クッキーストーリーズ
先日、京都から涼菓の詰め合わせを取り寄せた。
お取り寄せpart2、というか、ときめきpart1は実はこちらだった。
マールブランシュ創業40周年を記念し、各年代を彩った懐かしい歴代のクッキーと、これからの未来へと繋ぐ新たな”もみの木サブレ”を詰め合わせた 《クッキーストーリーズ》。
購入までの経緯はこうである。
というわけで、届いた。
SサイズとMサイズがあったが、かろうじて理性がはたらき、Sサイズにした。
京都北山本店と、その入り口に植えられた“もみの木”を図案化したと思われるデザイン。
色味といい、なんだかクリスマスっぽいな、と感じたのはそのせいか。
飛び出す絵本ならぬ、飛び出す台紙。
クッキー全体を包むように敷かれた紙は、ラミネートしたくらいのしっかりした厚みがある。
だから、”白いページわくわく開いてく”ひまもなく、自動的に開く。
両面にクッキーの説明や歴史がイラストとともに書かれていて、まさしく《クッキーストーリーズ》。
京都から、遠路はるばるようこそ、関東へ。
左から順に、
抹茶風味のチョコレートをサンドした2010年発売《「四季のムラング」お花》。若葉のような、新芽のような見た目。
マカロンのようなさっくりしっとりした食感で、甘みのあとにほんのり抹茶が香る、上品な味わい。
となりは、この詰め合わせの主役であろう、もみの木をかたどったピスタチオ味の《もみの木サブレ》。表面の模様が細かい。
ピスタチオのコクのある香ばしさと、レモン風味のアイシングの酸味が、夏。
その右上に、木の実のような2018年発売《「加加阿ざくざく」ぼりぼり》。
アーモンドの粒が香ばしくカリカリで、サンドされたミルクチョコレートのひかえめな甘さとの相性がいい。
ざくざくぼりぼりというほど、硬くない。
本店の図案がプリントされた2020年発売《北山本店シェフクッキー》は、シンプルなバタークッキーながら、ほどよくしっとりしているため口の中の水分が奪われない。
安心の味。
オレンジ色の線があざやかな《香り豊かなオレンジクッキー》は1982年発売で、詰合せのなかで最も歴史あるクッキー。
ガリっとしたビスケット食感のあとに、バレンシアオレンジの香りがぱあっと鼻からも弾ける。個人的に相当好みの味だった。
その左下と右上にちょこんとあるのが、《メレンゲココナッツ》と《メレンゲパッションフルーツ》。
泡のように消えてしまうが、ココナッツのトロピカルな風味と、パッションフルーツのはなやかな酸味が余韻を残した。
右端のキューブと、ちいさなまんまるはそれぞれ2005年発売の《「日本の実り」京丹波黒豆きなこ》と《カラメルヘーゼルナッツ》。
前者はきなこの和の香ばしさがほろほろとほどけ、後者はヘーゼルナッツの濃厚な香ばしさがカラメルに絡んで後をひく。
そして、緑色の長方形は言わずと知れた《お濃茶ラングドシャ「茶の菓」》。
2007年発売で、マールブランシュといえば茶の菓というくらい、各地の百貨店でも催事が組まれる看板商品だ。
濃茶のラングドシャのほろ苦さと、サンドされたホワイトチョコレートの甘みのバランスが絶妙。冷やすとサクサクパリパリになり、食感も楽しめる。
こうして並べてみると、缶に赤が選ばれた理由がわかるような気がする。
クッキーだけだと足りなかった彩りが、赤い缶が入ることで完成されたように思った。
クッキーそれぞれの歴史と、物語がひとつの缶に詰まった、絵本のようなクッキー缶。
購入して”後悔は少しもない”と言いたいところだが、じつはSサイズには歴代のクッキーが全種入っていない。
やっぱりMサイズにすればよかった。
“カラクリはわかってんだ 素直になれないだけさ”