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本当の自分に出会う物語
今回は、刀根健(とね たけし)さんの著書、「さとりをひらいた犬
~ほんとうの自分に出会う物語~」という本の内容を紹介します。
著者の刀根さんは、若い頃はエリート証券マンとして活躍していましたが、
50歳の時に肺がんステージ4と診断されます。
翌年には脳転移が見つかり入院し、そこでさらに眼内腫瘍やリンパ節転移、
肝臓、腎臓、脾臓など全身の骨転移が見つかり、医者からは「いつ呼吸が
止まってもおかしくない」と言われてしまいます。
そんな、絶望的な状況の中で神秘体験を経験し、奇跡的に病から
回復することができました。
この本は、神秘体験を通して著者が気付いた本当の自分を、ジョンという
一匹の猟犬として描いています。
旅の途中でジョンは様々な困難を乗り越え、本当の自分に目覚めます。
私たちは何のために生まれて、どう生きるべきか?
そんな悩みを抱える皆さんが、本当の自分を見つけるための
ヒントになるお話です。
誰にも従わない「本当の自由」とは
![](https://assets.st-note.com/img/1689265835697-nPiRPYNhew.png?width=1200)
ジョンは、ある主人に飼われている猟犬でした。
彼は7匹いる犬たちのリーダーで、一番足が速く、一番賢く、
そして何よりも一番勇敢でした。
そんなジョンを主人は気に入り、狩りが成功すると、美味しい干し肉や
ご褒美をあげました。
ジョンは、主人の笑顔を見て「僕はどんな強敵にだって
立ち向かっていける」と思っていましたが、ある日ジョンの心に
変化が訪れる出来事があったのです。
その日、ジョンはいつもと同じように主人と一緒に狩りに出かけます。
主人が獲物を見つけ銃を構えると、同時にジョンも身構え、
銃声と同時に獲物に向かって走り出しました。
森の中に少し入ったところでジョンは立ち止まり、銃弾に倒れて
血を流す大きなオオカミを発見しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1689264998913-RHDUlfMoc9.png)
オオカミは苦しそうに息をしながら、うっすらと目を開けて、不思議な
温かさに満ちた声で言いました。
「おぉ、お仲間さんか・・・」
ジョンは、何と返事をしたらいいか分かりません。
・・・・、「お前は獲物だ、僕はお前を殺しに来たんだぞ!」
なぜオオカミが、こんなに温かい声で話しかけてくるのか、
ジョンには理解できませんでした。
オオカミは続けて言います。
「誰にでも死は訪れるものだ、今日は俺が死ぬ日だったというだけだ。
俺の最期を看取ってくれるのが、仲間のお前さんでよかったよ」
オオカミはダルシャと名乗りました。
そしてダルシャは、ジョンに不思議な問いを投げかけます。
「ジョン・・・、お前はなんだ?」
ジョンは、すぐには質問の意図を理解できませんでしたが、何度か聞き返し
「僕は猟犬だ」と答えます。
するとダルシャは言いました、
「ジョン、お前は人間に飼われているんだろ?」
この「飼われている」という言葉が、ジョンの心の奥底に
刺さりました。
それに追い打ちをかけるようにダルシャが言います。
「俺たちは誰かに飼われるために生まれてきたんじゃない」
「俺たちの本質は自由だ」
![](https://assets.st-note.com/img/1689265075077-ENvpLOk7P3.png?width=1200)
ジョンは、主人が撃った獲物にトドメを刺し、それをくわえて
持ち帰るのが仕事でした。
主人の銃声に無条件で反応して走り出し、何の疑念もなく、
ただ無慈悲に命を奪いますが、ジョンはそれ以外の
生き方を知りません。
しかし、果たしてジョンは猟犬になりたくて
生まれてきたのでしょうか?
・・・・・・
・・・
ジョンは、たまたま生まれた環境に従い、自分の頭では
何も考えず、ごくごく小さな世界の中で生存している
だけだったのです。
ジョンは一見、与えられた小さな世界に満足して生きて
いるようですが、その世界はジョン自らの意思で
選んだものではありません。
ジョンはただ、その事に気づかないよう心に重い蓋をして、
自分を騙しながら生きてきただけなのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1689265178204-ZMrAJyK4TJ.png?width=1200)
ここで描かれているジョンは、まさに現代を生きる私たちそのものです。
私たちは自分で選んだ訳ではない土地に生まれ、何の迷いもなく
小学校、中学校と進んでいき、当たり前のように就職をして、
ある程度の満足で暮らしています。
しかし、その人生はあなたが願ったものでしたか?
