心に響く一編を、毎日
数カ月前、ネットの海をさ迷っていたら『朝晴れエッセー』という文字が飛び込んできた。
産経新聞の、読者のエッセー投稿欄だった。
日常の出来事や感動したこと、思い出などが綴られていて、そのままなんとなく読み始めたのだが、止まらなくなってひと月分(30人分!)遡って読んでしまった。
それ以来、この投稿欄を読むのが日課になった。
500字程度の文字数も負担にならず、私にはちょうどいい。
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採用される方の年齢層はわりと高めな印象。
人生の酸いも甘いも噛み分けた人の言葉は、深みがあって心に響く。
驚かされるのは、皆さんの文章がとても上手なこと。
え? これ本当に素人さんの文章?
と思うこともしばしば。
上から目線に聞こえたら申し訳ないが、読書が好きで日々活字に触れている身として、これは素直な感想だ。
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うまいなぁ。
じょうずだなぁ。
コーヒーを啜りながら呟く。
あんなにつらいことがあったのに、今は前を向いて歩んでいるのね。
映画のようになんてすてきな思い出なんだろう。
紅茶の香りを嗅ぎながら独り言ちる。
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一日のどこかで、パソコンを開く。
コーヒーや紅茶をお供に、ゆっくり文章をかみしめる。
市井の人々の珠玉の一編を味わう毎日。
これがなければ一日が始まらないし終わらないのだ。