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ショートショート集

38
ちゃちゃっと読める短い小話
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#超短編小説

愛らしい

はじめてのおつかいは、なんとなく見ているとそわそわしてしまって苦手だ。 だってあんなに小…

ふぁむ
8か月前
2

暖かいかもしれない

冬の海は気持ちが落ち着く気がする。 逆に夏の海は無条件でテンションを上げざるを得ないのが…

ふぁむ
9か月前
1

夏は思い出がよく似合う。

出店の焼きそばはどうしてこんなに魅力的なんだろうか。 ソースの香りはどうにも胃袋を刺激し…

ふぁむ
1年前
4

留める

写真を撮るっていうのは時間をそこに留める行為だと思っている。 時間の流れは誰にも逆らえな…

ふぁむ
1年前
1

思い返す冬

空っ風が体に染みる、すっかり見慣れた締められたシャッターが並ぶこの道は僕が小さい時から通…

ふぁむ
1年前
4

またどこかで。

ここは横浜はみなとみらいにあるとあるバー、元々スナックだった店を居抜きで営業し始めて約2…

ふぁむ
1年前
19

たまにはバッドエンドで

空が白み始めたころに僕の1日は始まる。 布団から体を出そうとするけど冷えた朝の空気はそれを許そうとしないし、布団に残る温もりは人間を堕落させる兵器だと思う。 それでもまだ眠っていたいと瞼を閉じようとする体に鞭を打ち、支度をする。 朝の満員電車は非常にストレスだ、人と密接に関わりたいと思うこともあるがこんな形は望んでいない。 キツイ香水の香りに汗の匂いが混じって、子供の頃にCMで見た色のキツイ得体の知れないお菓子の味を思い出す。 ギリギリ吐き気を催さないこのジリジリとした時間が

その後の2人

※この話に出てくる2人のその後です。 金曜日、夜七時。 世界を掻き乱したウイルスはとりあえ…

ふぁむ
2年前
1

フィルム

日曜日の昼下がり、僕はアルバムを開いた。 高校生の時に携帯を買い与えられて、その画質が良…

ふぁむ
2年前
3

くそったれバレンタイン

2/14、なぜか世の中にチョコレートが溢れ出す日。 僕はというとそんな世の中の流れとは無縁だ…

ふぁむ
2年前
3

僕らの節分

仕事帰りにコンビニに寄ると恵方巻きの宣伝が目に入った。 いつからだろう、節分の日には豆を…

ふぁむ
2年前
1

最後の日

「明日が一生の最後の1日だったら、君は誰と最後の1日を過ごしたい?」 急な謎かけに僕は豆鉄…

ふぁむ
2年前
2

Snow day

※上の話と同じ世界線です、よろしければ併せて読んでみてください。 2022年、東京に初雪が降…

ふぁむ
2年前
1

汐風の匂い

朝8時、ベッドから伝わる強い衝撃をアラームの代わりにして目覚めると彼女が少し不機嫌そうな顔をしてそこにいた。 「なぁなぁ、いつまで寝てるん?」 あれ、何か忘れているような…あぁ、そうだ海に朝日を見に行こうなんて話をしてたんだっけか。 「もう日、昇ってしまったで?」 部活の疲れからか昨日は帰ってきてから死んだように眠っていて、すっかり忘れていたんだ。 ごめんという代わりに頭を撫でると、眉間に寄せた皺が少し緩んだ。 実は彼女もつい1時間前まですやすや眠っていたというので、朝イチの