盛り上げ方がわからない!「被団協」ノーベル平和賞受賞にみるTVの反応
「勝負おやつ」しか紹介しない将棋ニュース
以前TBSアナウンサーだった国山ハセンさんが、局を辞めたあとのXで「将棋の藤井総太さんのニュースで、勝負おやつしか紹介しないのが疑問だった」みたいなことを書かれていた。
在職中に言えば?、とも思ったのだが、テレビ界には独特の「言ってはいけない」みたいな雰囲気があるのだと思う。こむつかしいことは抜きにして「バカにもわかる」(←コトバは悪いが)ことを信条としているテレビなのだから仕方がないといえば仕方がない。
「『被団協』が受賞? どうやって盛り上げる?」
で、今回の「被団協」のノーベル平和賞受賞のことなのだが。
日本は世界唯一の被爆国だ。小学生でも知っている。おびただしい数の人が死に、いまだに苦しんでいる人もいる。しかし日本は核兵器禁止条約には批准していない。
テレビマンは考える。「はて、どうやって盛り上げる?」
これが化学賞や物理学賞なら、かつての同級生のインタビュー、奥さんの話、はたまたよく行く飲み屋の話しに至るまで科学、物理学とは程遠い「将棋の勝負おやつ」的な報道で「こむつかしいことは抜きにする」報道ができる。
しかし原爆というナーバスな問題で「被団協の代表がよく行く飲み屋の話し」などできるはずもない。ノーベル平和賞受賞というめでたいことなのに、ニュースの取り扱いは、薄い。
なんでもかんでも盛り上げる必要があるのか?
第一、盛り上げないと視聴率にはつながらないから、勝負おやつ的報道が跳梁跋扈する。
だが、なんでもかんでも盛り上げる必要があるのか、ということだ。
今回の被団協の受賞は物理学賞、化学賞よりも凌駕する。話題になった映画の『オッペンハイマー』は、物理学、化学等に長けた世界の天才が原爆をつくったことを描いている。それに人生をメチャクチャにされ、それに抗った人たちが今回「平和賞」を受賞したのだ。そういった歴史があるのだから、盛り上げる必要など微塵もなく、淡々と彼らの苦労を紹介すればいいのでは? と私は思うのである。
でも「『被団協受賞』かぁ…数字にならねえなぁ…」というテレビマンの声が聞こえてきそうである。
いやはや…