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夜雨の名画座

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鑑賞した映画の記録。旧作多め。
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2024年9月の記事一覧

映画『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976)

今宵ご紹介する映画は昭和51年(1976)に公開された『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』です。寅さんシリーズの第17作目になります。 寅さんの主な旅先は兵庫県たつの市。映画当時の呼称は龍野市。タイトルに使われている「夕焼け小焼け」は童謡『赤とんぼ』の一節から。龍野は『赤とんぼ』の詩を書いた三木露風の生誕地。郷愁を誘うタイトルです。 マドンナは太地喜和子。ゲストに宇野重吉、岡田嘉子。 寅さんシリーズをすべて見てはいないのですが、いまのところ本作がシリーズで一番好きな作品で

映画『巴里のアメリカ人』(1951)

こんちゃ❗ミュージカルが好きな唐崎夜雨です。 今年は宝塚歌劇や『王様と私』といったステージを観劇して、ミュージカルはステージで見るのが一番だなという気もしますが、フィルムで見るのもいいものです。 だって、いまなおフレッド・アステアやジーン・ケリーを見ることができるんですからね。 本日ご紹介する映画は1951年のミュージカル映画『巴里のアメリカ人』〔An American In Paris〕です。 タイトルくらいは耳にしたことがあるのではないでしょうか。 『巴里のアメリカ人

映画『飢餓海峡』(1965)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今宵ご紹介する映画は1965年1月15日公開の『飢餓海峡』です。原作は水上勉の同名推理小説。 水上勉は松本清張の『点と線』に触発されて社会派推理作家として世に出ましたが、のちに貧しい寒村に根差した人間の悲哀を描くようになりました。 『飢餓海峡』にはその両方の側面が味わえる水上勉の代表作です。 監督は内田吐夢。脚本は鈴木尚之。モノクロ映画。約3時間の長尺。 あらすじ 昭和22年9月20日、北海道は台風の影響を受け強い風に見舞われていた。岩内町で

映画『赤い影』(1973)

こんにちわ、唐崎夜雨です。 今日ご紹介する映画は、1973年のイギリスとイタリアの合作映画『赤い影』(英題:Don't Look Now)です。オカルト風味のサスペンス映画といった感じでしょうか。 『赤い影』は、日本では馴染が薄いような気もしますが、イギリスで2011年に選出された「100 best british films」では、キャロル・リード監督の『第三の男』を抑えて第一位に選ばれました。 『第三の男』は好きな映画のひとつです。その『第三の男』を超える映画『赤い影

映画『パリは燃えているか』(1966)

こんにちわ、夜雨の名画坐へようこそ! 今宵ご紹介する映画は『パリは燃えているか』。1966年の作品。 仏語原題で「Paris brûle-t-il ?」、英語圏では「Is Paris Burning?」。 第二次世界大戦でフランスのパリはドイツ軍の占領下にあった。パリの解放に向けて戦うレジスタンス、連合国軍の活躍を描いた超大作です。 モノクロ。173分。 監督はルネ・クレマン。『禁じられた遊び』『太陽がいっぱい』のフランスを代表する監督のひとり。 脚本は作家のゴア・ヴィダ

映画『駅前旅館』(1958)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 お待たせいたしました、今宵みなさまにご紹介する映画は1958年のカラー作品『駅前旅館』です。原作は井伏鱒二、監督は豊田四郎。 上野駅ちかくの旅館を舞台に賑やかなそして哀感のただよう人情喜劇です。 その前に、1958年といいますと、 2月に第1回日劇ウエスタンカーニバルが開催。 4月に売春防止法が施行。 10月に東京タワーが竣工、12月に公開。 また10月にはフラフープが大流行しました ちなみに映画『駅前旅館』の公開は7月。劇中ロカビリーに触れてい

映画『セブン・イヤーズ・イン・チベット』(1997)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画のご案内、と称していましたが、これからは不定期に投稿してまいります。今後ともよろしく❗ さて、このところ『ひまわり』『日の名残り』と旅する映画をご案内しておりますが、今宵の作品も旅する映画です。 しかも一日や二日、いやいや一年や二年の旅じゃありません。これまで以上に歳月をかけた旅です。 これほどの旅になると人生観が大きく変わります。 そこが本作の見どころだと思います。ストーリーを楽しむばかりではなく、それによって変化してゆく主人