私は母の子どもで、母は祖母の子ども

藤浪二季(Futaki Fujinami)です。

何年か前に話題になり、映画化もされたチョ・ナムジュ氏の『82年生まれ、キム・ジヨン』を読みました。

キム・ジヨンさんと同世代の方は、自分の日常と重ね合わせ、感情移入された方が多くいらっしゃるのではないかと思います。

私は読み進めていく中、頭に浮かんだのは、母のことでした。
この小説の中に出てくるような、才覚があって言いたいことを言うような母親ではないけれど、どこか家族の犠牲となって、苦しみながらも人生を歩んでいる。「母」という存在はそういうものなのだろうか?

私の両親は50年近く結婚生活を続けている。
母からは苦労話(と簡単に済ませてはいけない内容もある)は聞いているが、主観と脚色がはいっているので、実際はどうだったかはわからない。
ただ母が語る内容が本当だとしたら、私だったらとっくのとうに離婚している。
それでもそれを選択しなかったのは、祖父母の意向があったという。
母は自分の母(祖母)によって人生の選択を狭められた。

そして私は、母に縛られそうになっている。
私には私の考えがあり「自立」をしようとすると、そこに横槍を必ずいれてくる。
「あなたは、こんなところで腐っていくのね」
田舎が嫌いで、東京に憧れ、50年以上も前に上京した母。
今回田舎に戻ることになった一因でもあるにもかかわらず、田舎暮らしに納得いかず、帰郷してから1ヶ月も経たないときに私に放った言葉である。
目紛しい日々で疲弊していた。
これからの生活がどうなるかわからない状態であったが、家があること、少しでもご飯が食べれることに有り難さを感じ始めた頃で、さあ、これからどうやって生活をしていこうかと、前を向いて進んでいこうとしていたにもかかわらず、「腐る」とは。
唖然とした。母であるなら、一緒に頑張っていこう、頑張って東京に戻ろうと言って欲しかった。

そこからまた1ヶ月が過ぎ、職探しについて兄弟からは、住処を移してでも近くの大きい都市に移動した方がいいのではないかと言われている。
それも一理ある。田舎は仕事が極端に少ない。
自分のキャリア形成をどのように積み上げるか真剣に考えないといけない時期になっている。(遅すぎるが…)
都会に戻るメリットは、田舎にいるメリットは。色々と考えることがある。
こっちにいて、都会の仕事がリモートでできるのが一番いいが、、、

こうやって私が一歩進もうとすると、母からの引き止めにあうだろうと思うがそれを気にせず前に進もう。たまには後ろを振り返り、母が自分で道を開拓しているかを確認しながら。(結局は母を完全に蔑ろにはできない)

母も育ったこの地で昔の記憶を思い返しながら、50年もの苦しい生活から少しは解放され、子供の頃の自分を少しでも取り戻してほしい。
そこには天真爛漫な母がいるはずだから。

何年かかるかわからないが、屈託なく笑う母を私は見てみたい。



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