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誰にでもある「なんか違うなぁ」『著:村上春樹 国境の南、太陽の西』
なぜ、読むことに
三島由紀夫『美しい星』を求め書店に行くも、本の状態が悪い。
そこで、村上春樹の棚に行き、物色。
『国境の南、太陽の西』に目が留まり、あらすじをチラッと見る。
好きだった女性と再会して……。
最近読んだ本で、転機という単語が、心にしつこく残っていた。
この後味をこの本で解放してやろうと思い、読むことに決める。
あらすじ
「高収入を稼ぎ、立派な車を所有し、家族に嫁と子供がいる」という順風満帆な人生を送っているかのように見えるハジメ。
ある日、ハジメのもとに一人の女性が訪ねてくる。彼女は、小学校の時に仲の良かった島本さんだった。
その島本さんと………..
感想
読後の印象を簡潔にまとめると、
「なんか違うなぁ」の付きまとい
です。
ハジメは、小学校、高校、現在と3人の女性と関係を持ってきました。
ハジメの感情を抜きにして、行動だけを見ていれば、自分の目からは常に幸せにみえます。
しかし、感情面を入れるとハジメが心の底から幸せそうには見えない。
「どこか満足できない、納得できない」といった得体の知れない溝が、常に心に生じています。
それは相手の女性たちにも存在します。
そして、自分にも存在します。
人と関係を持つことで、この溝を互いに埋めあうことができます。
しかし、関係は永遠には続かず、いつかは溝から栓が引っこ抜かれます。
「なんか違うなぁ」は他人からは認識されず、自分だけが認識できる。
厄介なのは、それが認識できるだけに留まり、原因がはっきりと分からない事です。
ですので、他人を傷つけてしまうこともある。
「なんか違うなぁ」が回りまわって、
他人にまでも大きな影響を及ぼす。
こんな事を考えるきっかけになるかもしれません。
最後に
初めて、村上春樹さんの作品を読みました。
すごい感覚的な事になってしまいますが、
ネトネトした表現が多くて、自分好みでした。
「冒頭の転機について」
この転機という単語から、少しは解放されました。
読んで良かったなと改めて感じています。
では!
2025年1月28日火曜日8時10分 快晴