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激熱の鉄に油を塗るときに使うブラシは何なのか。

鉄の表面仕上げの種類は色々ありますが、素地のままでは錆びてしまうので、何かしらの仕上げをすることがほとんどです。

鉄のさびは空気と水によって発生します。そのため、空気と水のどちらかを鉄に触れないようにすることが表面仕上げの重要なポイントになります。

塗料によって鉄の表面を覆い隠しているものを塗装。鉄の表面に別の金属皮膜を形成するタイプのものをメッキと言います。

黒の焼付塗装
艶の具合や色は細かく設定することができます。

金属は木材のように素材自体に柄や凹凸がないので、表面仕上げをするとモデリングソフトで作ったようなフラットな面になります。

ムラがなく均一な塗膜の形成は品質確認的な視点から見ると問題が発見しやすく、単純に見ためも悪くないので、色々な金属商品の仕上げに採用されています。

ただ、鉄そのものの表面を最終的な仕上げ面としたいデザイナーも多く、そのような場合は鉄の素地の上にクリア塗装をしています。

透明な塗膜をつくることで空気や水との接触を防ぎ、鉄そのものの表面を見せることができます。

素地+クリア塗装

今回紹介したいティッシュケースの表面仕上げは油焼き仕上げです。

これは鉄のフライパンや巨大な中華鍋のメンテナンスに使われる表面処理で一般的な塗膜よりも分厚い油膜を形成させた丈夫な仕上げです。

艶のある深い黒と荒々しい柄が特徴です。

工法はシンプルで熱した状態の鉄に油を塗りこみます。ブラシはたこ焼き屋さんがホットプレートに油を塗るときに使う耐熱仕様のブラシを使うそうです。

丸鋼管のティッシュケース※油焼き

エアブラシを使った均一な塗装法ではなくブラシによる手塗りの為、手作業による特有の荒らし効果のある仕上がりになります。

丸鋼管のティッシュケース※油焼き
丸鋼管のティッシュケース※油焼き

この仕上げは何となく黒竹っぽい感じになるので、筒型との相性が良く、どことなく日本的な美を感じられるようなデザインにしました。

旅館の受付などに合う和のテイストです。

油による特有の光沢は、金属としての光沢とは別の輝き方があって光の当たる向きや強さによって多様な見え方があります。

じっと見ると、ものが焦げたときの暖色系の色や、鉄黒皮のような藍ネズミ色のような色を感じることもでき、微妙に幅のあるカラーリングを楽しむこともできます。

油焼きという仕上げによる視覚的な豊かさが、日用品の付加価値になり、できるだけ見ていて飽きない作品になっています。

また特殊な仕上げを見つけては、何かしらを作りたいと思っています。

おわり。

丸鋼管のティッシュケース※油焼き