晩餐にハートを添えて
術後9日目。明日には退院が決まってすっきりした朝。ここで過ごすのも最後かと思えば乗り切れる。
朝からレントゲンに四肢血圧+心電図にと駆り出され、最後まで検査はてんこ盛りだったけれど、少しずつ肺にたまった水も抜けてきたそうで、咳と痰も減ってきていた。
心なしかリハビリにも力が入る。看護士さんに病棟10周したら退院を早められる(体力つくから)と聞いたので俄然やる気になった単純な私。
おじいちゃんおばあちゃん達と比べるわけにはいかない。私はまだ40代。子供もほしいし、体力つけておいて損はないはず。
お昼ご飯の後からは栄養指導(栄養士さん)、退院後の生活指導(看護士さん)、糖尿病について(糖尿病の先生)からひたすらお話。
心臓病は本当に厄介で、体重を増やしてはいけない、塩分も控え目に、体力が戻るまではむくむので水分もとりすぎ注意と延々アドバイスと忠告が続く。
傷口もまだごしごし洗えず、泡を優しくつけてタオルを押し当てる程度。お風呂につかるのはみぞおちまで、とか制限も多かった。
動悸も横になったらまだあるので、しんどくなったらすぐ休むようにと言われたけど、それだと仕事にならないなと思った。
いつまで仕事を休むかも考えないといけなくて、ひとまず2週間くらいかなと考えていた。
糖尿病と合併しているので尚更注意しないといけないようで、私の血管はどこもボロボロみたい。
といっても糖尿はだいぶ落ち着いてて標準値に近付いている。
今はただ妊娠出産したいがため、赤ちゃんに悪影響にならないように、血糖値のコントロールをインスリンでやっているだけ。
もっと痩せた方がいいのはわかる。妊娠にちょうどいいBMI値まであと10キロ弱は減らした方がいいのだろう。
でも仕事と家の往復だけ、運動嫌いの私にはあと10キロの壁は大きい。食べないのはストレスだし太るのもストレス。
ただ自分だけの体じゃないと思うともう少し頑張ろうかなと思う。もう一度妊娠して今度こそ産みたいから。
朝ご飯のメニューの見直し、あとはできるだけ食べる時間を統一すること、リハビリもかねて運動しながら体重を減らすことを言われた。
今でもコントロールは充分頑張ってるけど、今度は産科で入院してる時に会おうね、って糖尿病の先生に励まされた。
仲良くなったおばあちゃんに退院の報告をしにいって、おばあちゃんはまだあと1ヶ月くらいかかるらしいけど、退院したらぜひ会いに来てくださいねと話した。
晩ご飯もいつも通りに黙々と食べて、同室のおばあちゃん達のことは期にせず、自分でできることは自分でして、帰り支度も静かに進めて。
術前から数えれば長かった。もっと早く退院できると思っていたのに、糖尿病との合併だから慎重に経過をみられていたそうだ。
最後の夜に大量にハートの折り紙を折った。直接お渡しできなかった看護士さんに配ってもらうために、病棟のナースステーション宛にお手紙もつけて。