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角田光代さん原作の『紙の月』を思い出した・メガバンクの元銀行員による貸金庫盗難事件


あなたは、角田光代さんの
小説『紙の月』を読んだことがありますか?

その原作をもとに製作された
宮沢りえさん主演の
映画『紙の月』を観たことは?

原作と映画では少し設定や
内容が異なる箇所もあるけれど・・・


宮沢りえさん、ますます魅力的な女優さんになられていて素敵です


あらすじ

主人公の梅澤梨花は41歳

2歳年上の食品会社に勤める夫と25歳の時に結婚して
専業主婦になったが、子どもに恵まれず
ふとしたきっかけから
銀行でパートを始める。

真面目に仕事をこなす梨花は上司からの信頼も厚く
パートから契約社員になることを上司から勧められる。

梨花は迷った末に
資格試験勉強をして合格し
契約社員になる。

地域性もあり、梨花の顧客は地主やお金持ちの高齢者が多くて彼らの子供たちの年齢に近く、優しくて親しみやすい性格の梨花はそんな顧客たちから信頼され、可愛いがられて、営業成績も上々だった。

そんな仕事熱心な梨花が
多額の横領をしてしまった最初のきっかけは
ある顧客の大学生の孫との出会いからだった。

初めはぎこちなく距離を近づけていく大学生の光太と梨花だったが


夫との関係が希薄になっていた梨花はその心の隙間を埋めるかのように、大学生 光太との恋愛(不倫)にどんどんのめり込んでいく。

彼の心をとらえたくて、
高級ブランド品を惜しげもなく買ってやったり、
一流ホテルのスイートルームで密会を重ねたりと
贅沢三昧を繰り返す。

彼に外車を買ってあげたり、素敵なマンションを借りてやったり
どんどん横領する金額も膨らんでいく。

いつしか贅沢することが当たり前になっていく二人の関係


初めは、梨花も10万、20万円を一瞬借りている感覚だったのかもしれない。

「次のお給料で返済するから大丈夫・・・」のように

それが、そのうち100万、200万とどんどん金額が膨れ上がっていくと
逆に感覚が麻痺してしまうのだろうか?


いつの間にか梨花は罪悪感よりも

「どうすればお金を作り出せるのか」と

ただ、それだけに心は傾いていく・・・

『いつかはバレてしまうかもしれない』という恐怖感よりも
梨花はお金がなくなって
光太が離れていくことのほうが怖くなり
銀行にある他人のお金と自分のお金の境界がどんどん無くなっていくのだった。


梨花は横領したお金で本当に幸せになれたのか


今回、貸金庫盗難の事件の容疑者も女性だった。

そしてパートだった梨花が
契約社員に昇進したように
彼女(容疑者)も一般職から
総合職へと昇進して
支店長代理まで上り詰めた仕事ができる女性だった。

なぜ、優秀で、仕事熱心な彼女たちは犯罪を犯したのだろう?


原作の『紙の月』では横領が発覚すると梨花は逮捕される前に何もかも捨てて海外に逃亡する。

しかし、海外逃亡生活だっていつかは終わりが来るはず。

そんな結末を示唆して物語は幕を閉じる。

(ネタバレすみません💦)



報道やテレビでは
銀行のシステムの不備や管理体制を指摘しているが
本当の闇は人間の心にあるような気がする。

想像できないほどのたくさんのお金を日々目にしているとどんな気持ちになるのだろう?

40年ほど前のことだが
私は20代の頃に銀行マンと付き合ったことがある。
(夫ではありませんよ〜)

彼のお給料は良かったが

その分、成績が目標に達していないと朝から上司に怒鳴られるなんて当たり前で
胃に穴が空いた先輩もいたらしい。

ダイレクトにお金を扱う仕事はとにかくすごいストレスなんだろう。

当時、彼は寮に入っていたので、寮の先輩、同僚や後輩と週末になると先輩の一声で
全員でいきなり夜の海に行っては、朝方までそのまま海でお酒を飲んで騒いで酔い潰れたことが何度もあると言っていた。

ちょっと話が脱線しちゃいましたね〜



もちろん、どんな理由があっても、ストレスや重圧のせいで犯罪に手を染めることを肯定しているのではないし、
そんなプレッシャーの中でもほとんどの銀行員は真面目に仕事をしているのだから
犯罪を犯した人が正当化されることは決してないと思うけれども

日々、手の届くところにたくさんのお金を目にしていると
ふと悪魔のささやきに
魔がさすことがあるのかな

怖い〜

人間ってやっぱり弱いから


では、横領や詐欺や盗みなど

ある一線を越えてしまう人と超えない人の差はどこにあるのだろう?

あなたはどう思いますか?

一度に多額のお金を簡単に手に入れて、湯水のように使えたら

その時の優越感や高揚感や万能感に酔ってしまうことは人間ならあるような気がする。


そして背徳感や罪悪感よりもその時の快感が勝ると
もう元には戻れなくて
理性ではわかっていても、
どうしようもない衝動を抑えられなくて
エスカレートさせていくのだろうか?

平凡な主婦だった梨花が
ドロ沼にはまっていったように・・・

今回の貸金庫盗難事件の容疑者のように・・・

一度、始まってしまえば

「行き着くところに行くしかない」と梨花が言ったように

もしかしたら、私だって梨花になる可能性はあるのかもしれない。



『紙の月』の主人公の梨花も今回の事件を起こした女性も
『行き着くところ』は刑務所だった。


逃げ切れるはずがないと頭の中ではわかっていても
いまだに無くなることがない横領事件


今もどこかで起こっているかもしれない。


最近、『紙の月』の原作を読んだ後にこの事件が報道されたので
偶然にちょっと驚いています。
まさかこんな形でnoteに投稿するとは思ってもいませんでした。

映画もオススメですよ!


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candy @ (ミルク)
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