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2024年アニメ映画評52・「風都探偵 仮面ライダースカルの肖像」

 11月のラストを飾る映画。テレビアニメ「風都探偵」の続篇だが、時系列的には過去に当たる。ちょっと、アクションがアレだが、面白い。7点。予習は必須。
 「風都探偵」はスピリッツ連載の漫画で、2009から10年に放送された「仮面ライダーW」の正統続篇である。ただ、本篇から直接は繋っておらず、間に「MOVIE大戦CORE」と「仮面ライダーW RETURNS アクセル」が挟まる。「仮面ライダーW」は所謂、平成二期ライダーの劈頭を飾り、「電王」で主軸となった二話完結様式やコメディ路線を引き継ぎつつ、平成一期には見られなかった奇抜なデザイン(通称・半分こ怪人)と凝ったミステリー形式を採用した作品。平成ライダーの中では人気が高く、漫画とはいえ、単発ではない、連載形式の続篇が作られたのは本作くらい。まあ、キャストも年を取ったし(桐山漣だけあまり変わってないが)、菅田将暉のスケジュールが空かないだろうから、流石に実写はできなかったのだろう。声優陣は割とキャラに合っているが、竜の古川慎と、本作に出てくる壮吉の津田健次郎だけは何か違うと思ってしまった。あと、実写の翔太朗は結構オーバーな演技だったが、「風都探偵」だと、多少落ち着いていて物足りないかも。そうは言いつつ、ファンの期待を裏切らない作品である。
 本作は「風都探偵」及び「仮面ライダーW」の過去篇で、「MOVIE大戦2010」内のエピソード「ビギンズナイト」を基にする。原話は30分くらいしかないのにどうする気なんだろうと思っていたら、やはり大幅に内容が追加されていた。
 怪人(ドーパント)となった相棒を倒した鳴海壮吉は探偵業を休んでいたが、少年時代の翔太郎に弟子入りをせがまれる。壮吉はつれなく断るも、翔太郎が自らの危険を顧みず、ドーパントに襲われた市民を逃がしたのを見て復帰を決意。仮面ライダースカルに変身し、ドーパントを倒す。だが、翔太郎が成長するまでは弟子入りを許さなかった。その後、高校生になった翔太郎が激情を抑えられるようになったと知り、弟子入りを認める。探偵修行に勤しむ翔太郎は、ある時、壮吉が忘れ物をして仕事に出たことを知る。翔太郎は、行き先を知らなかったが、壮吉に認められるチャンスと自力で師の所に辿り着く。壮吉と合流した彼は、今回の仕事がミュージアムという怪人を作る秘密組織からの青年の救出だと知らされる。弟子を危険な目に遭わせたくない壮吉は、安全な場所で待機を命じ、自身はスカルに変身して敵と戦う。一方、翔太郎は件の青年を見つけるも、口論になって彼をワープ装置に入れてしまう。あらましを知った壮吉は彼を叱責した後、スカルの力で青年のいる異空間・地球の本棚へ行く。そこで名前のない彼をフィリップと命名し、ビルから出るよう説得することに成功。しかし、直後、敵の襲撃で死亡する。翔太郎は悲しみながらも壮吉の持っていたベルトで、フィリップと共に仮面ライダーへ変身。敵を撃退してビルから脱出した。
 アクションは普通って感じだが、タブー・ドーパントのうねうねした動きや、オーシャン・ドーパントとの戦闘シーンはカッコよかった。しかし、なんでファングジョーカーはアニメで観るとダサく感じるのだろう。動きがちょっとかくついているからかな。
 「スカルの肖像」とあるように本作の主人公は翔太郎・フィリップというよりは寧ろ壮吉で、「MOVIE大戦CORE」で描かれた後の話が描かれている。信頼していた相棒を倒した彼がどのように立ち直り、またスカルとして活動を始めたのかは観ていて興味深く、翔太郎の弟子入りエピソードとの絡め方もうまかった。「風都探偵」の一チャプターではあるが、独立したエピソードなので単品の映画としてある程度まとまっている。まあそれでも、設定の説明がほぼなく、テレビアニメか特撮のどちらかを観ていなければ流石に厳しいが。翔太郎やフィリップについては、特に言うことはないというか、翔太郎の過去が多少知れてよかったという感じ。
 長いこと名前だけだったオーシャンメモリが怪人化されたのは嬉しかった。しかも変身者は須藤霧彦である。映画だと、なんか死んだみたいになっていたが、あの後、彼は園崎冴子と結婚するわけで、如何なる手管で汚名返上したのか、かなり気になる。にしても、改めて観ると、井坂と霧彦で冴子の態度はえらい違うな。


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