『要するに』から始める言語化力の強化
先日人と話していて、やっぱり要約する力って大事なんだね、と思う機会が何度かありました。
よく話が分からない人っていませんか?
何となく要点を得ない話をされているうちに、こちらが混乱してきてしまって、「あれれ??? で、何が言いたいんだっけ?」みたいな。
仕事の時はこういった場面で、私はよくイライラしてしまうことがありました。基本的にはあまりゆっくり人の話を聞くということが苦手で、「で、結論は何なの?」と聞いてしまうタイプです。
女の人では意外と珍しいのかもしれませんが、仕事をしているとこっちのタイプは決して少なくないので、大して気にも留めなかったですが・・・
なので、人の話を聞くときは今は話を聞くとき、と意識して聴くことが多いかもしれません。
愚痴りたいときは愚痴りたいとか話聞いてほしい、というので、基本はそういう類の話でなければ「で、どうするのか?」まで一回でお話してほしいと、つい、心の中で思ってしまいます。
まぁ私も女の人なので、脈絡のない話をしちゃうことも多いですけどね。
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会社の外の人とのつきあいが増えるようになって、人から『momomiちゃんの言語化力はすごい!』と言っていただけることが増えました。
私はこれまでそんな風に思ったことはありませんでしたが、人からフィードバックをいただくことで自分の強みを認識できたのは、本当にありがたいことでした。
もともと、学生時代は大して国語は成績良くなかったし(大概、主人公の気持ちを察するような質問では自分の回答が選択肢にないことが多く苦労しました)、文章も特にうまいわけでもない。
なんなら説明文も苦手でした。
あまり得意ではなかったのに、いったいいつ私の言語化力は身についたのか?
単に所属するコミュニティが会社とは少し違うから?とも思いましたが、一つだけ思い当たることがありました。
それは、仕事ではいつでもシニアマネジメントに一言で結論を伝える必要があり、それが非常に緊張感がある場だったので、いつも必死で『要するにこれは何を示していて、だから何が言えるのか、そしてどう言えばそれが伝わるのか』を考える必要があったからです。
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前職は事業性評価、という投資の意思決定をサポートする仕事を10年くらいやっていました。しかもかなり不確実性が高く、投資額も大きい(数10億~100億円規模)案件ばかりだったため、株主に対して説明責任があるシニアマネジメントに対する、事業性評価を担当する私の説明責任は大きく、加えてみんな時間がない方ばかりでした。
「何とかねじ込んで、せっかく時間を30分もらった」「ここで全部終わらせないと、来週はもう空いてない、ここで失敗したら後がない」、みたいなぎりぎりのスケジュール。
そしてやり直しになると自分だけではなく、チームのみんなの時間も奪い、場合によっては意思決定のタイミングを遅らせることになってしまう(=モノの価値を損なう可能性がある)のでプレッシャーはかなりのもの。
時には経営会議にも呼ばれ、「なんだかドラマのセットみたいだな~、この会議室」と傍観できたのは最初のうちだけで、万一説明に失敗して「やり直し!」と言われれば、また一週間~一か月の寝不足で胃が痛い日が続くわけで、私も必死。
スパっと一言で言いきれれば、余計な疑心暗鬼も生まず、不要な質疑応答の必要もなく、みんなすっきり終われます。
というわけで、私の一言で要点を述べる、というトレーニングは実践で鍛えられたように思います。そしてのちのち振り返ってみると、その中で言語化力はしぜんと鍛えられていったように思います。
というのも、一言でいうためには自分の中にある言葉の中から一番その場面でフィットする言葉を選択する必要性があり、それを超短時間でやらないとえらいことになる!という危機感の賜物が言語化力だからです。
友人と話していても、そうそう!怖い上司に一言で答える必要があると言語化力は磨かれる、と話されていた方もいらっしゃったので、なんかそんなものなのかもしれないなーと思います。
共通するのは緊張感とセットだったということ。
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所属しているコミュニティで、「子どもの語彙力や言語化力はどう鍛えたらよいのか?」という質問がありました。
子どものための塾を主宰されている先生の質問でしたが、当然先生はよくご存じで要約の力はすごく大事、というお話が出てきました。
子どもの話を聞いていてよく思いますが、子どもの話ってオチがないんです・・・。
話がうまい子はそうでもないのかもしれませんが、やっぱり子供が使う言葉の数は明らかに少ないし、まだまだ考えをまとめる力も弱いから、大人のサポートが必要なのだと思います。
うちの子は大して言語化も要約も得意ではないので、よくわからないことを言っているときは、なるべく優しく「で、あなたは何が言いたいんだっけ?」と尋ねることにしています。
子どもの場合は、すぐにできなくていいので、プレッシャーはかけていません。かけると話してくれなくなりそうで。
まだまだ上手く答えられることは少ないですが、地道な取り組みがいつか子どもの言語化力に繋がることを願いながら、今日も「今のお話は何がいいたいんだっけ?」「要するに、どういうこと?」と問いかける日々です。
いつか、ちゃんと要約できて、一言で要点を伝えられる子に育ってくれたら、母としてはうれしいなと思っています。
まぁ毎日親の心子知らずで、いらいらする毎日ですが、いつかこの時間そのものが宝物になるような気がしています。
読んでくださって、ありがとうございます。