映画『裏切りのサーカス』(2011)
映画を見るのは久しぶり。最後に 映画note としてnoteに投稿したのが9月25日ですから、10月はまったく見ていない。そうゆう気分だったんでしょうね。
『裏切りのサーカス(原題:Tinker Tailor Soldier Spy)』は、冷戦下の英国秘密情報部「MI6」を舞台にしたスパイ映画。
英国のスパイといえばジェームズ・ボンドを思い起こすかもしれませんが、本作は007のような派手なアクションは、ほとんどありません。
本作には、老刑事が明晰な推理と地道な捜査により真犯人を突き止めるような趣がある。
邦題にある「サーカス」とは「MI6」のこと。ケンブリッジ・サーカスにあるので。
サーカス のリーダー コントロール は、サーカス の幹部に二重スパイ もぐら がいることを確信する。
彼は他のメンバーには秘密裡に もぐら の情報をつかむため、ジム,・ブリドーをハンガリーに送り込むが作戦は失敗に終わる。この責任をとる形で コントロール と彼の右腕と呼ばれるジョージ・スマイリーは サーカス を引退させられる。
のち コントロール は亡くなる。
しばらくして、スマイリーはレイコン外務次官に呼び出される。イスタンブールで事件に巻き込まれ英国に戻っていたリッキー・ターから サーカス 内部に もぐら がいる情報を得たレイコンは、引退したスマイリーに もぐら の捜査を依頼する。
もぐら の存在を確信していた コントロール は、サーカス の幹部5人にコードネームをつけて内偵を進めていた。
アレリンに、ティンカー(鋳掛屋)
ヘイドンに、テイラー(仕立屋)
ブランドに、ソルジャー(兵隊)
エスタヘイスに、プアマン(貧乏人)
そして彼の右腕
スマイリーにも、ベガーマン(乞食)
という暗号が付されていたことを知る。
原作はスパイ小説で知られる英国の作家ジョン・ル・カレの『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』。映画のオリジナル・タイトルもこのまま。
ジョン・ル・カレは実際にMI6で働いていた。この小説の中にも実在の事件が反映されているらしい。
ちなみにジョン・ル・カレは『裏切りのサーカス』では製作総指揮に名を連ねており、劇中のクリスマス・パーティーの場面ではカメオ出演している。
この映画は、いささか歳を重ねて渋みの増した男たちのドラマに仕上がっています。
その心情を反映してか、色彩は抑制され季節も晩秋で空も曇りがち。
ジョージ・スマイリーを演じた
ゲイリー・オールドマンは本作の演技により初めてアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
この方、お若いころは『レオン』や『ドラキュラ』など、少々変わったキャラクターを演じていたと申しますか、アクの強めな印象でしたが、年を重ねてからは地味な役でも存在感を発揮するようになられました。
男は寡黙がいいですね。
本邦なら高倉健かしら。少しは心得ようと思います。
監督はトーマス・アルフレッドソン。
スウェーデンの監督で本作が初めての英語圏映画。少女吸血鬼と少年を描いた『ぼくのエリ』はいい映画でした。アメリカでリメイクされましたが、オリジナルのほうが質感はよかった。
撮影はホイテ・ヴァン・ホイテマ。
スイス生まれのオランダ系の人らしい。こちらも『ぼくのエリ』で撮影を担当。近年は『ダンケルク』などクリストファー・ノーラン監督の作品で知られていて、昨年は『オッペンハイマー』でオスカーを受賞している。