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クッキーストーリーズ

先日、京都から涼菓の詰め合わせを取り寄せた

お取り寄せpart2、というか、ときめきpart1は実はこちらだった。

マールブランシュ創業40周年を記念し、各年代を彩った懐かしい歴代のクッキーと、これからの未来へと繋ぐ新たな”もみの木サブレ”を詰め合わせた 《クッキーストーリーズ》。

購入までの経緯はこうである。

ある日、わたしがタイムラインでせっせと情報収集していますと、画面下から、赤い缶がひとつ、「ドンブラコッコ、スッコッコ。ドンブラコッコ、スッコッコ」と流れてきました。

「おやおや、これはみごとな焼菓子だこと。自分へのほうびに、どれどれ、わたしもひとつ味見させてもらいましょう」

そう独りごちながら、背中をまるめてちかくの店を探しましたが、京都は遠くって足を運べません。そこでわたしは、

「お取り寄せ分も確保できるようになった?WEBからも注文できる?」
「す、数量限定生産」
「は、8月末までの予定」
「賞与出たし、誕生月だから買っ・・・この水モンブランときよみの滴とやらもおいしそう」

とじぶんを甘やかしながら、購入ボタンを押しました。
すると、焼菓子は1週間ほどして、

「ピンポーン、ピンポーン」

と軽快な音を鳴らしながら、わたしのもとへ届きました。
水モンブランときよみの滴を引き連れて。

(完)

焼菓子太郎

というわけで、届いた。

クロスステッチのようなスリーブ

SサイズとMサイズがあったが、かろうじて理性がはたらき、Sサイズにした。

この缶は
とっておく

京都北山本店と、その入り口に植えられた“もみの木”を図案化したと思われるデザイン。
色味といい、なんだかクリスマスっぽいな、と感じたのはそのせいか。

斬新

飛び出す絵本ならぬ、飛び出す台紙。

クッキー全体を包むように敷かれた紙は、ラミネートしたくらいのしっかりした厚みがある。
だから、”白いページわくわく開いてく”ひまもなく、自動的に開く。

両面にクッキーの説明や歴史がイラストとともに書かれていて、まさしく《クッキーストーリーズ》。

長旅の疲れを感じさせるズレ

京都から、遠路はるばるようこそ、関東へ。

全部で10種類

左から順に、

抹茶風味のチョコレートをサンドした2010年発売《「四季のムラング」お花》。若葉のような、新芽のような見た目。

マカロンのようなさっくりしっとりした食感で、甘みのあとにほんのり抹茶が香る、上品な味わい。

となりは、この詰め合わせの主役であろう、もみの木をかたどったピスタチオ味の《もみの木サブレ》。表面の模様が細かい。

ピスタチオのコクのある香ばしさと、レモン風味のアイシングの酸味が、夏。

その右上に、木の実のような2018年発売《「加加阿ざくざく」ぼりぼり》。

アーモンドの粒が香ばしくカリカリで、サンドされたミルクチョコレートのひかえめな甘さとの相性がいい。
ざくざくぼりぼりというほど、硬くない。

本店の図案がプリントされた2020年発売《北山本店シェフクッキー》は、シンプルなバタークッキーながら、ほどよくしっとりしているため口の中の水分が奪われない。

安心の味。

オレンジ色の線があざやかな《香り豊かなオレンジクッキー》は1982年発売で、詰合せのなかで最も歴史あるクッキー。

ガリっとしたビスケット食感のあとに、バレンシアオレンジの香りがぱあっと鼻からも弾ける。個人的に相当好みの味だった。

その左下と右上にちょこんとあるのが、《メレンゲココナッツ》と《メレンゲパッションフルーツ》。

泡のように消えてしまうが、ココナッツのトロピカルな風味と、パッションフルーツのはなやかな酸味が余韻を残した。

右端のキューブと、ちいさなまんまるはそれぞれ2005年発売の《「日本の実り」京丹波黒豆きなこ》と《カラメルヘーゼルナッツ》。

前者はきなこの和の香ばしさがほろほろとほどけ、後者はヘーゼルナッツの濃厚な香ばしさがカラメルに絡んで後をひく。

そして、緑色の長方形は言わずと知れた《お濃茶ラングドシャ「茶の菓」》。
2007年発売で、マールブランシュといえば茶の菓というくらい、各地の百貨店でも催事が組まれる看板商品だ。

濃茶のラングドシャのほろ苦さと、サンドされたホワイトチョコレートの甘みのバランスが絶妙。冷やすとサクサクパリパリになり、食感も楽しめる。

これは映える

こうして並べてみると、缶に赤が選ばれた理由がわかるような気がする。

クッキーだけだと足りなかった彩りが、赤い缶が入ることで完成されたように思った。

クッキーそれぞれの歴史と、物語がひとつの缶に詰まった、絵本のようなクッキー缶。

“ときめいてる?”

購入して”後悔は少しもない”と言いたいところだが、じつはSサイズには歴代のクッキーが全種入っていない。

やっぱりMサイズにすればよかった。

“カラクリはわかってんだ 素直になれないだけさ”


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