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【フェムテックニュース 2024/12/29】新IVF技術で赤ちゃん誕生/不妊治療新サービス開始/NIH、女性の健康研究ウェブサイト開設/英議会女性医療改善の提言/ビッグデータ

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🌐フェムテック・女性ヘルスケアニュース

新IVF技術『Fertilo』で初の赤ちゃん誕生(アメリカ🇺🇸)

 スタートアップ企業Gametoが開発した新しいIVF技術「Fertilo」により、初めての赤ちゃんが誕生しました。Fertiloは、従来のIVF手法では10~14日必要なホルモン注射の期間を2~3日に短縮し、副作用やコストを大幅に軽減します。さらに、卵子を体外で成熟させることで、治療の負担を軽減します。
 Fertiloはすでに6カ国で規制当局の承認を受け、一部の国で商業利用が開始されています。日本市場への進出も準備しているほか、現在アメリカでの臨床試験を進めており、将来的なFDA承認を目指しています。

"Gameto Announces World’s First Live Birth Using Fertilo Procedure that Matures Eggs Outside the Body" (Business Wire)


不妊治療のLushi、サービス提供開始(アメリカ🇺🇸)

 スタートアップ企業Lushiは、不妊治療の負担を軽減し、女性が安心して治療を受けられるよう、新サービスを開始しました。
 新サービスでは、不妊治療や卵子凍結を行う女性を対象に、家庭訪問や遠隔診療でホルモン注射のサポートをします。AIを活用したアプリや個別化された12週間の栄養・生活プランを通じて、女性の妊娠可能性を最大化します。注射の負担を軽減することで、治療サイクルの回数や費用を抑えることを目指しています。
 Lushiは保険適用サービスや柔軟な価格設定を提供し、不妊治療市場で新たな選択肢を広げています。

"Fertility care startup Lushi aims to provide women with intimate injection support" (Fierce Healthcare)


NIH、女性の健康に関する研究ウェブサイトを開設(アメリカ🇺🇸)

 米国国立衛生研究所(NIH)は、女性の健康に関する研究成果を提供するウェブサイト "DiscoverWHR" を開設しました。
 このサイトは、医療従事者や患者、一般市民が女性の健康に関する研究情報に簡単にアクセスできるよう設計されています。これにより、女性の健康に関する知識の普及と研究の促進が期待されています。

"NIH launches women's health research website" (MSN)


Kindbody創業者のGina Bartasi氏、CEO退任を発表(アメリカ🇺🇸)

 不妊治療クリニックチェーンKindbodyの創業者Gina Bartasi氏が、6年間務めたCEO職を辞任すると発表しました。後任のCEOは置かず、新設された「CEOオフィス」が経営を担うこととなり、社長のGina Bruzzichesi氏、CFOのScott Bruckner氏、CBOのShilpa Patel氏が運営を統括します。
 Kindbodyの評価額は2023年の18億ドルから2024年には4億ドルに下落しており、資金調達や売却の可能性についての報道が注目されていますが、同社は売却計画を否定しています。

"Founder of fertility chain Kindbody steps down as CEO" (Femtech World)



女性医療の課題の改善を提言(イギリス🇬🇧)

 イギリスの議会報告書は、子宮内膜症や過多月経などの女性の痛みが医療現場で「軽視」され、診断と治療が遅れる現状を指摘しました。
 報告書では、教育や医療従事者のトレーニングの不足、リソースの欠如が問題として挙げられ、早期診断や治療の必要性が強調されています。報告書は、女性の健康ハブの拡充、教育内容の改善、研究資金の増加を含む具体的な提言を行い、女性医療の優先化を政府に求めています。

"Women's pain 'dismissed' in UK, warns parliamentary report" (Future FemHealth)


🗞️今週の1本

ビッグデータで女性の健康を向上させる方法 (Nature Medicine)

出典:Nature Medicine "How big data can improve women’s health" by Anita Zaidi (2024年12月3日)

女性の健康状態を改善し、エンパワーするためには、多面的なアプローチが必要です。しかし、現在、多くの組織や財団が個別にジェンダー平等のために動いており、その結果、十分な成果が得られていません。

近年、データ収集や分析技術の進歩により、女性の生活の複雑な現状をより正確に把握し、具体的な改善策を提案することが可能になってきました。しかし、ジェンダーデータを収集するための資金が不足しており、多くの基本的な課題が未解決のままです。例えば、2022年時点では、SDGs(持続可能な開発目標)のジェンダー関連データの半数以上が不足している状況です。

こうした課題に対応するため、新たに注目されているのが、定量データと定性データを組み合わせるアプローチです。例えば、「プロジェクト・パスウェイズ」では、メディア利用状況や家族・友人との交流の自由度といった指標を活用しています。これにより、政府は女性が直面する主要な課題を特定し、より効果的な政策を設計することが可能になります。

さらに、単一の成果に焦点を当てるのではなく、女性の生活全体にどのような影響が及ぶのかを理解する必要があります。そのためには、長期的な研究やランダム化比較試験など、厳密な研究が求められます。例えば、バングラデシュで実施された「ウルトラプア・グラデュエーション・イニシアチブ」は、貧困削減プログラムが女性の生活全般や健康に与える包括的な効果を明らかにしました。

また、各国政府が政策を決定する際には、さまざまなプログラムを比較し、それぞれのコストや効果を評価するデータが必要です。こうしたデータがあれば、各国はジェンダー平等に向けた総合的なプログラムを実施しやすくなります。

ジェンダー平等を実現するには、女性の生活の複雑さを正確に捉え、行動可能な情報を提供する新しいツールが不可欠です。データ革命を活用し、女性の生活全般を総合的に理解しながら、より実践的なアプローチを採用していくことが求められています。


📎おわりに

 本記事を最後までお読みいただきありがとうございました。

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