に向けた検討を行っている。
・ 昆虫ビジネス・・・ 昆虫の生産方法や安全性の評価を行っている。
・ Plant Based Food・・・ プラントベースフードの普及推進を行っている。
・ サーキュラーフード・・・ 捨てられる食品を新たな食料として循環させる取組を行っている。
4-3. コミュニティサークルのテーマ
・ FOOD TECH Lab・・・ フードテックに関する情報発信と企業同士の交流促進を行っている。
・ 細胞農業・・・ 細胞培養を体験する場の提供を行っている。
4-4. ビジネスコンテストの開催
・ 未来を創る!フードテックビジネスコンテスト・・・ 食に関する社会課題を解決するビジネスアイデアを募集し、認知度向上と新ビジネスの創出を目指している。
 
5. フードテックビジネス実証事業における取組
5-1. フードテック関連予算と事業
・ 小麦・大豆の国産化の推進・・・ 国産麦・大豆の利用拡大に取り組む食品製造事業者等に対する支援を行っている。
・ スマート水産業推進事業・・・ 業・養殖業の生産性向上のためのデータ収集・利活用、人材育成、機械導入支援を行っている。
・ 養殖業体質強化緊急総合対策事業・・・ 国産飼料原料への転換や生産コストの低減に資する取組を支援している。
・ 養殖業成長産業化推進事業・・・ 戦略的養殖品目の関係者による戦略実行体制の整備や飼料等の開発を支援している。
5-2. フードテック支援対策
・ ビジネスモデル実証事業の支援・・・ 国内の食品事業者等によるフードテックを活用した新たな商品・サービスを生み出すビジネスモデルを実証している。
・ 横展開に向けた情報発信・・・ 実証成果をとりまとめたウェブページ等の成果物の作成、セミナーの開催、大阪・関西万博での情報発信を行っている。
 
6. 日本発フードテックの海外展開支援事業
国内スタートアップ企業等に対し、海外フードテックイベントへの出展支援やマッチングの機会を提供している。
フードテック官民協議会の運営として、協調領域での課題解決や新市場開拓向けに、企業間連携・協業や投資の促進、ビジネスコンテスト開催等により国内中小企業の取組の発掘や消費者理解のための情報発信を行っている。
 
 
詳しい内容は<一次情報>からご確認ください。
 
 
 
<一次情報>
【厚生労働省】フードテックをめぐる状況(令和7年1月)
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sosyutu/asset/meguji.pdf
 

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