与えられた環境がそうだっただけではありませんか?
他にやりたいと思っていたことがあっても、その気持ちに蓋をして
自分自身を騙し、自分で選んでもいない人生に満足しているふりを
しているだけではないでしょうか?
オオカミのダルシャは言っていました、「俺たちの本質は自由だ」と。
「俺たちが生まれたのは、誰かに飼われるためでも、
仕えるためでもなく、ましてや誰かに利用されるためでもない」
ジョンも私たちも、自分以外の誰かにご褒美をもらって生きて
いるだけの、そんなちっぽけな存在ではない筈です。
しかし、私たちは自分を騙し、自分を過小評価して
ちっぽけな存在に閉じ込めてしまっているのです。
あなたは人生の中で、本当の意味で自分の選択を
したことがありますか?
自分自身の意思を、真っ向から見つめた事はあるでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1689265303279-RpMLPAHKMD.png?width=1200)
いつも決まったレールの上だけを歩き、自分の選択であると
思い込んでいたものは、他人によって敷かれたレールの分岐に
過ぎず、本当の選択をしたことは一度も無いのでは
ないでしょうか?
与えられた役割をこなしているだけ、親や先生、上司などの
期待に応えているだけ、そんな生き方が果たして
本当の自分なのでしょうか。
ダルシャは、ジョンに本当の自分を見つけるための
道しるべを与えます。
ジョンにハイランドと呼ばれる北の大地を目指すよう
促したのです。
そこはあらゆる生き物が本当の自分を探しにやってくる
場所であり、本当の自由に目覚めた者だけが辿り着くことが
できる場所でした。
ダルシャはジョンにそのことを伝えると、天に感謝しながら
静かに息を引き取りました。
ジョンはその後、すぐにハイランドの旅へ出発したわけでは
ありませんでした。
ダルシャの言葉には引っ掛かりながらも、相変わらず主人と
狩りをする毎日を過ごしていたのです。
ただ、ダルシャに出会ったあの日から、ジョンの心境は
少しづつ変化していました。
あれだけ熱中していた狩りも面白くなくなり、大好きだった主人の
笑顔も、ご褒美も、あまり嬉しくなくなってしまったのです。
こうして、ジョンの働きは日に日に悪くなり、それを見かねた
猟犬の副リーダーであるハリーが心配して話しかけます。
「どうしたんだジョン、最近おかしいぞ」
「あのオオカミの日からずっとだ」
「何かあったのか?」
ジョンはハリーに、ダルシャの話や自らの心境の変化を
打ち明けました。
するとハリーは、「やめておけ、人に飼われている猟犬が
外の世界で生きていける筈がない」と言いました。
猟犬はチームで狩りをするものであり、一人では何も
できやしないと言うのです。
![](https://assets.st-note.com/img/1689265467302-xfO8mUmcxH.png)
ハリーは続けます、「俺たちはしょせん飼い犬なんだ、毎日決まった
時間に決まった場所で美味しいご飯にありつける。
それのどこに不満があるんだ。
自分の仕事を全うしてさえいれば、何の苦労もなく
ご飯が食べられるんだぜ。
こんないい暮らし、外に出たら出来ないんだぞ」
しかしジョンは、ここには本当の自由が無いと言います。
それに対してハリーは、「与えられた役割をこなして、その合間に
好きなことをする自由はあるだろう」と言いますが、
ダルシャの「真実の言葉」を聞いてしまったジョンは、
ハリーの反対を押しのけて走り出します。
本当の自由、本当の自分を探すために、北の大地にあるという
ハイランドに向かって駆け出したのです。
ハリーを含め、仲間たちはジョンを呼び戻そうと吠え立てますが、
ジョンはその声を背に、風のように走りました。
こうしてジョンの旅は始まります。
恐怖や不安の克服
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