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既存商品をリブランディングしてニッチ市場を攻めるか?
想定ケース
国内中堅メーカーA社は、独自の発酵技術を活用した健康食品を主力商品としている。同社の主力商品"発酵食品A"は、年間売上15億円を記録しているが、成長率は直近3年で平均2%にとどまる。一方、国内健康志向市場は年率6%で成長しており、その規模は5兆円に達する。この市場変化を背景に、A社は以下の選択肢を検討している。
ニッチ市場(健康志向層、特に30代女性)向けにリブランディング。
大規模市場(家庭全般)向けに既存商品の販路拡大。
登場人物:
高橋社長: 経営トップで、大規模市場での収益拡大を目指す。
佐藤マネージャー: 健康食品事業部責任者で、現場の制約を考慮しニッチ市場特化を提案。
山本コンサルタント: 外部コンサルタントとして、市場分析と仮説立案を支援。
与件:
市場環境: 健康志向の高まりと共働き世帯の増加により、時短で健康的な食品の需要が急拡大。
競争優位性: 自社の発酵技術は他社よりも風味と品質に優れる。
販売チャネル: 全国のスーパー500店舗とオンライン販売。
制約条件:
期間: 6か月以内に市場戦略を策定。
予算: 調査・試験販売・プロモーションを含め2,000万円。
人数: 社内メンバー3名+外部コンサルタント1名。
初期仮説
高橋社長の仮説: 大規模市場展開が最適と考える。既存商品の販売を拡大し、テレビ広告や広範囲なキャンペーンで認知度向上を図る。
佐藤マネージャーの仮説: リソースを考慮すると、ニッチ市場へのリブランディングが現実的。特に30代女性の健康志向層をターゲットに絞り、デジタルマーケティングを活用した小規模展開を提案。
新規事業開発とは不確実の連続であるが、なるべく投資蓋然性を高めるべく定量・定性調査を行う。
事業検討結果
想定参入市場
健康志向市場の中でも、特に発酵食品カテゴリーに注目。個包装タイプの製品は特定のターゲット層に受け入れられやすく、初期のSAM(可処分市場規模)は100億円規模、SOM(獲得可能市場規模)は約10億円と試算される。
プロジェクトで導出された仮説
発酵食品の技術を活用した「健康」と「時短」を両立する個包装商品は、30代女性を中心に高い需要が見込める。
仮説導出におけるポイント
定量分析: 健康食品市場全体の成長率(年率6%)と、特に発酵食品の需要拡大傾向を確認。個包装商品の市場シェアは全体の15%を占めると推定。
定性分析: 顧客インタビューでは、回答者の60%が「時短」と「健康」を両立する商品に高い関心を示した。試作品に対しては、75%がポジティブな評価を与えた。
筋の悪かった仮説
粉末タイプ商品の提案: 関連市場規模が200億円以下で、収益目標に対して規模が小さかった。
試作品の一部デザイン: 顧客アンケートで40%がパッケージデザインを否定的に評価。
期待売上と投資対効果
初年度売上: 5,000万円
投資回収期間: 3年以内
検討フェーズの費用内訳
調査費用: 300万円
試験販売費用: 500万円
プロモーション費用: 1,200万円
先行事例
本ケースに近しい先行事例を記載する。
海外事例: RXBAR(アメリカ)
![](https://assets.st-note.com/img/1734258368-GNC8iEFtHMmKq9TgphnvOkQb.png?width=1200)
RXBARは、成分表示の透明性とシンプルなパッケージで健康志向市場に成功した。特に「No B.S.」をキャッチコピーに掲げ、消費者に正直な商品イメージを訴求。ターゲットは健康志向層と美容志向の消費者で、保存料や人工甘味料を使わないポリシーが評価された。結果として、2017年に食品大手Kelloggに6億ドルで買収され、年商1億ドルを達成。
国内事例—大企業: キユーピー
![](https://assets.st-note.com/img/1734258410-Vtqhv1J2fTi6EAbPpcj5mMx3.png?width=1200)
キユーピーは、機能性食品ドレッシングを展開し、"コレステロールを下げる"という具体的な健康効果を訴求。家庭用だけでなく外食産業向けにも販路を拡大し、年間売上約50億円を記録した。市場の健康志向ブームに合わせ、広告キャンペーンや試食イベントを実施して認知度を向上。
国内事例—スタートアップ: BASE FOOD
![](https://assets.st-note.com/img/1734258455-164puhtiQxyjS0LYKcBH8TgF.png?width=1200)
BASE FOODは、完全栄養食品としてのパンとパスタを開発。栄養価と利便性を両立させた商品が都市部の働く世代に支持された。クラウドファンディングやSNSマーケティングを駆使し、2023年には推計年商10億円を突破。特にサブスクリプションモデルが顧客定着に貢献した。
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ではまた次回のコンテンツで。