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心がささくれ立っていたあの頃

長いこと、長いこと、私の心はささくれ立っていた。
いつからだったのか?もう、それすら思い出せないぐらいに。

いつも、いつも、私の心は緊張していた。
何をしていても、落ち着かない。

楽しいなと思っても、すぐ不安になってしまう。
悲しいなと思うと、いつまでもその状態から逃れられない。

人が好きなくせに、人が怖くてたまらない。
人混みの中で安心してみたり、人混みに酔って具合悪くなったり。

ああ、私の心は、いつも、いつも、そぞろで、今を生きていなかったのかもしれない。
悲しくて悲しくてたまらないわけじゃない、なのに、涙が止まらなくなる夜を幾度、超えてきたことだろう。

自分の心なのに、自分の心じゃないようで。
自分を他人のように見てみたり、他人を自分のように見てみたり。

心が崩壊していたのだろう、ストンと自分の体の中に魂がある感じがしなかった。
浮ついているような、存在していないような、見えてるのか聴こえてるのかわからないような日々。

今は、もう、そんな日々を送ってはいない。
わずかに、かすかに、遠い記憶として、あの頃が思い出される。

懐かしいような、もう二度と思い出したくないような、そんな不思議な感覚の中にいると、じわっと、また悲しくもないのに、涙が滲んでくる。
生きているって、そんなにくっきりと実感ばかりしているものじゃないのかもしれない。

気付いたら生きていた。
気付いたら年を取っていた。

そうして、人生の様々な感情を、自分の心の中に、自分の体全体に、背負いながら、重いのか軽いのかわからないものを離さずに、抱きしめながら、これからも生きていくのだろうか?

ああ、生きているって、不思議な感覚だ。
自分の心を感じる、体を感じる、脳を感じる。

感じる、それが生きているってことなのだろうか?
感じるままに書くこと、それも生きているってことなのだろうか?

では、私は今、めいいっぱい、生きているようだ。
昨日も生きたし、今日も生きてるし、明日も生きてるだろう。



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