透明人間マーロウ
家族について考えることからずっと逃げてきました。 忌憚のない意見を聞かせていただきたくて、こちらにまとめます。
社会人になって一年が過ぎた。 最初の6ヶ月はずっと研修。その後配属され、以降1ヶ月はひたすら怒られるばかり。その次の二ヶ月でどうにか業務がこなせるようになり、まともに仕事ができるようになったのはここ3ヶ月くらいのこと。もちろん、人並み以上に多くの失敗をしている。 先月度で、数値化される業務成績が同部署の同期で1番になった。部署内では2番。他部署の人たちが僕のデスクの周りによく集まっていると、人事部のトップの人に言われた。言われてみればその通りだった。一つの部署内で完
外の気温はたぶん0℃を下回っていた。というのも、雪が硬かったし、表面がキラキラと鋭い光り方をしていたから。 キリンジの『エイリアンズ』を聴きながら、夜の道を散歩した。「そ〜お〜さ〜 ぼく〜らはエーイリアンズ / 禁断の実 頬張っては〜」と歌った。 恋人がいても、友達がいても、セフレがいても、埋まらない穴が心のどこかにあって、その空っぽさに向き合う時、僕は叫び出したくなる。このまま、この空白を抱えて生きて、死ぬのかな、なーんて。それは、生まれた時からずっとあったような
体温計 咥えて窓に ひたい付け 「ゆひら」と騒ぐ 雪のことかよ 穂村弘
僕だけなのかもしれないけれど、体温が39.5℃を超えた時、いつも同じ幻覚が現れる。 天井を突き破って一隻のボートが落ちてくる。そのボートの下敷きになって苦しむ、という幻覚。キャビテーションでボロボロになったスクリューが勢いよく回転しながら、僕の頭をぐちゃぐちゃに切り裂く。 初めてこのイメージを見たのは、たぶん、5歳くらいだったかな。インフルエンザに罹っていた。その頃、上から落ちてくるボートには顔見知りの友人や親が乗っていた。あとは、どこかで見た誰か。今、そのボートに
また38度の熱が出た。 何かと流行りには疎い正確なので、例の病ではないと思う。 こういう日には、家に帰りたくなる。と思って、家がないことに思い至る。誰も、僕みたいなダメな人間とは住みたがらないのだろう。ちなみに、今の発言は「そんなことないよ」待ちです。 その辺の犬に嫉妬する。いいなぁ、家があって。 誰か僕を飼いませんか? 月3万円で飼えます。小型犬よりはちょっと高いけれど、大型犬よりは少し安いです。いくつか芸ができるし、調子のいい時には飼い主の機嫌をとることもでき
「笛の音色とシャボン玉の色は同じ原理でできているよ」と彼は言った。 僕らは近所のスーパーに買い物に行く途中だった。僕はいつも紫いもを一本買っていたし、彼はシリアルを一袋買っていた。そして、帰り道でバリバリとかじりながら歩くのだった。 我々は水田の近くを通った。いや、かつて、水田であった窪地と呼ぶべきかもしれない。水がためられ、その上に蓮の花が咲いていた。彼はシューマンの『蓮の花』を口笛で拭いていた。 水の上にうっすらとガソリンの油膜が生じて、青黒く色づいて見えた。 僕
最近、死ぬほど忙しいので心の調子が良い。自分のことをあまり考えなくていいからだと思う。 朝は6時台に家を出るし、帰るのは10時台。今日はちょっと早めに抜けられたので、久しぶりに文章を書く。 今、僕の影は背後にある。振り返ると、そこに何かがいるわけだけれど、忙しい時は後ろに憑いているだけ。イタリアの民話を思い出す。 怖いもの知らずのジョンバンニが幽霊屋敷に入る。みんなが怖がる幽霊屋敷で、入った人は出られないわけだけれど、ジョンバンニはそこで一晩を過ごす。幽霊が出て
結局のところ、誰とも関らずに消えるのがあらゆる人たちにとって正解だという、10年以上前に分かりきっていた答えに辿り着く。
そして僕は、人は「ある時急に変わる」ということにも賛成する。でも、それは、変化以前に蓄積があった場合に限ると思っている。”わかる”時は急にやってくる。その前は、ただ、暗い場所でモソモソするだけ。そうした過程をスキップして「変わる」人はとても運がいいいか、天才か、ただ不安定なだけ。
例えば寂しいときに、恋人に「寂しいから電話したい」と言えればいいのだけれど、僕はまだ、一度もそう伝えられたことがない。 それよりはバーみたいなところに行って、知らない人たちと話して、知らない人と絡んだりして、代替物で埋めて、後日、余計に寂しい気分になる。そういう習性がある。 noteも似たような動機で書いている。僕はここに書いてきたようなみみっちいことを、リアルでは誰にも言えたことがない。もちろん、恋人にも。 ここに、何か大きな問題があることは分かっている。でも、まだ治
38度の熱があって、 足に爪楊枝が2.4cm埋まっていて、 いろんなことに絶望している一人ぼっちの休日に 僕が求めていた優しさというのは、 例えば料理を作って一緒に食べてくれるとか、 洗濯をしてくれるとか、 部屋の掃除をしてくれるとか、 僕の内面のせこさと 外見の不細工さに目を瞑って、 「いいところもあるよね、きっと」 と言ってくれる。 そういうことでした。 最後の一個以外はお金で買えるものだった。
「PCR検査の結果は陰性でした。断言はできませんが、感染の確率は極めて低いと思われます」 医者はまだ若く、元気だった。暇を持て余しているわけでもなく、疲弊しているわけでもなさそうだった。理想的な職員だ。 「ほかに気になることはありませんか?」と彼は尋ねた。 「そういえば」と僕は言った。 「足の裏にですね、爪楊枝が刺さっておりまして」 彼は目を見開き、聞き返した。 「そのですね、昨晩、奇跡的な角度で爪楊枝を踏みつけてしまいまして」 「今、刺さっているということでいいですか?」
あはは、ややこしいことになった。 pcr検査の結果が出るまで病院に行けないけれど、検査結果が出る頃には整形外科の診察時間が終わる、、、もうしばらく爪楊枝を体内に飼わないといけないかも。 いや、待てよ。もし陽性だった場合、最低でも1週間は飼うことになるんじゃ、、、
酔いすぎてあらゆる痛みを感じなくなったのでおやすみなさい
酔っ払ったら、足の裏に刺さった爪楊枝のこととか、熱が38℃あることとか、あるいは会社に迷惑がかかるだとか、これから追うことになる家庭的な責任だとか、その他、世の中に云々カンヌン、どうでも良くなってくる。実際に、そんなもの、どうでもいいのかもしれない。 うん、明日から僕は左足の土踏まずに小さな爪楊枝の子供を育てて生きることにする。僕の体液を吸ってブクブク、トロトロになりつつある。かわいいなぁ、もう💕 いや、だめだ。自分のキモさに鳥肌が立った。 あのな、僕は真面目に頑張って
38度の熱。足の裏には爪楊枝の先端。 もうイヤ。 ワタシ オサケ ノンデ ネル