藤本茂著(2023)『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え』ダイヤモンド社
投資もその人の性格があらわれるのかも
書店で一際目立っていた表紙につられて購入してみました。
わたしも50代の後半となり、そろそろ老後のことも視野に、今後の方向性を考えるお年頃となり、諸先輩方の生き方に関して参考となるところは貪欲に吸収したい志向があります。
この本は87歳という高齢にも関わらず、デイトレーダーとして日々を送っている人が、どのような経緯で株取引を始めたのか、また現在どのような一日を過ごしているのかに興味をもちました。
後者の興味に関しては、既に巻頭に折りたたみのページが挿入してあり、ある程度1日の活動が簡易に掲載されています。またそのページの裏側には主な取引銘柄などが記入してあり、至れり尽くせり感がします。またP.16-17にも、ごく完結に本書のポイントが書かれているようです。
87歳が強調されていますが、実際は株への投資のきっかけとして、高校を卒業しペットショップの店員となり、そのお客さんに証券会社の人がおられ、そこから株への投資が始まったということで、最初は偶然なところと興味という点から投資への道が開かれたのだそうです。
また、ペットショップの次は、雀荘の店舗経営において、その商売的な投資感覚と立地条件などを勘案しての開業など、もともと機転の効かせ方と投資の才覚のようなものをお持ちになっていたような感じも本からは読み取れます。また、その雀荘を売却して専業投資家としてスタートを切ったところもご自身の能力が生かされる機会を自ら作り上げたということと理解しました。
その後、10億まで資産を増やし、バブル崩壊で2億に減資するも生きていくためには十分な額であり、66歳でPCによる取引に移行して現在にいたっているとのこと。
デイトレードとして取引回数に応じた手数料が安価なのを理由として、岩井コスモ証券を利用した小型株取引を行っていることも記載されています。またデイトレードの取引の仕組みや、そのための情報収集の方法、実際にどのような取引をしているのかの事例など株取引の初心者にとっては参考となる内容が記載されています。
また著者本人が考える「1:2:6」のルールが掲げられているが、基本的にはビジネスにも精通するスモールスタートを株取引にも当てはめた感じにわたしは理解し、最初は様子見、その次はよければ増資、確信にかわれば更に多くの投資というステップを踏むことが良いという考えです。
本書では株の売り買いの秘訣を示す記述もありますが、勘には頼るなという戒めもしっかり明記されています。
株取引をやったことがない人にとっては入門的な本の代用になるかも知れません。
とは言え、わたしは前前職で報道機関にいたこともあって、一切株取引を従業員の規程で禁止されていましたので、その後転職をした現在においても株取引は経験していません。まあ、わたしの場合は今から投資に没頭するよりは、堅実に退職後を過ごした方が無難と思っているので、あくまで本書は参考程度に理解した感じです。株取引の仕組みや数字が弱い人にとっては、本書の中盤辺りから飽きてくるかも知れませんが…。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?