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雑記

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2021年7月の記事一覧

それを正しいと信じきれなかった。

 塾講師をしていた頃の反省を書く。

 僕は三年ほど塾講師のアルバイトをしていた。そして、その三年間、ずっと、ある一つの信条を肌身離さず持ち続けていた。それは、

「決して生徒に命令をしないこと」

だった。

 宿題や、試験勉強はあくまで「提案」という形をとっていた。「こういうことをやった方がいいと思うよ」と。

 その在り方を僕は貫き通した。それは一重に、自分自身の個人的な体験に根差すものだっ

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 最近は、死のことをよく考える。それは僕の心が妙な傾き方をしているせいなのだが、死に近づくことは決して悪いことばかりではない。

 死に近づいていくと、死者と話すことができるような気がしてくる。生死を隔てるうっすらとしたベールの向こう側に何かを叫べば、死者たちに届くのではないか、彼らの声を聞くこともできるのではないか。そんな気分になる。

 屋上から落ちて死んだ友達。僕は何度も彼のことを考える。そ

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地面

 小学校六年生の頃の僕の趣味は深夜徘徊だった。勤勉な親の寝静まる午前2時に、僕は家を抜け出して歩いた。二階にある寝室からベランダを伝い、屋根に登る。屋根から倉庫の上に降りる。そこから石塀の上に乗り移り、アスファルトの地面に降りる。

 僕はパジャマ姿で、おまけに素足だった。そんな怪しい格好をしたチビだったから、道端で人に遭遇するわけにはいかなかった。寝静まった田舎町の道を、僕は野良猫のように注意深

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ため息

レイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』みたいな作品を書きたい!と強く思うのだけれど、いったい何人分の脳味噌があればあんなものが書けるのだろう?

もちろん、脳味噌の他にも足りないものはたくさんあるんだけれど、僕が最も自信を持っているつもりの脳味噌でさえ、遠く、遠く、及ばない。

ごめんなさい、つい愚痴ってしまいました。

これからも精進します。