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飯塚周一著(2023)『1本60円のアイスを売って会社の価値を4倍にした話 地域限定企業を再生させた経営哲学』徳間書店

基本に立ち返る勇気の必要性を知る本

ネットで紹介を受けた本で、タイトルが面白く購入してみた。わたしはこのアイスの存在を知らないけれども、東京でも売られている様子…
新潟では「もも太郎」アイスとして有名だそうである…

本書は、定時制高校を卒業して、この会社に入り営業担当として経験を積み、その後社長となっていった経緯を、セイヒョーという会社の歴史や企業としての特徴を解説とともに交えながら綴っている。

過去の利益としては明治乳業からのOEMが大きな柱になっていたようで、その後の提携解消を含め、一通り中小企業が傾きかけるリアルな内容も語られている。

本書の中心である会社の価値を4倍にした部分は、第3章後半の、この会社の原点である自社商品としてのアイスに立ち戻った部分以降、資本提携とCMがバズったことが直接の原因かと…

さて、わたし自身は組織で情報セキュリティのCSIRTの業務を担っているのだが、本書の中で、特に教訓となった文章は、「事故が1つ起きると、原因を追求して、再発防止のための対策をする。…しかし、事故が起きた原因の原因、つまり直接的な原因の奥にある間接的な原因を探っていくと、社会人としてあるべき基本姿勢がなっていない、というところに行きついてしまった(p.165)」というところ。現代の多くの事故や失敗は、そもそも社会人としてどうなの問題に行き着くことは多い。

本書では「職種によっては日進月歩のAI(人工知能)に仕事を奪われるなどということも言われる現代だが、それどもやはり”考えること”の重要性に気づかされた方も多いのではないだろうか」と問うている。

いつの世も、考えることを諦めなければ、悪いままということは少ないのかも知れない…

いつか、この企業のアイスを購入してみようかと思う。

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