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掌編小説、随筆

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掌編小説と随筆をまとめています。
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2022年7月の記事一覧

晩夏の終わりに

 脚の一本を無くした虫は何を思う。

 大雨時行。銀竹の立つ夕方のこと。ある青年は見つけた。それはオニヤンマの亡骸であった。青年はそれを拾うと大切そうに手のひらに乗せ、見つめていた。いろんな所を飛び回ったオニヤンマなのだろう。脚が一本欠けていた。青年はふと思う。この虫は生きていた間に何を思っていたのだろうか。しかし、すぐに思い返す。虫が思考することは無かろうと。ただ、虫は自分が心地良く感じる場所を

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大暑の筆先

大暑の筆先

こうして、ああして。
文章をねりねりしていく。

悲しいなあ、悲しいなあ。
隣の芝が青いのだ。

土潤溽暑。
草熱れに白南風の吹く。

筆を取る。ペン先のインクすら蒸発しそうな暑さ、と書き、ああだめだ、用紙を丸める、くずかごへと投げつける。

苦しいなあ、苦しいなあ。
隣の花が赤いのだ。

蝉時雨。抜け殻に這う朝顔の蔓。
赤翡翠。ピョロロと鳴けば雨の空。

新しい用紙を広げて、表面をすべるは筆先で

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