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#23 今更、MOROHA武道館レポート・ヒグチアイ

ヒグチアイ

泣きたくなるような 夜は最近ない
やる気もないから なんにも浮かばない
やめるなら今かな やめるなら今かな
大体似合ってない 人前はこわいし
お金は少しだけ 貯めたりはできない
やめるなら今かな やめるなら今かな
終わりのきっかけに 大したドラマはない
いつも心の中に もう一人の自分がいるんだ
なだめながらなんとかやってきたんだ
いつも斜に構えて疑り深くてすぐひねくれて
そんなおまえにずっと憧れているんだよ
やりたい理由も 始めた理由も
そんなの意味はない 今残るのは
ただただ勝ちたいだけ 絶対 絶対
わたしを信じてる おまえを信じてるから
なんでも良い そのままで良いから
続けろ 続けろ やめんなよ
続けようよ

ヒグチアイ−やめるなら今

何を続けるか。それは人それぞれ違う。

孤独になるのは なにかがあるから
淋しくなるのは なんにもないから
やめるなら今かな やめるなら今かな
1人に愛されて 満足できたなら
なんのためにここまで なにがしたくてここまで
そんなの上京 3年目で消えたんだ
優しくされたくて 愛されたくて
そんな人生送りたくて
夢見てきたわけじゃないだろう
見えない未来を 言い訳にすんなよ
あてのない旅を始めたあの日に
誰の足跡もない場所へ行こうと決めた
恐れていいんだよ 怖がっていいよ
飛び降りる勇気すらなくていい
その弱さはいつかの強みになるから
おまえを信じてる わたしを信じてるから
なんでも良い そのままで良いから
続けろ 続けろ やめんなよ
続けようよ

ヒグチアイ−やめるなら今

見えない未来を 言い訳にすんなよ
あてのない旅を始めたあの日に
誰の足跡もない場所へ行こうと決めた


未来の不安を無視できるほど自分に無頓着になれない。
ふとした瞬間、抱えたものを思い出す。
スーパーの帰り道、皿洗い中、祖父の病院で手を消毒する時。
急に足が重くなって、膝には力が入らなくなってくる。
口はあいて、上を見上げる。
私は何をしていて何に向かっているんだろう。
そんなとき思い出すのはMOROHA、amazarashi、竹原ピストル

「俺は俺のこと好きになりたかった」

初めてのアーティストライブはMOROHAだった。
マスク外して歩こうもんなら袋叩き時代、2022年2月11日。

東京駅に着いた頃はまだMOROHAも武道館に到着していないんじゃないかと思うほど早く着いてしまった。前日は雪が降っていた証拠が歩道に散らばっている。初めて見る東京駅。駅をバックに写真を撮る外国人さん。もう外国人さんを見ることにはなれてしまった。地下鉄を使うほど急いでいないから歩く。
初めて見る皇居周辺ではランナーばかり。
わからん鳥居、げき狭コンビニ、いわゆるキャリアウーマン?

どうやって開演時間まで時間を潰したか覚えていない。

グッズは買わなかった。
関西に出てくるきっかけ、要因、原因、言い訳となったNMB48のグッズもあまり買わないと中学2年生の時に決めていた。だから握手会にも行ったことはない。
武道館に入って思ったことは一つ。
火事くらい煙たい。
スモークを炊いていただけだが意味がわからずすごく驚いた。
開演まで残り5分のところでイヤホンから流れる曲がちょうど終わった。
実は家を出てここまで、ずっとMOROHAの全曲を聞いてきた。
3周目に入っていたのは覚えている。

イヤホンを取り冷静に辺りを見渡すと多くの人間。
小学生から50代女性。年齢様々。
とにかく嬉しかった。
私だけじゃないと確信できた。
そしてMOROHAが好きということは、
これは偏見だがあまり人生が上手くいっていない、辛い、頑張りどきの人達ということだ。偏見だと思っていたがこれは事実だと、のちにドキュメンタリーを見ると確認できた。転職中、仕事が辛い、そんな人のインタビュー。

ライブ後半のMCでアフロが放った言葉。

MOROHAのお客はMOROHAのファンじゃなくて、自分のファンになりたい人たちなんだろうなと俺は思っています。そういうお客が目の前にいることが、すごく嬉しい。なぜなら…。

https://spice.eplus.jp/articles/298948

このとき、アフロも涙を流す。
無論、私も私の隣の男性も後ろの女性も。

あぁ、私は幸せだった。
みんなで泣けた。

そうか、私は私のファンになりたかったんだよな。

続けてアフロは

なぜなら……俺もUKも同じだからです。
俺は、俺のことを好きになりたかった。
ここまでやってこれたのは、
みんなのおかげだと思うし、自分のおかげだとも思います。
だから、今までもこれからもありがとう、という気持ちを込めて、次が最後です。アンコールはありません。
もっと聴きたいという気持ちは、
もっと生きたいという気持ちに変えてください。
俺も、もっと歌いたい気持ちを、
もっと生きたいという気持ちに変えるんで。
また笑顔で、笑顔じゃなくても、逞しい顔で会いましょう」

https://spice.eplus.jp/articles/298948

私たちを震え立たせてくれる人は自分を奮い立たせていた。
最後の曲は新曲「六文銭」

弦をかきむしるUKの演奏が続く中、
アフロが最後の力を振り絞るように叫んだ。

ライブが終わって、ステージの明かりが消えて、客席の電気が点く。
その瞬間から俺たちのステージは終わって、あなた方のライブが始まる!
 どうか、誰も見てなくても、ひとりぼっちでも、自分の日々を誇ってくれよ! その日々に歌ってる! その日々に叫んでる!

https://spice.eplus.jp/articles/298948

「ありがとうございました」

アフロが頭を下げると同時にSEが流れて客席、私への照明がついた。
少ししんみりしていた私は晴れたというより、クリアになった。

順に武道館を後にしていく客。
何かじっとしていられなかった私も足早に進む。
最寄りの地下鉄駅に向かう人が多い中、私は東京駅に向かう。

歩きながらカタカタ音がするのに気づいた。
周囲を見渡すが何もない。
まさかそれが私の口が震えて歯が音をたたていたことに気がつくのに3秒。
嘘みたいやなと自分のことながらに思った。

その時に携帯のメモに残したことがあった。

ライブ後の外の風はやけに冷たくて
上半身震えていた。
顎も震えて歯がぶつかり合う。
寒さかライブの余韻か誰がわかるか。
歯の音消すために挟んだ舌からは血が出そう。
一人でよかった。
ライブ後にぺちゃくちゃ喋られたらたまったもんじゃねぇ。
黙って俯いて東京駅へ。
残業でできた都会の灯りに中指を。

 
俺のファンになるよ。

私の携帯のメモより−2022/2/11

乙女丸出し。


2年経って私は私のファンに少しなれたかもしれない。
期待を込めてSNSはフォローしておこう程度かも。

みんな自分を愛せ。きゃっ♡

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