ひすいこたろう著(2012)『あした死ぬかもよ?』ディスカヴァー・トゥエンティワン
人間死を意識すると最良の選択が出来るように感じる本
なんとこの本、2013年3月20日にアマゾンで購入し、さらに2024年12月2日にkindle unlimitedを利用。つまりは紙の方の本は、まだ積読本の中に埋もれているということ… とは言え、病院の待合室での待ち時間にkindle版を読了。病院で「死ぬかもよ」を読む大胆不敵な患者でした。
本書は人生を自分の死から逆算的に考えることで、最後に悔いを残さないように、生きている間に親への感謝を始めやることがあるということへの気づきをいざなう、そのような本である。
わたしは2年前に肺腺がんを宣告され、自分でも死を意識したので、実は本書と同じように、自分の寿命をあと3年と思い、できるだけ社会に貢献しようと生き急いだ意思決定をしているのが実情である。
さて、話を本書に戻し、自分の死と向き合うことで、きっと自分の本心を知り、なんとか人生の爪痕を色々な人の記憶の中にとどめてもらいたいと思うだろう。
本書は「しつもん」を読者に投げかけ、それに向かい合うことで、たとえ明日死を迎えようが、それでも精一杯生きたという実感を感じるように問を投げてくる。志のある人は「人間は必ず死ぬ」ことを知り、志のない人は「人間が必ず死ぬ」ということを本当の意味で知らない。その差が現世での人間の差となって現れると解く、その深さに脱帽。
坂本龍馬の話も出てくるが、キリンビールのキャラクターデザインは龍馬へのリスペクトから頭は龍で、足は馬出そうだ。まあそんな話は良いとして、人間、死を意識すると潔い決断が出来るのかも知れない。
財布を落としたら、人は必死に探すのに、携帯電話を落としたら、人は必死に探すのに、自分の本心を忘れても、人は、落としたことにすら気づかない…
確かに本心で生きると、それは冒険そのものであるという本書の捉え方は素晴らしい。一度きりの人生だからこそ、やってみたいことはやってみる。その潔さもやはり素晴らしい。
そして死は、「お前の一番大切にしたいことはなにか?なぜそれをやらない?」と突きつける。そして「自分だけよければいいのか?」とも問うてくる。また、本書の途中には、風景写真とともに文化人の死に関する言葉も掲載されている。日野原重明さんの「人間の寿命というのはね、あなたが使える時間のこと」、まさしくそうだ。そうだからこそ、残りの時間を有用に使わないといけない。
さて、自分の人生最後に日に、わたしはどう思うのだろう。
わたしも最後の日は、晴れ晴れとしていたいものである。