コピルアクとチャイ
コピルアクというコーヒー豆の種類がある。インドネシア現地で「コピ」はコーヒー、「ルアク」はジャコウネコを意味する。
ちなみに、ジャコウネコはネコ目ネコ科ではなくジャコウネコ科という別の種である。
インドネシアのコピルアク
このコピルアクがどういうコーヒー豆かというと、ジャコウネコが食べたコーヒーの実の果肉が消化されて、消化されずに出てきた種(コーヒー豆)である。
その過程で腸内酵素で豆が発酵されて、独特の香りと味がするようになる。また、ジャコウネコは良く熟したコーヒーの実しか食べないので、コーヒー豆としての質が良いというのもあるようだ。
そういう理由でコピルアクは高級コーヒーとされている。決してただのネコのウンコではない。
どうしてこのようなコーヒーが生まれたのか。
インドネシアはオランダの植民地であり、当時のインドネシア産コーヒーは現地もしくは本国のオランダ人が飲み、インドネシア現地の人は飲めなかった。
そこで偶然落ちていたジャコウネコのフンに含まれたコーヒー豆を発見し、それでコーヒーを淹れて飲んでみたら美味しかったということのようだ。意味が分からないがそういうことらしい。
なお衛生面は大丈夫なのかというと、洗浄・乾燥・焙煎の過程でバクテリアは死滅するらしい。
ただ、コピルアク生産のためにジャコウネコを飼育している業者がおり、それが劣悪な環境であるという報道もあるので、観光客向けに売られているものが実際どうなのか分からない。
インドのチャイ
このストーリーを聞いて思い出したのがインドのチャイである。
インドも過去にイギリスの植民地であり、当時は紅茶の茶葉はほとんどがイギリス本国に送られていた。
ただし、それはオレンジペコーのような等級が高い茶葉の話であり、等級の低いダストと呼ばれる粉末状の茶葉は、紅茶にしても美味しくないのでインドに残されていた。
そのダストを使って何とか美味しい飲み物を飲もうとした結果、茶葉をスパイスやミルクと一緒に煮出して作るチャイが生まれたという経緯だ。
きっかけは植民地支配
このように、コピルアクもチャイも植民地として支配された現地の人が生み出した飲み方であるということは共通しており、何としても飲みたいという当時の人の意志を感じる。
当時のコーヒーや紅茶が嗜好品としてどれほどの価値を持っていたのか気になるところだ。
ちなみに、どうしてコピルアクについて調べたかというと、親の知り合いがインドネシアで買ってきたものを貰ったからだ。
夏なのでホットコーヒーを飲む気がせず、まだ手を付けていないが、そのうち飲みたい。