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映画『ゴッドファーザー』(1972)

こんばんわ、夜雨の名画座へようこそ。
本日の映画は、1972年公開のフランシス フォード コッポラ監督作品『ゴッドファーザー』〔原題:The Godfather〕です。原作はマリオ プーゾ。

第45回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞(マーロン ブランド)、脚色賞(監督でもあるフランシス フォード コッポラと原作者のマリオ プーゾ)を受賞。
まだ若きアル パチーノ、ジェームズ カーン、ロバート デュヴァルの3名が助演男優賞にノミネート。ハリウッドの映画史に残る名作といっても過言ではないでしょう。

イタリア系マフィアのコルレオーネ一族の物語。Wikipediaの説明が思いのほか熱がはいっているので転記します。

家族の愛と絆、義理と人情、忠誠と裏切り、金と権力などが交錯するなかで揺れ動く人生の機微や人間社会の模様をイタリア系移民の裏社会を通して描き出した、一大叙事詩の第1章である。

20世紀半ばにおけるアメリカの移民社会やマフィア暗躍時代の実態をギリシア悲劇やシェイクスピアやドストエフスキーにも通ずる格調高い年代記としてまとめ上げられた脚本に、19世紀の豪華なオペラ様式や黒澤明の影響を示唆させる複数の対照的要素が連続的および並列的に配置されたダイナミックな物語の構図、イタリア系を中心とした個性的な俳優陣によるリアルで重厚な演技、忠実に再現された戦後間もないアメリカやシチリアの雰囲気を秀逸なカメラワークと郷愁的色調やフィルム・ノワールならびにドイツ表現主義的陰影に満ちた照明で捉えた芳醇な映像美に、ニーノ・ロータによる叙情的な旋律の劇伴など、その画期的な作風で新たな映画芸術を確立した。

Wikipediaより

これで解説は十分。スキがない好きな構成、郷愁を誘うニーノ ロータの音楽、充実しているもキャストなど語りだすと止まりそうもない。

なので一点突破。映画『ゴッドファーザー』の個人的にオススメな処は、陰翳です。光とも言える、影とも言える “ 黒 ”です。例えば、映画の冒頭から黒が効果的に使われています。

漆黒のスクリーン、“ I believe in America. America has made my fortune. ”の台詞とともに男の顔が浮かび上がってくる。この男は娘が暴行を受けたので、その報復をコルレオーネに頼んでいるところだ。

昼間だというのに、この部屋は窓のブラインドを閉めている。オレンジ色の柔らかいスタンドの照明が室内を照らしている。この色味はどこか郷愁を誘い、映画全体を通しての調子でもある。時代は公開時よりも古いことが察せられる。

のちにコルレオーネの三男マイケルが恋人と映画『聖マリーの鐘』をクリスマスに見ていたので、1945年の暮れだとわかる。

役者の目の周りが影になって、顔にも陰翳が刻まれる。コルレオーネは黒のタキシードを着ている。胸に一輪の深紅の薔薇がある。赤は不思議な色だ。眼を引く鮮やさがあるようで、黒に近い。

この日はコルレオーネの娘の結婚式。部屋の外は多くの招待客で賑わっている。祝祭の表社会と、きな臭い裏社会がこの結婚式にはある。この対立はクライマックスの洗礼式でもいかんなく発揮される。

映画の冒頭が結婚式とは黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』(1960)の影響があるそうです。黒澤明の映画でもお祝いの結婚披露宴で裏側にある犯罪のにおいがしていました。

この時点ではファミリーの仕事に関わっていない三男のマイケルが彼女を連れてやってくる、
そこでコルレオーネファミリーがどのような組織であるかをマイケルから彼女を通して観客に知らされる。

今年の「午前十時の映画祭」で6月ごろに映画館上映がある。スクリーンでみたい一本です。

『ゴッドファーザー』(1972)
The Godfather
監督:フランシス フォード コッポラ
原作:マリオ プーゾ
脚本:フランシス フォード コッポラ、マリオ プーゾ
撮影:ゴードン ウィリス
美術:ディーン タヴォウラリス
音楽:ニーノ ロータ
出演:
マーロン ブランド … ヴィトー コルレオーネ
アル パチーノ … マイケル
ダイアン キートン … ケイ
ジェームズ カーン … ソニー
ジョン カザール … フレド
ロバート デュヴァル … トム ヘイゲン
タリア シャイア
リチャード カステラーノ
スターリング ヘイドン
リチャード コンテ
ジョン マーリー

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