大学進学セミナーで伝えたかった事
高校生専門校 教学舎では、2024年4月6日(土)に新高校1年生の保護者対象に「大学進学セミナー」をおこないました。そのセミナーで伝えたかった事をここでも紹介したいと思います。
高校生を取り巻く環境の変化
今年の高校1年生は、中学1年生の時に新学習指導要領に則った指導が始まったいわゆる『新課程ネイティブ』です。そのためなのか、今年の神奈川県公立高校入試の英語では、単語量も語彙レベルも上昇し、その結果平均点も下がったと思われます。
ですが、新高1が大学受験する際に制度的に大きな変化があるわけではありません。制度としては2025年(令和7年)1月に実施される共通テストから新課程入試が始まります。新制度3年目ですので、大学受験においては大きな変更は起こらないと思われます。
しかし社会情勢は常に変化し、社会から求められるスキルも変化しています。そのような世の中で教育にかかわる「キーワード」を紹介します。ニュース等でも使われるような言葉ですので、お子様にも伝えてほしいものです。
知っておきたいキーワード
STEAM教育
以下五つの単語の頭文字をとって作られた用語。
・SCIENCE(科学)
・Technology(技術)
・Engineering(工学)
・Art(芸術)
・Mathematics(数学)
枠にとらわれない教育という意味合いが強く、秦野高校では令和4年度からICT教育推進校からSTEAM教育推進校に指定されています。旧来型の文系や理系といった分類から一歩進んだ考え方がこれからは必要だということ。
VUCAの時代
VUCAとは、Volatility(変動性)・Uncertinty(不確実性)・Complexity(複雑性)Ambigunity(曖昧性)の頭文字をとった造語であり、現代の社会をとらえた表現である。このような時代だからこそ「主体的な学び」の必要性があるとされている根拠でもある。
Society5.0
Society3.0が工業化社会、Society4.0が情報化社会であり、今現在はこの状態であるとされています。Society5.0はサイバー空間とフィジカル空間が融合された新たな社会のことを表します。リモートワークやオンライン授業はその一例であり、技術の進歩により「シームレス」に融合することを目指すとされています。
ウェルビーイング
幸福な状態を表す語であります。武蔵野大学でウェルビーイング学部が今年新設されたことでも注目されている言葉です。働き方や暮らし方の方向性を示す言葉であり心・体・社会的状態を包括した考え方であります。医療看護や福祉系に進学する場合には重要になる考え方になると思います。
学際的な学び
異なる学問領域を混ぜた学びであり、教科横断型や文理融合といった言葉と同義だと思います。先述したSTEAM教育とも考え方は被ります。現在起こっている問題は一つの学問領域では解決できないことが多く、様々な分野との協働が必要となります。特に環境系では学際的なアプローチが必要となります。
6次産業
1次産業(生産)+2次産業(加工)+3次産業(販売)=6次産業(生産から販売まで一貫したビジネス)。農業・漁業・林業分野が再注目されています。食の安全保障や国土強靭化が唱えられているからです。スタートアップ企業も参入し新しいビジネスがこの分野で進んでいます。そのため農学部も注目の学部です。
非認知・メタ認知
非認知能力はコミュニケーション能力や忍耐力、向上心を表す指標として使われています。わたしとしてはそれよりも「メタ認知」が大学進学を目指す高校生には必要な能力だと思います。メタ認知とは自らの認知を認知する能力とされています。つまり、自分を客観視してコントロールすることです。勉強するうえでゴールとの距離を客観視して取り組むことは、非常に大切です。
なぜこのような言葉を取り上げたのか
社会に必要な人材の育成が大学の役割です。
約20年前から高齢化社会や高度医療を担える人材として、看護系専門学校が4年生大学化し、看護系学部が新設されてきました。また今年度は半導体を国内で生産する体制を整えるために、熊本大学で工学部 半導体デバイス工学課程が作られました。
社会の変化と学部学科は密接に関係しています。今社会が急速に変化しています。情報学部が今大変人気ですが、7年後の日本で情報分野の需要がどのようになるのか予測がつきません。だからこそ、社会を読み、適性を見極めることが必要となります。
すでに「これをやりたい」と決まっている場合は、それでよいと思います。このアドバイスは、まだ将来の希望を決めかねている生徒の保護者に向けてのメッセージです。どんどん新たな分野が創出されていることを理解しつつ、アンテナを張って過ごしてほしいと思います。