それでも知りたい箒星
ホワイトデー直前に、彗星のごとく池袋西武と横浜高島屋に現れたサブレミシェル。新店オープン情報には目を光らせているはずなのに、完全ノーマークだったし、この映え映えな見た目は看過できない。
ヴォヤージュサブレに心がおどる。それこそ、Mr.Childrenの箒星くらい。
オランダならチューリップ畑と風車、スイスならアルプス山脈とハイジを彷彿とさせる少女…と各国の風景をデザインした手のひらサイズの缶に、各国の花や名所、動物を象ったきれいな彩りのサブレが並ぶ。サブレ自体もそれぞれ色に連動して抹茶やいちごの味がついており、味も形も楽しめる。
さりげなく散りばめられた金平糖がかわいい。複雑な形のサブレが輸送途上で動いて割れないよう、緩衝材の役目も果たしていると思う。勉強になる。
(画像はサブレミシェルホームページより拝借しました)
ドイツ缶のビール型サブレの泡と、イタリア缶のピサの斜塔サブレの傾き具合の再現度がニクい。これは売れるだろうな長期的にみたらどうだか分からないけど!と強がるものの、やはり製造が追いついていないようだ。
世界を旅するサブレとは、ありふれているようで、なんと分かりやすく時代に寄り添ったコンセプト。こういうのは、ぜひホワイトデーに頂きたい。大事なことだが、競合他社なので、もう一度は言わない。
これが雑貨なら「かわいい」「すてき」と愛でるだけで終わるのだが、仕事柄、よそ行きの顔よりも、素顔が気になる性。知りたい、それでもまだまだ知りたい、箒星の正体。
味やコンセプトにピンときたら、生鮮食料品でなくても製造者の顔がみたい。お菓子も、「わたしが企画しました」みたいなPOPがあれば、選ぶときに楽しみが増えるのにな、と思う。
ものすごく可愛らしい商品を、バイきんぐの小峠さんのような人が企画していたとしても、それはそれで、何がどうしてそうなったのか興味がわく。
商品をひっくり返して、裏面表示を見る。
菓子売場で、ビジネスマン的な人間が裏面表示を真剣に読み込んでいたら、それはかつてのオードリー若林さんのような人見知り処世術ではなくて、同業者が闘志を燃やしているところだから、いずれにせよそっとしておいて頂ければ幸いである。
(中身はだいぶ前においしく頂きました)
「販売者 株式会社ガトーミシェル +M1」。超都心の麻布十番にある会社のようだ。不勉強ながら聞いたことがない。
販売者表記かつ製造所固有記号付きということは、ここが実際に製造している訳ではない。製造所固有記号とは、社名のあとによくついているアルファベットや数字を組み合わせた謎の記号。画数が多くて字面もカタい名称だが、要は製造場所のコードネームみたいなものである。
加工食品の場合、製造者と表示責任者(販売者)が異なる場合は併記するのが基本だが、表示面積が小さい等の理由があり、同一製品を複数工場で製造している場合に限り、名称や住所は製造所固有記号で略して表示できる(おぼろげなざっくり)。
届け出が義務付けられているので、正体は消費者庁のデータベースで調べられる。わくわくするのはわたしだけだろうか。わたしだけだ。
以下、ルララ誰も興味ないわたしだけの国。
わくわく。
ふなっしーの中の人、マンウィズの中身とまではいかないが、覆面バンドが正体を明かすときのようなわくわく。
紅白でのgreeeenの顔出しは…それじゃない感が強かったな。
見つけた。
株式会社円山菓寮。兵庫県美方郡新温泉町。
麻布十番に籍を置くガトーミシェルの正体は、温泉町の円山菓寮。
なんというか、なごむ。
個人的に、adieuの正体が、名前と声だけ聴いてuruさんやmiletさんのようなお姫様的な女性かと思っていたら、実は愛くるしい小動物みたいな上白石萌歌さんだったと知った時に感じたのと同じ空気感のギャップ。
実際に可食部分を作っているのは、かりんとうの専門店株式会社円山菓寮だと分かった。「かりんとう」がゲシュタルト崩壊してしまいそうなくらいの種類の豊富さ。かりんとうは和菓子に分類されるから、またもや和菓子屋がつくる洋菓子だと分かった。
コンセプトまで企画したかどうかは分からないものの、和菓子屋、おそるべし。「知りすぎてるから教えない」と言わず、開発の意図や経緯もぜひ知りたいものだ。