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痛快江戸の言葉
かつて歌舞伎に入れ込んでいた私は、1ヶ月に4回は通い一時は特別会員になるほど歌舞伎が好きでした。中でも18代目中村勘三郎さんと12代目の市川團十郎さんが活躍していた頃は、足繁く通って観劇したものです。
作品は江戸の世話物が好きで、特に河竹黙阿弥作品のセリフ回しにはシビレる(笑
私の祖母も江戸言葉を使う人だったので、毒舌をあのキレの良いイントネーションを聞くと
わけもなくすっきりするものでした。
中でも助六所縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)は、紫の鉢巻に傘を持った助六と海老を背中にしょっちゃうくらいド派手な衣装の花魁揚巻、そして次々と現れる楽しい登場人物が流れるような江戸ことばのセリフをかけ合う芝居にたまらなく惹きつけられたものです。
2月3日はあの素晴らしい助六を見せてくれた12代目團十郎さんのご命日でした。
12年前、朝テレビをつけた時に突然團十郎さんの写真が映し出されて、聞いた訃報のショックは今でも忘れられません。
もう一度観たかった助六
最近、すっかり行けなくなった歌舞伎座が時々恋しくなりますが
なんと嬉しいことに、今回の大河ドラマはまさに助六の世界
ありがた山の寒がらす
とセリフが聞こえたときに、歌舞伎の世界が戻ってきたようでした。
花魁の言葉も揚巻を思い出します。
恐れ入谷の鬼子母神
驚き桃の木サンショの木
このどうでもいいけど調子のいい言葉を後ろにつけるのは江戸育ちの母の家庭では当たり前でした。
團十郎さんの舞台を思い出しながら、大河ドラマ「べらぼう」楽しみにしています。