昔取った杵柄
この2ヶ月母は血圧が不安定だったり、動悸がしたり、胃がムカムカしたり不調が続いていたのでちょくちょく病院通いしていましたが、検査をしても異常はなく、そう言われてもなんとなくスッキリせずにいました。するとある日
「ちょっと!私の病名がわかったのよ」と古い雑誌を出してきました。
「今日テレビでやってたんだけど、いま、私みたいな症状の人がすごく増えてるんですって。それで思い出したの、むかし買ったこの雑誌!ここに載ってたのよ、キノウセイディスペぺぺぺぺ、、、、」
見せてくれた雑誌には
原因不明の不快感! 機能性ディスペプシア
とあります。検査で異常がないのに胃もたれが続いたりする。血圧の時も病院で言われたのは自律神経の乱れ。確かにそうなのでしょうが、正体不明の自律神経、母としてはまさに腑に落ちない日々
「そこでね、登美子ちゃんに電話したの」
登美子ちゃんとは今年91歳の母の姉。今でも現役の薬剤師です。
とはいえ、、年齢が年齢、それなりに衰えもある伯母です。その伯母に聞いてわかるのだろうか?
「そうしたらね!あの人すごいわ」
母が電話をして、この話をすると、すぐさま
「ああ機能性ディスペプシアね」とよどみなく返され、今年、猛暑の影響で血圧が下がっている人が増えて、高齢者で今まで血圧を下げる薬を飲んでいた人が飲むのをやめたせいで日常の体調が変化して、そういう症状の人が増えていると教えてくれ、すぐさまおすすめの漢方薬を送ってくれたというのです。
「この前電話した時は、忘れてることも色々あって、心配だったけど、まるで昔の登美子ちゃんと変わらず、スラスラと説明が出てくるのよ
私なんて何回聞いたってこのディスフェペスフ????何たらわからないのに。やっぱりあの人大したもんだわ」
昔、伯母が薬科大学を目指して勉強していた頃、家族が眠った後にも明かりのついた部屋から伯母が難しい薬の名前を覚えるために、ぶつぶつと唱えながら、手を上げたり下げたり広げたりして覚えていた影が見えたという話を聞いたことがありました。
一言に高齢者と言っても、その人には携わってきた仕事があるのです。そして若い頃しっかりと積み重ねたキャリアはその人の中にずっと生き続けている。
誰よりも信頼してきた母は姉のアドヴァイスでやっとスッキリしたようでした。