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草露 文(あや)
2023年1月24日 23:58
言えない気持ちを温かい飲み物に溶かし、喉の奥、腹の底へと収める。珈琲のような黒色をして、しかし珈琲とは違うその飲み物。飲まざるをえない。一思いに、一気に。温かさだけが頼りだ。飲み終えれば気が楽になるか?飲み干した後はこの世を愛する気持ちがカップの底に残される。それは黒色であった。 電子の大海に飼い慣らされようとする世で、心だけが放し飼いされているようで、羽毛布団の厚さ以上の、湿気を多く含んだ